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ネットワールド、NetAppクラウドコミュニティ「くらこみゅ」を発足

販売パートナーのクラウドシフトを支援するプログラムを提供

 株式会社ネットワールドは、同社が取り扱うネットアップ合同会社(以下、NetApp)のクラウドソリューションの拡販を支援するため、NetAppクラウドコミュニティ「くらこみゅ」を発足。6月13日に、販売パートナー向けのキックオフイベントを開催した。

 イベントでは、「くらこみゅ」の活動内容や今後の展開について説明するとともに、NetAppクラウドソリューションの概要について紹介した。

クラウドシフトの流れに乗り遅れないよう、販売パートナーを支援する

 今回、「くらこみゅ」を発足した背景について、ネットワールド 営業本部 ストラテジックプロダクツ営業部 SP1課 課長代理の福住遊氏は、「NetAppは、5年前にストレージOSのアーキテクチャを7-Modeからclustered Data ONTAPに変更し、当社では顧客向けセミナーなどを実施して移行を促進してきた。そして今、さらに大きな変化として、clustered Data ONTAPからCloud Volumes ONTAPへのシフトが本格的に進みつつある。この流れに販売パートナーが乗り遅れないよう、NetAppクラウドコミュニティ『くらこみゅ』を発足し、クラウドシフトを全力で支援していく」と述べた。

ネットワールド 営業本部 ストラテジックプロダクツ営業部 SP1課 課長代理の福住遊氏

 ネットワールドでは、NetAppのクラウドシフトに対する取り組みとして、すでに昨年からクラウド体感セミナーやハンズオントレーニングなどを販売パートナー向けに展開してきた。しかしその中において、クラウドソリューションを推進していく上で「インフラビジネスを担当しているエンジニアの多くは、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureの知識・経験がない」といった課題が浮き彫りになったという。

 この課題に対して、福住氏は、「インフラビジネスは、まだオンプレミスのソリューションが中心であるため、クラウドの世界に踏み出せないエンジニアが多いのが実情だ。しかし将来を考えると、オンプレミスのビジネスをこのまま続けていくのは難しいと言わざるを得ない。そこで、今回の『くらこみゅ』をきっかけに、当社と販売パートナーが一緒になってクラウドへの新たな一歩を踏み出していければと思っている。『くらこみゅ』を通じて、従来のインフラSEやストレージSEから、クラウドSEへのスキルアップをサポートしていく」と説明した。

「くらこみゅ」の活動内容と目標

 「くらこみゅ」の活動内容としては、「NetAppのクラウドソリューション/ハイブリッドクラウド案件の拡販」および「NetAppのクラウド案件を提案/構築できるSEを育てる」ことを目標に掲げる。

 また、これに向けて、「Cloud Volumes ONTAP構築サービス」のスキル習得とともに、「NetApp Certified Hybrid Cloud Administrator」「AWS認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト」「Microsoft Azure Administrator」の3つの資格取得を目指すという。

 「Cloud Volumes ONTAP構築サービスは、3インスタンスまでのCloud Volumes ONTAPおよびOnCommand Cloud Managerを、AWSまたはAzure上に構築するサービス。『くらこみゅ』では、同サービスを販売パートナーが自社で構築できるよう、エンジニアのスキルアップを図る。目標としては、手順書なしでセキュリティ/冗長性を配慮したネットワーク構成の環境を一から構築して、パラメーターシートに落とし込めるスキルを身につけてもらう」(福住氏)としている。

「くらこみゅ」で目標とするCloud Volumes ONTAP構築サービスのスキル

 資格取得については、「クラウドの基礎を理解する」「クラウドを動かしてみる」「実案件獲得&資格取得」の3ステップのプログラムで、資格試験合格を目指す。

 プログラムの内容は、ステップ1「クラウドの基礎を理解する」では、AWS/Azure Webinarの受講およびONTAPラボオンデマンドでの基礎トレーニングを行う。参加者のWebinar受講をサポートするため、ネットワールド プリ・インテグレーションセンターを自習室として無料開放するという。

 ステップ2「クラウドを動かしてみる」では、Cloud Volumes ONTAPハンズオンセミナー(AWS版/Azure版)を実施する。

 そして、ステップ3「実案件獲得&資格取得」では、実案件を想定したワークショップと試験対策勉強会を行う。

「くらこみゅ」の資格取得プログラムの概要

 福住氏は、「資格試験合格までの期間は、プログラム開始から約3カ月間を想定している。この間、参加者のモチベーションを保つために、3ステップのプログラム以外にも、単発のセミナーや合宿などを実施する予定だ。また、Teamsでの情報共有やメルマガによる情報提供も行い、資格取得をサポートしていく。この『くらこみゅ』の取り組みによって、2020年度には、NetAppのクラウドSEを100人育成したい」との考えを示した。

クラウド・オンプレミスでデータ管理を簡易化・統合するソリューションを提供

 またキックオフイベントでは、NetApp ソリューション技術本部 SE第2部 シニアテクニカルパートナーマネージャの田中隆行氏が登壇し、同社が展開しているクラウドソリューションの概要について紹介した。

 NetAppは現在、「クラウドからマルチクラウド、ハイブリッドクラウドまで、あらゆる環境のすべてのITワークロードでビジネス成果を達成できるよう、顧客を支援する」ことを目標に掲げ、“Cloud First Company”となるべくクラウド戦略を推進している。その中で、クラウドとオンプレミス全体にまたがりデータ管理を簡易化・統合するData Fabricを実現するクラウドソリューションとして、NetApp Cloud Data Serviceを提供しているという。

NetApp ソリューション技術本部 SE第2部 シニアテクニカルパートナーマネージャの田中隆行氏

 今回「くらこみゅ」でスキル習得を目指すCloud Volumes ONTAPについて、田中氏は、「NetApp Cloud Data Serviceで提供されるサービスは、『運用管理/モニタリング』『制御サービス』『データサービス』『クラウドストレージサービス』の4階層のレイヤで構成されており、Cloud Volumes ONTAPは、その中のクラウドストレージサービスのレイヤに位置づけられる」と説明。

NetApp Cloud Data Serviceを構成する4階層のデータサービスレイヤ

 「Cloud Volumes ONTAPでは、オンプレミスのclustered Data ONTAPの豊富なデータマネジメント機能をクラウド上に展開し、AWSやAzureで利用することが可能となる。また、Cloud Volumes ONTAPの導入と設定を簡易化するツールとしてOnCommand Cloud Managerを用意しており、このツールから、オンプレミスとクラウドすべての環境のONTAPを一元管理することができる」とした。

Cloud Volumes ONTAPの概要

 Cloud Volumes ONTAPの活用メリットとしては、「クラウドを生かした災害対策やビジネス継続性の実現」「クラウド間でのデータ移行により地域展開を簡便化」「クローンを活用した開発・テストの効率化」を挙げている。

 なお、田中氏は、このほかにNetAppのクラウドソリューションとして、FAS/AFFからクラウドへのシンプルなデータバックアップを実現する「NetApp Data Availability Services」(NDAS)、フラッシュとクラウドを連携し1つのデータプールに見せるテクノロジー「FabricPool」の概要についても紹介していた。