特別企画
デジタル時代も“信頼と創造”で――、創立から50周年の富士通研究所が最新技術を公開
データ流通の信頼性を向上する新技術「ChainedLineage」なども発表
2018年9月25日 06:00
創立50周年を迎えた富士通研究所
2018年は、富士通研究所の創立から50周年の節目を迎えている。
富士通研究所は、富士通第5代社長である岡田完二郎氏が、「富士通の将来の発展のため、研究開発のあるべき姿を広く考察し、研究者が自律的に自由な環境で世界最高峰の技術開発を行う」ことを目的に創設した歴史がある。
富士通研究所の佐々木繁社長は、「富士通研究所の創設により、それまでの通信事業に加えて、コンピュータ事業、ソフト・ソリューション事業、そして、現在のデジタルサービス事業へと広がり、テクノロジーカンパニーである富士通の実現につながっている」と位置づけた。
富士通では、1976年に「信頼と創造の富士通」を掲げ、ICTビジネスのリーディングカンパニーへと成長。2000年以降は、デジタル時代における社会や経済の持続的発展をけん引してきたとする。
だが、その一方で、「かつては、壊れない高信頼性の製品を提供することを追求してきたが、つながる世界になり、システムが複雑かつ膨大になっている。その結果、質の判断が困難になっている」と前置き。
「従来の富士通が掲げた『信頼と創造』は、『Reliability』と『Creativity』であったが、いまの時代においては、これを『Trust』と『Co-Creation』に再定義したい」と述べた。
「Trust」は、「お客さまのトラストなビジネス環境を提供するための先端テクノロジーの開発」とし、「Co-Creation」では、「先端テクノロジーでお客さまの本業を強化、拡大し、ともに成長」することを掲げる。
「今後は、ICTベンダーとお客さまという関係を超えた共創が求められている。デジタルテクノロジーと価値の高いビジネスモデルで、市場を拡大し、お客さまと一緒に成長する戦略を推進する必要がある」と語ったほか、顧客との共創においては、AIなどの先端テクノロジーの活用と、オープンイノベーションの推進が重要であるとも述べた。
その上で、「富士通のR&D戦略は、デジタル時代のCo-Creationを推進し、お客さまのTrustなビジネスの要となることを目指す。それに向けた先端テクノロジーの開発が軸になる」と言及している。
具体的な取り組みとして、組み合わせ最適化問題を高速に解く計算機アーキテクチャ「デジタルアニーラ」や、人が信頼、理解、管理できる「説明可能なAI」、リアルタイムでUXを届けるネットワークの「Connecting-X」、人とデータのトレーサビリティを保障する「Borderless IoT Security」などの技術を紹介した。
さらに、アスリートをセンシングすることで採点するサポート技術や、感性デジタルマーケティングなどに活用するセンスコンピューティングといったデジタルテクノロジーを活用して、新市場の開拓に取り組む姿勢を強調している。