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NTTデータグループの2025年度連結業績は増収増益、売上高5兆円・受注高6兆円を突破し過去最高を更新

新社長に財務畑出身の中山和彦副社長が就任へ

 株式会社NTTデータグループは8日、2025年度(2025年4月~2026年3月)の連結業績を発表した。それによると、売上高が前年比7.9%増の5兆46億円、営業利益は同50.7%増の4882億円、当期利益が同90.4%増の2651億円、受注高は前年比21.1%増の6兆105億円となった。

2025年度実績(対前年比増減概要)

 NTTデータグループの佐々木裕社長 CEOは、「売上高は5兆円を突破し、受注高は6兆円を突破した。営業利益、当期利益を含め、主な財務指標については過去最高を更新している」と総括した。

NTTデータグループ 代表取締役社長 CEOの佐々木裕氏(提供:NTTデータグループ)

 なお、2025年度は、同社が2022年度から取り組んできた4カ年の中期経営計画の最終年度となる。経営目標として掲げていた連結売上高4兆7000億円に対して、2025年度実績は5兆円となり計画を達成。また、連結営業利益率10.0%に対しては10.2%、顧客基盤(年間売上高50億円以上または5000万ドル以上の企業)は120社に対して125社、海外調整後EBITA率は10.0%に対して11.7%と、設定した目標のすべてを達成した。

2022年度~2025年度中期経営計画の達成状況

 「日本国内での堅調な成長に加えて、海外では事業ポートフォリオの統合および拡大を進めた。グローバルカバレッジは70以上の国と地域に及び、従業員数は20万人規模となり、海外売上比率は約6割に達している。世界のITサービス企業の売上ランキングでは世界5位のポジションとなった」と、中期経営計画の成果を振り返った。

グローバルカバレッジの拡大

国内・海外ともに好調、データセンター事業が大幅伸長

 2025年度の日本セグメントの売上高は前年比7.2%増の2兆727億円、営業利益は同10.0%増の2250億円。受注高は同23.4%増の2兆1555億円となった。

 「公共・社会基盤を中心とした大型案件の獲得により、受注高が大きく伸長した」という。

 日本セグメントの内訳は、公共・社会基盤の売上高が前年比4.3%増の8427億円、営業利益は同1.6%減の1066億円。受注高は31.3%増の8698億円。金融の売上高が前年比8.5%増の7618億円、営業利益は同14.7%増の912億円。受注高は22.6%増の7305億円。法人の売上高は前年比5.4%増の5960億円、営業利益は同8.8%増の667億円。受注高は6.4%増の4455億円となった。

日本セグメントの業績内訳

 海外セグメントでは、売上高は前年比9.4%増の3兆92億円、営業利益は同166.0%増の2665億円。受注高は同20.5%増の3兆8540億円の実績となった。

 「GTSS(Global Technology and Solution Services)を中心に大型案件を受注している。また売上高では、データセンター事業における譲渡益に加えて、APACを除く海外事業が堅調に推移した」という。

 そのうち、North Americaの売上高が前年比1.6%増の6101億円、EBITAは同39.8%増の474億円。受注高は同1.2%増の7960億円。EMEALの売上高が前年比7.3%増の1兆1020億円、EBITAは同29.0%増の601億円。受注高は同14.8%増の1兆1643億円。APACの売上高が前年比1.9%減の3568億円、EBITAは同1.2%増の253億円。受注高は同16.7%増の3891億円。GTSSの売上高が前年比20.7%増の1兆393億円、EBITAは同148.6%増の2419億円。受注高は同40.2%増の1兆4938億円となった。

海外セグメントの業績内訳

 データセンター事業に関しては、売上高は前年比40.1%増の5203億円、EBITDAが同105.9%増の2821億円、営業利益が同196.5%増の2090億円となった。受注高は前年比57.1%増の1兆882億円となっている。また、2026年3月末時点の受注残高は3兆1997億円となり、2025年3月に比べて9606億円も増加した。

 2025年度には約130MWの提供を新たに開始しており、2026年3月時点では約1630MWを提供している。

2026年度業績予想:AIビジネスを軸に増収を見込む

 一方、NTTデータグループの2026年度(2026年4月~2027年3月)の連結業績見通しは、売上高は前年比3.7%増の5兆1900億円、営業利益は同3.7%減の4700億円、EBITDAは同0.0%減の8000億円、当期利益が同15.1%減の2250億円とした。また、受注高では、データセンター事業を除き5兆2000億円を計画している。

2026年度 業績予想

 佐々木社長 CEOは、「売上高は、日本および海外における規模拡大に加え、AIビジネスの推進によって増収を予想している。特に、日本での成長を期待している。営業利益は、データセンター譲渡益を含み4700億円としているが、この影響を除くと対前年比で412億円の増益になる」と、成長戦略を維持していることをアピールした。

 日本セグメントは、売上高が前年比4.7%増の2兆1700億円、営業利益は同15.6%増の2600億円。受注高は同2.1%減の2兆1100億円としている。受注高は減少するが、売上高、営業利益は前年から拡大する計画だ。

 日本セグメントの内訳は、公共・社会基盤の売上高が前年比8.8%増の9170億円、営業利益は同21.0%増の1290億円。受注高は同22.9%減の6710億円。そのうち、中央府省・地方自治体・ヘルスケアの売上高が同12.4%増の4440億円、テレコム・ユーティリティは同7.0%増の1590億円を見込む。

 金融の売上高が前年比6.7%増の8130億円、営業利益は同25.0%増の1140億円。受注高は24.7%増の9110億円。そのうち、大手金融機関の売上高は同14.4%増の2710億円、地域金融機関は同11.5%増の2071億円、決済・保険が同10.7%増の1890億円とした。

 法人の売上高は前年比9.1%増の6500億円、営業利益は同21.4%増の810億円。受注高は0.1%増の4460億円とした。そのうち、製造・サービスの売上高は同5.3%増の2040億円、小売・消費財が同9.3%増の1070億円、コンサルティング・ペイメントは同11.1%増の2850億円としている。

2026年度 業績予想の内訳(日本)

 また、海外セグメントでは、売上高が前年比3.7%増の3兆1200億円、営業利益は同20.4%減の2120億円。Adjusted EBITAは同13.0%減の2960億円。受注高はデータセンター事業を除き3兆900億円とした。

 「すべてのユニットで増収を計画。データセンター譲渡益の影響を除くと、営業利益およびAdjusted EBITAともに増益の計画となる。海外においては、AIに対する戦略投資を増やし、中長期的な成長につなげる」と述べた。

 North Americaの売上高が前年比6.7%増の6510億円、Adjusted EBITAは同25.5%増の650億円。受注高は同6.5%増の8480億円。EMEALの売上高が前年比9.8%増の1兆2100億円、Adjusted EBITAは同25.2%増の840億円。受注高は同19.1%増の1兆3870億円。APACの売上高が前年比12.1%増の4000億円、Adjusted EBITAは同32.6%増の350億円。受注高は同16.4%増の4530億円。GTSS(Global Technology and Solution Services)の売上高が前年比0.6%増の1兆460億円、Adjusted EBITAは同19.6%減の1960億円。受注高は、データセンター事業を除き4020億円とした。

 中東情勢に関しては、「イラン国内でのビジネスはなく、データセンターも保有していないため、直接的な影響はない。だが、UAEやサウジアラビアなどの近隣諸国でのビジネスへの影響や、サプライチェーンへの影響、顧客のIT投資への影響、データセンター建設への影響などの観点から注視している」と語った。

2026年度 業績予想の内訳(海外)

 データセンター事業の2026年度の計画は、売上高で前年比4.6%増の5440億円、EBITDAは同19.9%減の2260億円としている。

 「2026年度は33億ドルの投資を想定し、第三者資本活用しながら、さらなるフットプリントの拡大を図る。デベロップメントカンパニーにより、第三者資本を入れてもらい、一緒になってデータセンター事業を拡大することも考えている。今後も積極的な投資を進め、2030年度には3GW超の規模を目指している。都市部近郊を中心に、クラウドおよびAI推論の需要にフォーカスし、ハイパースケーラーを主軸に事業を展開していく」との方針を示した。

 さらに、REIT以外も含めた第三者資本を活用したキャッシュリサイクルを推進し、財務健全性を保ちながら、さらなる事業拡大を図る考えも示した。

データセンター戦略

2030年度のEBITDA 1.2兆円を目指す「Quality Growth」戦略

 NTTデータグループの成長戦略についても説明した。

 「Quality Growth」をキーワードに掲げており、それに向けた各種施策を実行。EBITDAでは、2025年度実績の約8000億円を、2030年度には1兆2000億円に拡大する計画を新たに発表した。

 佐々木社長 CEOは、「質を伴った持続的な成長を実現するために、『AI-empowered New Value & Productivity』と、『Next-Gen Infrastructure』の2つの領域にフォーカスする」と述べる一方、AI技術の進展が、NTTデータグループのビジネス機会の拡大につながることを強調。「AI技術の進化によって、認知能力の向上だけでなく、物理空間への実装が進むことになる。AIの進化を新たなビジネス機会ととらえ、さらなる事業成長につなげる」との考えを示した。

Quality Growthの目標(2030年度)

 2025年12月に、米シリコンバレーに設立したAI新会社「NTT DATA AIVista」では、約20人体制となり、高度AI人材の登用が順調に進むとともに、最新のAI技術をタイムリーに取り込むことで、NTTデータグループのAI戦略の中核としての役割を強化。「お客さまへの価値提供を推進していく」と位置づけた。

NTT DATA AIVistaの設立

 NTT DATA AIVistaでは、「コアAIプラットフォーム」の開発を行っており、業務手順を最適化する「エージェント/ワークフロー機能」、顧客データや業界知見を整理し、AIエージェントに適切な情報提供する「データマネジメント機能」、AIエージェントの用途に応じてLLMを使い分ける「LLM連携機能」を用意。これをベースに、NTTデータおよびNTT DATA, Inc.が業界特化型AIを提供することになる。

 現在、北米市場において、保険業界を対象にしたユースケースづくりに取り組んでいるほか、製造業におけるサプライチェーン領域や、金融業界を対象にしたユースケースを創出。約2000人規模の企業では、AIプロセスを組み合わせることで、500人規模で業務の運用ができようになるという。今年夏をめどに実装を完了し、日本を含むグローバルでの横展開を想定している。

業界特化型AI×コアAIプラットフォームによるAIビジネス戦略

 また、「AIビジネスを支える基盤がNext-Gen Infrastructureとなる」とし、「要件に応じたAIレディなインフラ環境を、フルスタックで提供することができる。セキュリティ要件が高いお客さまに対しては、ソブリンクラウドや高度なサイバーセキュリティ技術を活用し、ソブリンAI環境を提供する」とも述べた。

AIビジネスを支えるNext-Gen Infrastructure

 AnthropicのClaude Mythosについては、「AI版ハッカーが登場するともいえる。人間よりも効率的に脆弱性を見つける可能性がある。ほかのLLMでも同様の機能が実装されることも想定されている」とし、「これを悪意があるプロセスに使うのか、企業や行政などの守る側で使うのかが大きなポイントになる。守りの領域で使うことをしっかりと考えていく必要がある。NTTデータグループは、AIの最新技術をキャッチアップし、守りの領域でサポートできるようにしたい」と語った。

 さらに、「SaaS is Dead」と呼ばれる動きについては、「AIの進化によって、これまでシステム化していた以外の領域にもサービスが拡大し、認知能力が向上し、ホワイトカラーワーカーの支援を行い、物理空間においてはエッセンシャルワーカーの支援を行う動きが浸透することになる。NTTデータグループは、これをビジネスチャンスとしてとらえている。ソフトウェア開発の効率が高まるため、人的リソースが少なくて済むようになるが、それ以上にオポチュニティが広がり、人が活躍する場が生まれると想定している。この動きをとらえ、いち早くサービスとして提供することも大切である。NTTデータグループでは、国内では人材採用を絞ることは考えていない」などと述べた。

中山和彦氏が新社長に就任へ

 なお、NTTデータグループの代表取締役社長CEOに、2026年6月12日付で、中山和彦副社長が就任する人事を発表した。佐々木裕社長 CEOは、6月18日付でNTTの代表取締役副社長に就く。

 同社の2025年度決算発表説明会の後に行われた社長交代会見で、中山次期社長は、「NTTデータグループは、戦略を実行し、成果につなげるフェーズに入ってきた。2030年度に、EBITDAで1兆2000億円を目指すという新たな目標を掲げたが、これまでやってきたことを継続、拡大するのではなく、成長戦略の実行によって実現するものにしたい」とし、「持ち株会社であるNTTデータグループは、グループ全体の方向性を明確にし、経営資源の最適配分を一層強化することにより、成長に向けた投資を機動的に実行していく」と述べた。

NTTデータグループの次期社長CEOに就任する中山和彦副社長(右)(提供:NTT西日本)

 中山次期社長は、1964年10月生まれ、1989年4月に日本電信電話(現NTT)に入社。2007年6月に東日本電信電話(現NTT東日本)財務部担当部長、2012年7月に財務部門 IR室長、2014年6月に総務部門秘書室担当部長を経て、2018年6月にエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(現NTTドコモビジネス)財務部長、2019年6月に取締役財務部長に就任した。2020年6月にNTT 執行役員財務部門長、2023年6月にNTTデータグループ 取締役副社長執行役員コーポレート総括担当、2024年6月に代表取締役副社長執行役員コーポレート総括担当に就いた。

 副社長の立場では、持ち株会社体制への移行、成長戦略の策定に取り組んできたという。

 財務畑出身という立場から、「NTTデータグループは、ITサービス企業のなかでは、バランスシートが強固な会社である。財務体力があり、資金力、投資力もある。新たな投資ができ、社員にも力がつき、有能な人も集めやすいというところに、NTTデータグループの強みがある」と語った。

 座右の銘は、「楽は苦の種、苦は楽の種」。

 小学校1年生のときの担任だった明治生まれの先生から教わった言葉だという。「苦は楽の種というのは理解しやすいが、楽は苦の種というのは、最近仕事をしていて感じることである。会社の業績が上がり、調子がいいときこそ、楽をしないで、将来を見据えて新たな手を打っていくことが大切である。そう考え、この言葉を仕事に生かしている」とエピソードを紹介した。

 また、中山次期社長は、「AIの進化により、事業環境を大きく変化しており、NTTデータグループは、この変化に対応した経営を進めているところだ。このタイミングで社長に就任し、NTTデータグループ全体の成長をリードする責任の重さを感じている。競争力の源泉は、20万人の社員である。Be the place where people growというカルチャーのもと、現場の声を尊重し、一人ひとりが成長し、社員がチャレンジする環境を整えたい」とした。

 NTTデータグループでは、バリューとして、「Respect every voice」、「Think big. Be bold」、「Deliver the outcome」、「Win together」の4つを掲げている。「これらを体現し、チームとして、成果を積み重ねていきたい。将来、後輩から、あのときに変革をしてくれてよかったと言ってもらえるような経営を目指し、社会にも対しては、新たな価値を提供しつづけていく」と抱負を述べた。

 一方、佐々木社長 CEOは、これまでの取り組みについて振り返り、「36年間にわたり、NTTデータに所属した。これからは、NTTというより大きな船のかじ取りの一部を担うことになるが、立場を変えて、NTTデータグループを支援する」とし、「2022年の海外事業統合から始まり、データセンター需要に対応した投資の拡大、シンガポールREITへの上場、2025年9月のNTTの完全子会社化といった構造改革を進め、2025年度には売上高5兆円となり、世界5位のポジションとなった。この成果は、うれしく感じている。20万人の社員が、One NTTデータとして、Win Togetherを実践できた。この勢いが継続することを期待している」と語った。

 また、佐々木社長 CEOのNTTへの異動について、NTTの島田明社長は、「日本で売上高1000億円以上の企業は約2000社あり、そのうち約500社が、NTTデータグループのお客さまであり、深く入り込んでいる。だが、見方を変えれば、3倍の市場がまだ残っている。これまでは、リソースが確保できなかったという問題もあった。AIを活用することで、タッチできなかったお客さまにタッチするところや、国内のビジネスと海外のビジネスを結びつけるところにも知見を、NTTの立場から生かしてほしい」と期待を寄せた。

NTTの島田明社長(提供:NTT)