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Adobe、日本からの参加者向けに「Adobe Summit 2025」の発表概要などを説明

 Adobeは、3月18日~3月20日に同社のデジタルマーケティングツール「Adobe Experience Cloud」に関する年次イベント「Adobe Summit」を米国ネバダ州ラスベガスで開催した。その最終日にあたる3月20日には、Adobeの日本法人となるアドビ株式会社(以下両社合わせてAdobe)による、日本からの参加者向け振り返りセッションが行われた。

 この中でAdobeは日本からの顧客が初めてAdobe Summitの分科会で講演を行ったことを紹介したほか、Adobe Summitで発表された発表概要などを振り返り、日本で行われる予定のAdobe Summit Japanの日程や会場などを紹介した。

Adobe Summit

日本からはカシオがAdobe Summit史上初めて日本の顧客としてプレゼンを行う

 アドビ株式会社 デジタルエクスペリエンス事業本部 専務執行役員 事業本部長 松山敏夫氏は「今回のSummitでは昨年の250を大きく上回る300を超えるセッションが開催され、12000人を超える来場者の方に参加いただいている。お越しいただいたお客さまに有益な情報を提供できたのではないかと考えている。本場のSummitに参加していただくことで、ほかのユーザーさまがどのような使い方をしているのかなどの有益な情報をキャッチアップしていただくことが可能になると考えており、ぜひ今後とも参加いただいてほかのお客さまとも直接情報交換をしていただきたい」と述べ、日本の顧客がAdobe Summitに参加することのメリットは、デジタルマーケティングの本場である米国の顧客事例やその顧客自身と直接交流して、新しいビジネス変革へのチャンスを見つけられることだと説明した。

アドビ株式会社 デジタルエクスペリエンス事業本部 専務執行役員 事業本部長 松山敏夫氏
300を超えるセッションが行われた(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 次いで、アドビ株式会社 プロフェッショナルサービス事業本部 サービスセールス統括本部 統括本部長 執行役員 田口恭平氏は、Adobe Summitの概要に関しての説明を行った。

 田口氏は「今年もAdobe Experience Maker Awardsが開催され、優れた顧客体験を届ける変革リーダーを表彰した。その中で、日本のお客さまであるカシオさまがファイナリストに選ばれた。また、本場のAdobe Summitでは初めて日本のお客さまとして、カシオさまには登壇もいただいている」と述べ、日本のカシオが、日本のAdobe Experience Cloudの顧客としては初めて分科会(ブレイクアウトセッション)に登壇し、Adobe Experience Maker Awardsでも最終選考まで残ったことなど、日本法人や日本の顧客にとっても大きな意味があるAdobe Summit 25になったと強調した。

Adobe Experience Maker Awards(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
分科会に日本の顧客として初めてカシオが登壇(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
カシオがファイナリストに(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
アドビ株式会社 プロフェッショナルサービス事業本部 サービスセールス統括本部 統括本部長 執行役員 田口恭平氏

 また、田口氏は3月18日に行われた開幕基調講演についても触れ、その発表概要であるAdobe Experience Platform Agent OrchestratorやAIエージェント、さらにはコンテンツサプライチェーンの強化策となるGenStudioのアップデートなどに関して説明を行った。

基調講演のスピーカー(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
戦略基調講演のスピーカー(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 田口氏は「Adobeは2009年にOmnitureを買収してデジタルマーケティングに参入し、その後もMagento、Marketo、Workftontなどを買収することなどでAdobe Experience Cloudの機能拡張を果たしてきた、今回のSummitの標語である、調和のとれた顧客体験(Customer Experience Orchestration)は、そうしたAdobe Experience CloudにAIの力が加わることで調和が実現されていくという意味があり、オーケストラがそれぞれの楽器が自律的に調和を実現していくように、AIが自律的に積極的な提案をしてくるように顧客体験を進化させていく」と述べ、それぞれの製品がAIによりさまざま提案することで、全体として調和のとれた顧客体験が実現可能になると強調した。

今回のAdobe Summitでも生成AIが話題の中心に(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
AIエージェント(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
調和のとれた顧客体験(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 また、そうしたデジタルマーケティング向けのコンテンツを、作成から効果までを一気通貫に制作・管理できるコンテンツサプライチェーン向けの製品として、GenStudioに関しても、多くのアップデートがあると説明した。

コンテンツサプライチェーン(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 また今回のAdobe Summitでは、ザ・コカ・コーラ・カンパニー、イリ・リリー、JPモルガン・チェース、マリオット、サービスナウなどの顧客事例が紹介されたことに触れ、それぞれの顧客企業のメッセージなどが紹介された。

顧客事例の紹介(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

AEP Agent Orchestrator、AEP Agent、Adobe Brand Conciergeなどのアプリケーションが発表される

 アドビ株式会社 デジタルエクスペリエンス事業本部 ソリューションコンサルティング部 執行役員 鵜瀬総一郎氏は、製品の観点からAdobe Summit 25でどのようなアップデートが行われたかと、その具体的な発表時期を説明した。

アドビ株式会社 デジタルエクスペリエンス事業本部 ソリューションコンサルティング部 執行役員 鵜瀬総一郎氏

 「今回のSummitではAdobe Experience Platform(AEP)のAI、生成AI、エージェントを強化するフレームワークとモデルとしてAEP Agent Orchestratorが発表され、その上で顧客と直接やりとりをする目的別のAIエージェントとしてAEP AIエージェントが追加された形となる。そしてそれらを活用して動作するアプリケーションとしてAdobe Brand ConciergeのB2C版とB2B版、さらにはAdobe Experience Manager Sites Optimizer、Adobe Journey Optimizer Experimentation Accelerator、Adobe Marketing Agent for Microsoft 365 Copilotなどが発表されている」と述べ、Adobe Experience Manager Sites OptimizerがすでにGA(一般提供開始)になっているほか、残りの4つは今年の後半から提供開始になると説明した。

AEP Agent OrchestratorとAEPエージェント(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
AEP Agent OrchestratorとAEPエージェント、発表されたアプリケーション(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
AEPエージェント(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 このうちAdobe Journey Optimizer Experimentation Acceleratorは、Adobe Journey OptimizerにAEPエージェントのExperimentation Agentの機能を追加したものとなる。Adobe Targetで実地するテストを、顧客ジャーニーやキャンペーンに内包する形でAdobe Journey Optimizerに読み込むことができるという。

Adobe Journey Optimizer Experimentation Accelerator(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 また、Adobe Experience Manager Sites Optimizerは、AEPエージェントのSites Optimizer Agentを利用したAEM(Adobe Experience Manager)上のアプリケーションになり、企業のコンテンツバリエーションを自動的に提案し、生成する。

Adobe Experience Manager Sites Optimizer(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 Adobe Marketing Agent for Microsoft 365 Copilotに関しては、Microsoft 365 Copilot(Microsoftの生成AIエージェント)と連携し、Adobe Experience Cloud上にあるアセット(コンテンツやデータのこと)連携が可能になるほか、Adobe Experience Cloud上のデータを活用してPowerPointやWordなどで簡単にキャンペーンの効果測定レポートを作成できると説明した。

Adobe Marketing Agent for Microsoft 365 Copilot(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 またAdobe Brand Conciergeに関しては、B2C版とB2B版があり、AIを利用した消費者向けのコンシェルジュ機能、および企業ユーザー向けのコンシェルジュ機能を提供すると説明している。

Adobe Brand Concierge(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 GenStudioに関しても、ワークフロー・プランニング、製作・プロダクション、配信・アクティベーション、レポーティング・インサイトそれぞれの段階でAEPエージェントを活用した機能の拡張が行われている。また、GenStudio Foundationでは、GenStudioを活用する上で必要になるホームページ機能を提供し、コンテンツサプライチェーンのエンドツーエンドでの一元管理をより容易にする。

GenStudioの拡張(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)
デジタルメディア製品のアップデート(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

インフルエンサー絶賛募集中、5月29日に行われるAdobe Summit Japanで発表予定

 アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 Scale Program Marketing 部長 今来賢司氏は、Adobeが東京で開催する「Adobe Summit Japan」の予定などに関して説明した。

 今来氏によれば、Adobe Summit Japanは5月29日(木)に開催予定で、東京駅に近接する「TODAホール&カンファレンス東京」で行われる計画とのこと。現時点では日時と場所などが決まっているだけで、より詳細な情報は今後順次公開していく計画だと説明した。

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 Scale Program Marketing 部長 今来賢司氏
Adobe Summit Japan(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 さらに、アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 フィールドマーケティングマネージャー 小松崎扶美恵氏は、Adobe Experience Cloudのコミュニティ・インフルエンサープログラムとなる「Adobe Advocates」に関して説明を行った。

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 フィールドマーケティングマネージャー 小松崎扶美恵氏

 小松崎氏によれば、Adobeは日本において複数のユーザー向けのコミュニティプログラムやインフルエンサープログラムなどを行っており、ユーザーグループとしてはAdobe User Groups Leaders、Community Advisorsなどのプログラムを、インフルエンサープログラムとしてAdobe Champion、さらにはアワードプログラムとして前出の「Adobe Experience Maker Awards」などを行っており、それらを総称してAdobe Advocatesと呼んでいるという。

Adobe Advocates(出典:Adobe Summit 2025 Japan Wrap up Session、Adobe)

 すでに2025年のAdobe Advocatesの募集プロセスが2月から開始されており、4月25日まで募集が行われるという。そして5月29日に行われるAdobe Summit Japanでその結果が発表されるということなので、興味があるAdobe Experience CloudユーザーはAdobeにコンタクトしてほしいと呼びかけた。