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三菱地所、インテックのクラウドサービス「EINS WAVEシリーズ」でグループ共通のICT基盤を構築

 株式会社インテックは25日、三菱地所株式会社が、広域仮想クラウドサービス「EINS WAVEシリーズ」を導入したと発表した。三菱地所は同シリーズにより、グループ40数社のICTシステムの共通プラットフォーム化を目指すという。

 三菱地所グループでは、従来、ICTシステムの活用を円滑に進めるため、グループ内の各企業がそれぞれ工夫しながら自社サーバー、あるいは自社仮想サーバー上にアプリケーションを構築してきたという。

 しかし、それぞれの会社が個別に運用していることにより、きめ細かな現場業務に対応できる一方で、ICTシステムの維持管理負荷が全体として大きくなり、ビジネスのスピードアップの足かせにもなりかねない状態だったことから、グループ全体の共通プラットフォームを構築する必要性を強く感じていたとのこと。

 また、同一の共通プラットフォーム上で、グループ会社のICTシステムを展開する場合、オンプレミスよりもクラウドが適していると考えた三菱地所では、導入するクラウドサービスの検討を開始し、インテックの「EINS WAVEシリーズ」を採用した。

 具体的に、採用されたサービスは以下の通り。

●クラウドサービス「EINS/SPS Managed」
●クラウド型バックアップサービス「EINS/BRS」
●閉域ネットワークサービス「EINS/MOW DCAN」
●データセンター「EINS/VDC」

 これらのEINS WAVEシリーズを採用した理由として、三菱地所ではまず、多種多様なシステムを柔軟に共通プラットフォームへ移行できる点を挙げた。三菱地所グループがオンプレミスで構築していた150以上のサーバーをクラウド化する計画だったが、EINS WAVEシリーズでは、それぞれ仕様の異なるサーバーに対し、柔軟に対応できたという。

 場合によっては、クラウドに乗せずにサーバーをデータセンターにハウジングし、クラウドと連携させて運用するといった方法を選択したり、また「EINS/MOW DCAN」はメガクラウドとの接続も可能なため、柔軟に対応できたとのこと。

 さらに、クラウド移行時に運用ルールを激変させないことも条件の1つとしており、例えば「業務データバックアップの時間を指定したい」という要望に対しても、「EINS/BRS」によって対応している。

 このほか、「EINS/SPS Managed」が収容されているインテックのデータセンター「EINS/VDC」が堅固なファシリティに守られている点や、サーバーをクラウド移行するにあたって、遅延を確認するためのPoC(概念実証)を実施できたことなども評価したポイントとして挙げられた。

 なお今回のクラウド移行では、運用をインテックにアウトソーシングすることにより、IT部門の負担が軽減されたことが大きなメリットという。以前は、サーバートラブルが発生するとシステムが停止するため、IT部門はその対応に追われていた。しかし現在は、トラブルが起こってもその対応はインテックが主体となるのみならず、また代替の基盤が稼働する設計になっていることから、サービスは止まらず、業務に支障は生じないという。

 IT部門では、このような運用から開放されることで、より本質的な業務へ時間を割けるようになっており、その1つとして、ビジネス需要に基づくシステム試行(トライアル)や、PoC実施の増加が挙げられるとのこと。またクラウドサービスのため、インフラの準備に時間をかけることなく、数日あればクラウドに仮想サーバーを用意してトライアルを開始できることもメリットとしている。