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インテックが分散型仮想クラウドサービス、国内3拠点をVPLS網で接続

ネットワーク&アウトソーシング事業本部の小川圭一氏

 株式会社インテックは12日、国内初という高可用性広域仮想クラウドサービス「EINS WAVE(アインス ウェーブ)」を発売した。

 EINS WAVEは、首都圏・北陸・関西のデータセンターをVPLS(Virtual Private LAN Service)網で結び、各拠点にIaaS、PaaS環境を配備。これら拠点すべてを独自の運用システム「はやぶさ」で一元管理する、高可用性広域仮想クラウドサービス。

EINS WAVEの概要
サービス構成図

 拠点としては、インテックが提供している首都圏、北陸、関西のデータセンターを活用する。首都圏、北陸においては東京電力との合弁データセンター「アット東京」、北陸電力との合弁データセンター「パワー・アンド・IT」で冗長化されているが、これに加え今回、関電システムソリューションズとの協業により、関西においても「関西新センター」を開所。堅牢で信頼性の高いデータセンターサービスを実現した。

 それぞれの拠点にIaaS、PaaS環境を配備する。IaaSとしては、従来より3拠点で提供してきたクラウドサーバー基盤「EINS/SPS」に加え、レイヤ2・VPLSで構築した超高速商用データセンター間ネットワーク「VDCネットワーク」を導入し、広域仮想ネットワークを稼働。「サーバー、ネットワーク、データの仮想化を実現することで、3拠点のクラウドサービスを1つの仮想クラウドサービスとして利用できる」(ネットワーク&アウトソーシング事業本部の小川圭一氏)ようにしている。

国内3拠点のデータセンターを展開
レイヤ2・VPLSで構築した超高速商用データセンター間ネットワークを構築。ブロケードのルーターを採用している

 これに加えて、新サービスのバックアップ・リカバリサービス「EINS/BRS」を追加。保管場所は首都圏と北陸。インテックデータセンターを利用するユーザーは、同一センター内のバックアップもしくはほかのデータセンターへの遠隔バックアップのいずれも利用できる。管理ツールには、クラウドサービス事業者としては日本で初めてTivoli Storage Managerを採用。これにより、データ重複排除や圧縮、差分バックアップなど効率的なバックアップが可能になるとする。

 PaaSとしては、インテックがこれまで提供してきた電子証明書発行サービス「EINS/PKI」や、ID管理ソリューション「結人(ゆいと)/束人(そくと)」を中核としたID管理・認証・シングルサインオンを連携させる「EINS統合認証サービス」、スマートフォン・タブレット端末の管理・データ保護(MDM)を実現する「EINSモバイル管理サービス」などのプラットフォーム機能を強化していく。

遠隔バックアップ・リカバリサービスを新たに提供
PaaSはID管理・認証・スマートデバイス管理に焦点

 運用管理には「はやぶさ」を活用。インテックの運用センターから3拠点を一元管理するシステムで、ISO/IEC 20000-1、ITIL V3に準拠した運用を行う。従来、運用センターは1個所のみだったが、今回、2個所に増やし、「運用管理体制も完全二重化した。これによりEINS WAVEのノンストップな運用を実現している」(小川氏)とのこと。

2個所の運用センターを設置することで、運用管理体制も完全二重化

 インテックでは、分散型プライベートクラウド、BCP対策でのクラウド利用、モバイル専用クラウドなどの利用例を挙げている。また、「EINS WAVEでは、SDNネットワーク、バックアップサービス、はやぶさの冗長化された運用センターの3点が特徴。これらをベースに既存のサービス、新サービスを体系化したのがEINS WAVEである」とし、「これまでインテックはシステムインテグレーションを主としてきたが、EINSのサービスを取りそろえることでサービス売りへと転換する、そのきっかけとなるのがEINS WAVEだ」と、今後システムインテグレーションからサービス提供型事業の比重を大きくする方針を見せた。