週刊海外テックWatch

値下げ合戦の裏で「実は割高」に? Meta、SpaceXAI、OpenAIが仕掛けるトークン価格競争
2026年7月21日 11:45
OpenAI、Meta Platforms、SpaceXAI(旧xAI)が、一斉に大幅な値下げを伴う新型AIモデルを投入した。3社がそろって打ち出したのは「何ができるか」より「どれだけ安いか」だ。これには企業のAI予算に対する目が急速に厳しくなっている事情が背景にある。だが、値下げ競争が始まったのとほぼ同時に、その「安さ」を測る物差しであるトークン単価自体が実態を映していないとする分析が相次いで示された。安いAIは、本当に安いのか――。
「利益率が高すぎる」
「他の一部のAIラボは価格設定が非常に極端で、利益率が非常に高い」。Mark Zuckerberg氏は7月12日付のBloombergのインタビューでこう主張した。「われわれは、フロンティア級、あるいは非常に高度なインテリジェンスを、はるかに手ごろなコストで提供する現実的な力があると考えている」。名指しこそしていないものの、OpenAIとAnthropicを念頭に置いているのは明らかだ。
この発言は、Metaが7月9日にリリースした新モデル「Muse Spark 1.1」について語ったものだ。Zuckerberg氏はこのモデルの価格設定を「非常に魅力的」と表現し、潤沢な広告事業を持つMetaは「積極的に」出る用意があるとBloombergに語った。
同社の新たな課金システム「Meta Model API」の価格は入力100万トークンあたり1.25ドルで、「Opus 4.8」や「GPT-5.6 Sol」(ともに同5ドル)の4分の1となる。Metaはこれまで、オープンウェイトのモデルに力を入れ、無償公開してきたが、今回、本格的な有料APIを設定して、課金に踏み切った。
モデルの安さを主張するのはZuckerberg氏だけではない。同じ週、xAIのElon Musk氏も、7月8日発表の新モデル「Grok 4.5」の宣伝をXに投稿し、「(Anthropicの)Opus級のモデルだが、より速く、よりトークン効率がよく、より低コストだ」とアピールした。
OpenAIのSam Altman氏も、7月9日のCNBCのインタビューで、「あらゆる企業が今、支出と、それと引き換えに得られる価値を意識している。これこそ私たちが実現したいことだ」と語った。同日リリースされた「GPT-5.6」(Sol、Terra、Luna)のうち、廉価版のLunaは性能面でAnthropicの「Opus 4.8」を上回りながら、推定コストは約4分の1で済むと公式ブログでアピールしている。
3社が8、9の両日に投入したモデルで、性能とともに強調していたのは「価格」だった。