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富士通、組み合わせ最適化問題を高速に解く「デジタルアニーラ」第2世代のサービスを提供開始

 富士通株式会社は21日、量子現象に着想を得た、組み合わせ最適化問題を高速に解くアーキテクチャー「デジタルアニーラ」を活用した「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer(以下、デジタルアニーラ オンプレミスサービス)」について、扱うことができる問題の規模を8192ビットまで拡張した第2世代のサービスを、日本国内で提供開始した。2018年度中に北米・欧州、その後アジアへも順次展開予定。

 実社会におけるさまざまな要因の組み合わせを考慮しながら最適解を見つけ出す組み合わせ最適化問題に対し、株式会社富士通研究所では、組み合わせ最適化問題専用のアーキテクチャー「デジタルアニーラ」を開発。富士通が2018年5月に、扱う問題の大きさを表す規模1024ビットに対応したサービスの提供を開始した。

 しかし、より大規模で複雑な問題を扱うには規模・精度の技術向上が必要となるとして、今回、高性能プロセッサー開発で培った超高密度回路集積の技術を用いることで、新たな「デジタルアニーラ」専用プロセッサー「Digital Annealing Unit(DAU)」を開発。これにより、ビット間全結合の規模を現在の1024ビットから最大8192ビットへ、結合精度を16ビットから最大64ビットの1845京階調まで拡張でき、さらなる大規模な問題への適用を可能にするとともに、従来の「デジタルアニーラ」の第1世代と比べて処理速度も100倍と飛躍的に向上したとしている。

 富士通では、第2世代のサービスにより、工場のフロア全体の生産ライン最適化、中分子クラスを対象とした創薬の分野など、より複雑な社会や企業の実課題への適用が可能となり、さまざまな業種・業務領域での活用が期待できるとしている。

 合わせて、第2世代に対応したサーバーを顧客のデータセンターに設置して利用できる「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer オンプレミスサービス」の提供も、2019年2月に開始する。価格はクラウドサービス、オンプレミスサービスとも個別見積もり。

 富士通では今後、富士通研究所が開発した大規模な問題への適用を可能とする問題分割技術などにより、将来的に100万ビット規模の大規模な組み合わせ最適化問題への対応を目指し、創薬、化学、製造、交通、金融、物流などの幅広い分野のビジネスに貢献していくとしている。また、同ビジネスは、2018年11月にカナダのバンクーバーで事業を開始した、AIビジネスをグローバルに展開する新会社「FUJITSU Intelligence Technology」が牽引し、商品・サービスを各リージョンに展開し、デジタルアニーラの適用拡大を目指す。