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AIインフラ、1.6Tbpsスイッチ、水冷システム――過去最大級のShowNetの全貌を徹底紹介
Interop Tokyo 2026 ShowNetレポート
2026年6月12日 10:53
最新のネットワーク技術を中心としたICT技術やソリューションのイベント「Interop Tokyo 2026」の展示会が、6月10日~12日に幕張メッセで開催されている。
Interop Tokyoは、展示や講演の場であると同時に、各社が最新のネットワーク機器を持ち込んで相互接続性や新技術をテストしデモする場でもある。
会場では報道向けに、Interop Tokyo 2026とShowNetについてのブリーフィングが開催された。さらに、ShowNetブースの機器群の見学ツアーも実施された。
627社が2147小間に出展、会場が1ホール増える
今年のInterop Tokyo 2026については、Interop Tokyo 2026 総合プロデューサー/株式会社ナノオプト・メディア 代表取締役社長の大嶋康彰氏が説明した。
今回は、「Interop Tokyo 2026」のほか、「デジタルサイネージ ジャパン 2026」「AI NATIVE EXPO 2026」「画像認識 AI Expo 2026」とあわせて4展による開催となる。
まず大嶋氏は新型コロナのパンデミックで開催中止となった2020年の後、2021年から2025年の来場者数の推移をグラフで見せ、右肩上がりになっていることを示した。出展社数と小間数も伸びており、今回は627社が2147小間に出展した。
展示ホールも、2025年の3ホール構成から、今回の2026年は4ホール構成と1ホール増えた。ブース密度も高まっていることがわかる。
Interop Tokyoは今年で33回目の開催となる。Interopは1986年に、ネットワーク技術を議論する会議として米国でスタートし、当初からその場でネットワーク機器の相互接続(Interoperability)を実地で検証する場の役割を担った。
日本のInterop Tokyoは1994年にスタートし、33回を重ねる間に、インターネットの普及から、高速化、モノのインターネット、デジタルメディアやSNSなど、その時代ごとにテーマが変わってきた。そして現在はAI時代に突入し、AIを支えるネットワークインフラや、AI時代のセキュリティ、AIの支援によるネットワーク運用といったことが議論されているという。
今回の「Interop Tokyo 2026」のテーマとしては「AIとインターネットの次章。 ~Internet for AI, AI for Internet.~」が掲げられた。
注力テーマとしては、「ネットワークインフラ」「AIインフラ/データセンター」「クラウドネイティブ」「エンタープライズDX」「生成AI/AIOps」「IoT/エッジコンピューティング」「5G/6G」「GX/SDGs」「APN」「セキュリティ」「スペースビジネス&テクノロジー」「デジタルメディア」と、多種多様なキーワードが並んでいる。
大嶋氏はここで、今回の来場登録者の興味分野と、5年前の2021年の興味分野を比較した。今回は、1位が「ネットワークインフラ」、2位が「AIインフラ/データセンター」と、なるほどと感じるものだ。それに対して2021年は、1位が「5G/ローカル5G」、2位が「ネットワークインフラ」で、4位に「IoT」が入るなど、変化を感じさせる。
Interop Tokyo 2026の中では、主催者企画もいくつか開催されている。日本データセンター協会と共同開催による「Data Center Summit」や、宇宙とインターネットに関する「Internet x Space Summit」、放送・映像メディアの近未来をインターネット・IP側から再定義する「Internet x Media Summit」がある。そして変わり種として、ITエンジニアの睡眠課題に応える先進スリープテック体験ラウンジ「Sleep Tech」も今回初登場した。
さらに、特別国際カンファレンス「AIWS Trust Infrastructure Conference」も急遽、同時開催イベントとして開催が決まった。「AIの信頼」をテーマに、政府、産業界、学術界、市民社会のリーダーが一堂に会し、AIが社会基盤となる時代に求められる信頼のあり方と、民主主義・人間の尊厳・公共情報の健全性を支えるAI活用の方向性について議論する。「インターネットの父」ヴィント・サーフ氏も参加する。
Engineering Everything Connected――複雑化・高度化するネットワークを巧みに設計・構築・運用していく
今年のShowNetについては、ShowNet NOCチームメンバー ジェネラリスト/東京大学の中村遼氏が解説した。
コントリビューション数が約2600、動員数が849名と増加
先に大嶋氏が紹介したように、Interopはもともと、米国でネットワーク技術を議論する会議、かつネット相互接続を検証する場として始まり、日本でも1994年にスタートした。
その相互接続実験かつ実運用ネットワークとして毎年構築されるのが「ShowNet」だ。「“5年後、10年後のネットワーク”の姿を示す」というビジョンのもとに、出展各社がそのときの最新の機器やサービスを提供して作られる、最先端のネットワークのデモンストレーションネットワークにもなっている。世界初展示や日本初展示の製品、場合によってはリリース前のバージョンのファームウェアで使える機能なども、ShowNetの中で動く。
今回のShowNetのテーマは「Engineering Everything Connected」。AIだけでなく、エンタープライズやキャンパス、データセンター、キャリア、モバイル、放送などさまざまなネットワークがあり、それぞれに異なる技術要件がある。こうした幅広い技術領域がますます複雑化・高度化していく中で、より巧みにネットワークを設計・構築・運用していくことを目指すという意味が込められている。
今回のShowNetの規模は、コントリビューションの機器・製品・サービスの数が約2600で、動員数が849名と、前回よりさらに大規模になっている。動員数の内訳は、NOCチームメンバーが32名、一般公募によるボランティアのSTMが37名、機器やサービスを提供するコントリビューター企業からのエンジニアが780名だ。ネットワークケーブルも、UTP総延長が約28.5km、光ファイバー総延長が約8.5kmに及ぶ。
これまでの約30年のShowNetでトライアルされてきた、その時々の新技術は、標準化を経て実際の商用サービスに使われている。そうした技術には、2000年代にはATMやメトロイーサネットなどが、2010年代にはADSLやキャリアグレードNAT(CGN)などがある。2020年代には、セグメントルーティングやSASE、ゼロトラスト、Wi-Fi 6E/7などが取り組まれている。
ShowNetでは毎回、世界初展示や日本初展示の機器やサービスも実戦投入される。
世界初展示としては、ヒューレット・パッカード(HPE)から、1.6Tbpsイーサネットを64ポート搭載した水冷スイッチ「Juniper QFX5250-64OE-L」と、ShowNetの対外ルーターとしても使われる800GbE/100GbEルーター「Juniper PTX10002-60MR」が提供された。
また日本初としては、Ubiquitiの「USW-Pro-XG-24-PoE」や、HPEの「Juniper MX301」などが展示されている。
続いて中村氏は、エクスターナル(対外接続)の図を紹介した。NTTドコモビジネスのIOWN APN回線や、ソフトバンク、KDDIの回線、あるいはIPAの800Gbps回線などがつながっている。
さらにネットワークトポロジー図も紹介した。中村氏は「このトポロジー図は私が書いたのですが、毎年機器が増えて、配置が大変でした」と苦笑。図の上がエクスターナルで、中央にコアネットワーク、下に出展社やWi-Fiの接続がある。図の左右には、データセンター系のネットワークや、5G、Media over IPなどがある。
分野ごとの取り組みを紹介
続いて中村氏は、分野ごとに今年の取り組みを紹介した。
「エナジー」は今年新しく取り組む分野だ。ShowNetで初めて、水冷スイッチと水冷サーバーを設置し、実際に冷却液を循環させて動かす。その中で、実運用で注意すべき点や、どのような点に注意すべきか、ベンダーの異なるラックやCDUを組み合わせるとどう苦労するかなどを試す。
「ファシリティ」、つまり物理設備の分野では、高密度化と自動化への挑戦がテーマだ。高密度化のためにVSFF(Very Small form Factor)コネクターを採用。またラック間の接続をMDF(パッチパネル)に集約して管理し、それをロボパッチ2台でつなぎかえる。
「伝送」の分野では、400Gbpsに加えて800Gbpsの伝送も用意。さらにIPoDWDM(IP over DWDM)で、光トランシーバーからトランスポンダーを介さず直接DWDMにつながるようにする。
「L2/L3」、つまりバックボーンでは、今回ついにアンダーレイネットワークからIPv4アドレスがなくなり、IPv6アドレスのみになった。前回はコアではIPv6だったが、今回は出展社のアクセス網もIPv6 EVPN-VXLAN Type-5の上でオーバレイネットワークを動かす。
「Wi-Fi」の分野では、Wi-Fi 6Eに加えて、Wi-Fi 7も広く使われている。こうしたWi-Fiのアクセスポイントは、ホールごとにベンダーを分けて、各社の比較的新しい製品が配置されている。
「モバイル」、つまりモバイル回線の分野では、5Gのネットワークスライシングのデモを実施。特に、東京・大阪間で放送映像ストリームとPTP時刻同期の伝送の厳しい要件を、5Gのネットワークスライシングによる強い優先制御でクリアしたという。
「DC・クラウド」の分野では、AI時代のプラットフォームとして、1.6Tbpsスイッチや、1.6Tbpsテスターによる試験などが登場した。「2025年には800Gbpsがギリギリ間に合ったが、1年たったらデータセンターで800Gbpsが使われ、さらに1.6Tbpsが登場した。AI需要によってデータセンターネットワークの進化が早くなっていることの現れだと思う」と中村氏はコメントした。
また、分散AI基盤を想定し、札幌・三鷹・横浜・福岡との間をIOWN APNで結んで、長距離RDMA(RoCE v2)を検証する。
そのほか、ネットワーク運用を支援するAIエージェントも、この基盤で動かす。
「セキュリティ」の分野では、「Security for AI」(AIを守るセキュリティ)のコントリビューションが複数あった。プロンプトインジェクションなどのAIに対する攻撃からAIを守る製品だ。
また、脅威監視基盤と連携し、脅威を検出したらアラートを分析し、さらに能動的にファイアウォールのルールを適用して対象をブロックする、能動的なセキュリティサービスを提供する。
「モニタリング」の分野でも、AIを利用する。さまざまな監視機器のAPIを呼び出すMCPサーバーを作り、さまざまな利用方法を試している。
もちろんsyslogやSNMP、テレメトリーの監視も引き続き行う。物理監視としては、光ファイバーの断線位置や温度がわかる製品も利用する。
「テスター」の分野では、ハードウェアテスターとソフトウェアテスターの使い分けを検証。広帯域のトラフィックにはハードウェアテスター、セキュリティのテストやAIパフォーマンスのテストなどはソフトウェアテスターで行う。
このうち、AIの推論パフォーマンスのテストは、プロンプトを入れてから、最初のトークンが返るまでにかかる時間などを計測するというものだ。こうした手法を、テスターのメーカーが指標を考えて開発しているという。
「Media over IP」の分野では、毎年、リモートの放送局からIPネットワークで送られた映像を、幕張で編集やミキシングなどを行っている。
今回も北海道や大阪など13局とコラボレーション。メディアストリームの変換や、時刻同期などを行う。
生成AIエージェントの利用にも取り組む。OpenClawをベースに、ShowNet向けにカスタマイズして利用する。前述した、各種機器にAPIやCLI経由で触れるMCPサーバーを開発し、ShowNetメンバーの使っているチャットにいるAIエージェントに調査を依頼するといったことができるという。
「STM」は、ShowNetを構築運用する一般公募ボランティアで、学生や企業の若手エンジニアが集まる。ShowNetの最先端で大規模なネットワークの構築に触れることで、知見や、同世代の仲間との親交を深める。
今年も、ホットステージと呼ばれる2週間の構築に24名、会期中には13名、合計37名がSTMに参加した。
なお、こうした今年のShowNetの詳細について結果をふまえて共有するカンファレンスイベント「shownet.conf_」が、8月27日~28日に開催される。
ShowNetブースで動く機器を紹介
説明の後は、ShowNetブースの見学だ。


今回のShowNetブースでは、ShowNetネットワーク自体のラックが12ラック、ネットワーク運用やセキュリティ監視のラックが5ラック、データセンターを模したラックが6ラック、「Media over IP」のリモート拠点のラックが1ラック、設置された。
なおShowNetブースは、来場者が自分で見て回るほか、ShowNet公式や機器ベンダーによる解説つきウォーキングツアーが実施されている。
ネットワーク本体の12個のラック
ラックN-1~N-12は、ShowNetネットワーク自体のラックだ。
ラックN-1~N-2は、対外接続だ。この2つのラックに、ISPやIXなどとの回線がそれぞれつながり、インターネットとの玄関口になる。今年はここの中にDDoSミチゲーション(緩和)の機器も設置されている。
また、ラックN-1~N-2の前の床には、ガラス張りで床下の対外接続回線が見られる場所も用意されていた。
ラックN-3~N-4は、コアネットワークと光トランスポート(光伝送)だ。コアネットワークは、前述したようにIPv4アンダーレイネットワークを廃止したため、構成がシンプルになったという。
今回はバックボーンでも800Gルーターを設置。さらに伝送では前述したように、IPoDWDMで、光トランシーバーから直接DWDMにつなぐ。
ラックN-5はパッチパネルだ。各ラックからの配線は、いったんこのラックに集約し、それをパッチでほかのラックと接続する。その接続は、2台のロボパッチで切り替えられるようになっている。
また、コネクターが集約密度の制約となるため、前述のとおり、高密度化のためにVSFF(Very Small form Factor)コネクターを採用している。
ラックN-6~N-7は、ユーザー(出展社)を収容するネットワークだ。
ラックN-6には、キャリアグレードNAT(CGN)も組まれている。また、1Finityが扱う米Arrcusのホワイトボックス機器向けネットワークOS「ArcOS」もShowNetに初参加している。
ラックN-7には、ユーザー向け光伝送も収められており、NECのファンレス光伝送装置なども設置されている。
ラックN-8は、Wi-Fiだ。ここにWi-Fiアクセスポイントのベンダー各社のコントローラーが収められている。また、クラウド型のコントローラーも利用されている。
また、ここに収められたヤマハとZUNDAのルーターが、各ホールのPodにL2 VPNを張っている。
ラックN-9はネットワークテスターだ。前述したように、広帯域で負荷をかけるハードウェアテスターのほか、サーバーで動くソフトウェアテスターも導入している。ソフトウェアテスターでは、プロトコルやセキュリティ、AIのパフォーマンス、AIガードレールのテスト(AIへのプロンプトに時々NGワードを混ぜて拒否されるかどうかを確認)などのテストができる。
ラックN-10~N-12は、Media over IPのラックだ。
ラックN-10には時刻同期に関する機器が収められている。映像では1フレームでもずらせないため、高精度の時刻同期プロトコルであるPTP(Precision Time Protocol)で時刻同期をしている。
ラックN-11は、映像の編集やミキシングなどのためのラックだ。ここから各放送局とVPNで接続している。
ラックN-12は、映像をバックボーンネットワークにつなぐネットワークのラックだ。ここに、ネットワークエミュレーターも収められている。
ShowNetブース内に設けられたMedia Operation Center(MOC)は、放送・映像メディアの実験場だ。ここで放送局などのスタッフが映像の制作や配信の実験をしていた。
ブース前の透明壁部分には、来場者に向けて、各局の映像が一度に表示される大きなモニターが設置されていた。また、放送局に設置されたカメラをリモートコントロールできるデモも置かれていた。
ShowNetのステージ横には、Media over IPリモート拠点のラックもある。ここからMOCとバックボーン上のL2 VPNで接続したり、ロボットカメラの映像を衛星通信のStarlink経由で送信したりする。
ネットワーク運用やセキュリティ監視の5ラック
ラックS-1~S-5は、ネットワーク運用やセキュリティ監視のラックだ。
ラックS-1は5Gのラックだ。5Gを介した伝送などを行う。F5のAI Guardrailsなどもここに収まっている。
ラックS-2は、ログ監視やトラフィック分析のラックだ。Splunkにすべてのアラートを集めて分析するといったことをしている。
ラックS-4は、サイバー脅威検出のラックだ。パケットブローカーでトラフィックをコピーして監視したり、VXLANのパケットから中身を取り出してVXLAN非対応のファイアウォールに送ったりする。SIEMによるイベントの相関分析も行う。
ラックS-5は、ShowNetの運用管理をリモートから行えるようにする、セキュアリモートアクセスだ。この中のFortiDeceptorでは、デコイ(おとり)VMに攻撃者を誘い込む機能がある。
データセンターを模した6ラック
ラックD-1~D-6は、データセンターを模したラックだ。今回はGPUや水冷といったキーワードが目立つ。
このうちD-1~D-3は、52Uのラックが使われていた。
ラックD-1は、マルチテナントの仮想化基盤だ。この上でShowNetの各種サービスを実行している。
ラックD-2は、GPU仮想化基盤だ。GPUサーバーを収納する。また、GPUのみを収納して光ファイバー経由でサーバーに接続するNECの拡張 IO Boxも収められている。
ラックD-3は、800G/400GによるRoCE v2の検証などをしている。また、長距離でRDMAを使うNTTのRDMAアクセラレーターも動いている。
ラックD-4~ラックD-6は、今回ShowNetで初めて設置する水冷のラックだ。3つのラックとも異なる水冷方式を採用している。
ラックD-4は、Lenovoの水冷システムで、Lenovoの水冷ブレードサーバーを動かしている。冷却水には、専用クーラントではなく、純水を使う。マニホールドはエンクロージャー単位でつながるため、本数が少なくなる。
ラックD-5は、プリファードネットワークスのラックだ。AIプロセッサーMN-Core 2の水冷サーバーで、国産生成AI基盤モデルPLaMo 3.0 Prime βを動かす。冷却水をラック内だけで循環させている。
ラックD-6は、専用クーラントを使った一般的な水冷方式だ。ここで、1.6Tbps×64ポートを備える日本ヒューレット・パッカードのスイッチ「Juniper QFX5250-64OE-L」や、Keysightの1.6Tbps対応ネットワークテスター「INPT-1600-C」などが動く。なおラックは、OCPのORV3規格のラックだ。
NOCの働く様子も見られる
NOC(Network Operation Center)では、ShowNetを運用するメンバーが常時詰めてネットワークをオペレーションしていた。
ラックD-1~D-6の背面は、ラックの機器の裏も、透明壁ごしに見られるようになっている。
ここにはファシリティ関連のアイテムも展示されている。展示物の中で、EXFOの中空コアファイバーは、光ファイバーを中空にして空気中で光を伝搬させることで、遅延低減や広帯域化ができるという。
そのほかShowNetブースには、モニターを並べ、ネットワーク状況や検証報告などを展示するコーナーもあった。






















































































