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ベリタス、新たな統合データ保護・管理基盤を発表 「NetBackup 8.2」を中核に製品ポートフォリオを強化・統合
2019年7月4日 11:32
ベリタステクノロジーズ合同会社(以下、ベリタス)は3日、製品ポートフォリオ全体を強化し、複雑化したIT環境を抽象化する統合テクノロジー「エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム」(Enterprise Data Service Platform)を発表した。
同日に行われた記者会見では、新たに発表した「エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム」の概要や製品戦略、プラットフォームの中核を担うバックアップ/リカバリ製品の最新版「Veritas NetBackup 8.2」の強化ポイントなどについて説明した。
「エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム」は、Veritas NetBackup 8.2をベースに、同社の最新の製品ポートフォリオをAPI統合して構築されたプラットフォームで、企業のデータ管理において、新たなレベルの可用性・保護・インサイトを全社規模で実現するという。
ベリタス 代表執行役員社長の大江克哉氏は、「現在、企業のデータ管理は、爆発的なデータ量の増加、クラウド上のデータ保護、ランサムウェアの脅威、ダークデータの拡大といった課題を抱えているのが実情だ」と指摘。「こうした課題を解決するべく、今回新たに『エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム』を発表する。このプラットフォームによって、複雑化したITシステムを抽象化し、企業のデータ管理を理想的な状態へと導いていく」と述べた。
また大江氏は、「昨年度は、ソフトウェア領域を中心に、アプライアンス、クラウド、コンサルティングの3つの成長領域にフォーカスしてビジネスを展開し、いずれも好調に推移。アプライアンスは前年比145%、クラウドは前年比319%、コンサルティングは前年比154%という高い成長率を達成した」と振り返ったうえで、新プラットフォームの発表を受けて2019年度の国内事業戦略にも言及した。
「本年度は、ソフトウェア領域において、『エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム』を軸にした戦略を顧客やOEMパートナーに展開していく。また、引き続きアプライアンス、クラウド、コンサルティング領域に注力し、OEMパートナーのフィールド・カバレッジとテクノロジーアライアンスを強化する。こうした取り組みにより、国内事業で2けた成長を目指す」(大江氏)。
可用性、保護、インサイトといった3つの価値を顧客に提供
ベリタス 常務執行役員の高井隆太氏は、「エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム」の概要について、「『エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム』では、ITシステムの抽象化に向けて、『Veritas NetBackup 8.2』を中核に、当社の持つ最新の製品群をAPIで統合することで、『可用性』、『保護』、『インサイト』という3つの価値を顧客に提供する。『可用性』は、どこでも稼働可能なビジネスシステムを実現する。『保護』は、データがどこにあっても保護し、復元可能とする。『インサイト』は、常にデータを把握し、コンプライアントな状態にする」と説明した。
プラットフォームを構成する最新製品として、高井氏は、「可用性」ではストレージ管理用ソフトウェア「Veritas InfoScale」、「保護」ではバックアップ/リカバリ製品「Veritas NetBackup 8.2」、「インサイト」では統合情報インテリジェンスツール「Veritas Information Studio」とIT分析ソリューション「Veritas APTARE IT Analytics」を紹介した。
特に、プラットフォームの中核を担うバックアップ/リカバリ製品の最新版「Veritas NetBackup 8.2」では、バージョンアップにともない大幅な機能強化を実施。オンプレミス、仮想化、クラウド上の500以上のデータソースと60のクラウドを含む150以上のストレージをサポートし、データがどこにあっても、データを適切に管理、保護することができると説明する。
主な機能強化ポイントについて、ベリタス データ保護ソリューションスペシャリストの勝野雅巳氏は、「API連携の強化」「クラウドへのペタバイト規模データ保管」「仮想化環境への大幅なサポート強化」の3点を挙げた。
「API連携の強化では、提供APIをトータル411まで拡充した。新たなAPIを活用することで、例えば、Resiliency Platform連携によりクラウドストレージへの低コストでのDR(災害対策)オーケストレーションが可能となった。また、CloudPointと連携し、ストレージスナップショットの作成・複製を管理・制御することができる。このほか、VMware vRealize用のNetBackupプラグインを提供することで、VMware上の仮想マシンのバックアップ、リストアを制御できるようになった」(勝野氏)としている。
クラウドへのペタバイト規模データ保管では、従来のクラウドストレージへの長期保存とローカルストレージ利用の高RTOのDRに加えて、クラウドストレージを利用した低コストでの大規模データ保存およびDRを実現。また、AWS SnowballとAzure Data Boxをサポートし、ペタバイト規模データの初期データ輸送に活用可能となった。さらに、AWS Glacierをサポートし、低コスト大容量での重複排除長期保管を実現している。
仮想化環境への大幅なサポート強化では、新たにOpenStack VMとRed Hat Virtualizationのサポートを追加したほか、VMwareでのエージェントレス・ファイル・リストアで複数ファイル/フォルダサポートとACL復旧サポートの機能を拡充した。
このほかの構成製品の概要も説明された。
ストレージ管理用ソフトウェア「Veritas InfoScale」は、オンプレミス、仮想化、クラウドのインフラを抽象化し、ミッションクリティカルアプリケーションに対する高可用性とパフォーマンス最適化、移動性向上を実現する。
今回、新機能として、パブリッククラウド上のHAサポート、専用エージェントによる切り替え自動化、マーケットプレース展開(AWSのみ)、NUTANIX/Scale IO/NVM Expressとの親和性強化、Ansible向けInfoScaleテンプレート提供、IPv6サポート、セキュリティ強化などを実施している。
統合情報インテリジェンスツール「Veritas Information Studio」とIT分析ソリューション「Veritas APTARE IT Analytics」は、いずれも今回のプラットフォームに合わせて投入する新製品となる。
「Veritas Information Studio」は、NetBackupを含む20以上のクラウドおよびオンプレミスデータリポジトリへのコネクタを提供。非構造化データのメタデータを視覚化し、内容、場所、アクセス権を持つユーザーを特定することができる。また、700以上の事前構成済みパターンと110以上のポリシーによってデータの分類、タグ付けを自動化する。
「Veritas APTARE IT Analytics」は、オンプレミス、仮想化、クラウドのマルチベンダーインフラ環境を単一のビューで可視化、利用状況の管理を実現する。エージェントレスコントローラーにより、約3万以上のデータポイントからの収集が可能だという。
収集したデータからストレージ、バックアップ、クラウド環境の利用状況を分析し、キャパシティ計画やコストの最適化、利用者へのチャージバック、サービスレベル管理に利用することができる。