イベント

日本全体に向けて真のDXを拡大したい――、日本マイクロソフトがパートナー戦略を説明

デジタルカンファレンス「Empower Partner Days 2020」基調講演

 日本マイクロソフト株式会社は、8月26日・27日の2日間、デジタルカンファレンス「Microsoft Empower Partner Days 2020」を開催している。パートナー企業を対象にした同社初の大規模デジタルイベントだ。

 「Empower Partners」、「Empower With Partners」をコンセプトに、最新ビジネス戦略や国内外の最新事例、日本マイクロソフトとパートナーとの協業によって生まれる、デジタルトランスフォーメーション(DX)による未来の提案などを通じて、パートナーがビジネスにおけるインサイトを得ることを狙っているという。

 会期初日の8月26日午前10時から公開された基調講演では、「“ニューノーマル”を見据えた、デジタルトランスフォーメーション実現に向けて」と題して、日本マイクロソフトの吉田仁志社長をはじめとする4人の同社幹部や、ゲストスピーカーが登壇。日本マイクロソフトが注力するイノベーションや、ニューノーマルを見据えたDXの実現と、次の一手を考察する内容とした。

 また、基調講演のなかでは、Microsoft Japan Partner of the Year 2020を発表。8カテゴリーで30社が受賞した。

目指す姿は「マイクロソフトといえばDX」「DXといえばマイクロソフト」

 日本マイクロソフトの吉田社長は、「2020年7月から始まった新年度において、日本マイクロソフトが目指すのは、『お客さまに寄り添うマイクロソフト』であり、引き続き、お客さまのDXを支援する会社に進化していく。マイクロソフトといえば、DX。DXといえばマイクロソフト。そう認識してもらえる企業を目指す」と切り出した。

 また、同社のサティア・ナデラCEOが、「新型コロナウイルスの感染拡大により、生活やビジネス、社会全体が影響を受け、この2カ月で2年分に匹敵するDXが起こっている」と発言したことに触れながら、新型コロナウイルスの感染拡大以前から、マイクロソフトは、距離を価値に変える「Remote Everything」、自動化が前提の世界となる「Automate Everywhere」、データを企業の力にする「Simulate Anything」という3つのトランスフォーメーションに取り組んできたことを紹介。これらが今後のニューノーマル時代において重要な要素になることを示した。

日本マイクロソフト 代表取締役社長の吉田仁志氏

 吉田社長は、「新型コロナウイルスの状況下で、日本はいかに準備不足であったか、世界に後れをとっていたかが浮き彫りになった。例えば、リモートワークひとつをとっても、日本では迅速に対応することが難しい現実が明らかになった。そこには、ITインフラが整っていない、制度のハードルがある、カルチャーや信頼関係がないといった3つの問題があった」と指摘。

 「現在、企業が置かれた状況は、在宅勤務率を話題にするステージと、さらに生産性をあげることを考えるステージの2つに分類できる。日本マイクロソフトは、リモートワークは当たり前の状況であり、自らのDXのために、ソフトウェアやソリューションを変えてきた。Microsoft Teamsは、単なるテレビ会議システムではなく、生産性をあげるコミュニケーションやコラボレーションのためのプラットフォームであり、顧客との接点を増やすためのソリューションである」とアピールした。

 さらに、「新型コロナウイルスの影響により、DXがいかに必要であるかということを、強く感じている企業が多い。マイクロソフトは、自らのDXにおいて、仕事のやり方を変え、仕組みを変え、会社のカルチャーも変え、そのための試行錯誤を繰り返してきた。これらの経験を、失敗談を含めて共有したい。日本マイクロソフトがお客さまに寄り添いDXを支援することで、より良い世の中につながると信じている。日本を変えていてこう。そのためにマイクロソフトは努力を惜しまない」と締めくくった。

 このなかで、神戸市では、特別定額給付金の申請に関する問い合わせが可能なサイトを構築。技術者ではない神戸市の職員がMicrosoft Power Platformを活用して、わずか1週間で構築した例などを紹介した。

3つのイノベーションが同時に起きている

 続いてパートナーとの協業事例などについて、日本マイクロソフト 執行役員専務 エンタープライズ事業本部長の高橋美波氏が説明した。

日本マイクロソフト 執行役員専務 エンタープライズ事業本部長の高橋美波氏

 高橋執行役員専務は、日本において、ワークスタイルイノベーション、インダストリーイノベーション、ライフスタイルイノベーションの3つのイノベーションが同時に起きていることを示しながら、「2020年6月までの昨年度は、デジタルの民主化(Democratizing Digital)により、フロントワーカーがデジタル技術を活用することで、社会の革新、事業の革新を支援することを目指してきた。新型コロナウイルスの影響によって、デジタル化の波が想定以上に加速している。この波をしっかりととらえた企業だけが事業の継続性を維持している」と語った。

 一方、製造業や流通業、金融、教育、ヘルスケアといったさまざまな業種において発生しているサプライチェーンの分断、需要予測やワーカーの確保、非接触でのサービスの提供、オンラインを活用した継続的なサービスの提供といった新型コロナウイルスによって発生した課題を、パートナーとの連携ソリューションによって解決した例を紹介した。

 また、ゲストスピーカーとして登場したアクセンチュア 代表取締役副社長の関戸亮司氏は、2019年2月にアクセンチュア マイクロソフト ビジネス グループ(AMBG)を設置したことに触れながら、「7割強の顧客が、事業の継続性のために、リモート環境を構築するといった対応だけにとどまらず、中長期的なチャレンジができるオポチュニティととらえ、ビジネスのやり方を見直すきっかけにしている。この機に、以前から考えていたDXを加速したいという企業も多い」と指摘する。

 ただし、「日本の企業は、最初から完璧なものを求める傾向が強い。70点、80点のものを素早く作って、それをブラッシュアップするMinimum Viable Productのアプローチが苦手である。だが、これをやっていかなくてはならない」とも述べ、「ビジネス部門とIT部門が一体になって、この仕組みを作っていくことが、DXにおいて一番の成功要因になる」との考えを強調した。

アクセンチュア 代表取締役副社長の関戸亮司氏

日本全体に向けて真のDXを拡大したい

 日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部長の檜山太郎氏は、同社のパートナー事業戦略について説明した。

日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部長の檜山太郎氏

 2020年4月には、Teamsの利用者数が1日7500万人に達し、パートナーとともに推進したインダストリーの案件規模が200倍にも増加したことを紹介する一方、4月に実施した国内企業のIT戦略意思決定者を対象にした調査では、企業の緊急検討項目として、「コラボレーションとコミュニケーションの高度化」が筆頭となっていること、日本ではビッグデータの活用が進んでおらず、63カ国中で最下位になっていること、日本のデジタル技術スキルは63カ国中62位になっていること、日本の受託開発比率は、米国の約2.5倍の88%に達しており、これがIT業界のスピードの差につながっているといった課題を挙げる。

 そして、「DXに早くから取り組んだ企業と、DXの壁を乗り越えられない企業の差が出てくるだろう。DXの勢いに乗っている組織、課題に直面したままの組織のいずれも、日本マイクロソフトはサポートする。そのためには、パートナーの力が欠かせない」とした。

 また、「昨年度はインダストリーソリューションを促進し、クラウドシフトにとどまらず、ビジネス成長を目指したDXを提案した。SEのトレーニング強化に加え、業種特有の戦略やプロセスをとらえ、交通、製造、流通、小売、ヘルスケア、金融の6業種において、課題に応じたソリューションをリファレンスアーキテクチャとしてリリースした。すでに、いくつかの成功事例も出ている」と前置き。「本年度は、これまで培ってきた先進事例から多くを学び、日本全体に向けて真のDXを拡大したい。パートナーとともに、ニュースタンダードを創造することを目指す」とした。

 本年度の注力エリアとして、「安全で価値を生み出すリモートワークを、業務とテクノロジーの両面で支援」、「現場社員自らがテクノロジーを活用できるビジネスドリブンのデジタル化」、「データとAIのパワーで、組織、業界を超えた新たなビジネス創造」の3点を挙げる

 注力アプローチとしては、「リピータブルなクラウドソリューションを迅速に展開するためのチャネル改革」、「パートナーエコシステムを最大活用した業種横断の協業開始」、「テクノロジーとビジネスをつなぐスキリング、組織設計」の3点を打ち出した。

注力エリアと注力アプローチ

 「パートナーのソリューションを、日本マイクロソフトの営業が共同販売するコセル(Co-Sell)の仕組みを一層強化したい。パートナーセンターを通じてリアルタイムに連携し、顧客のニーズに応じて、最適なパートナーやソリューションを提案できるようにする。また、ソリューションをダイレクトに届けるマーケットプレイスの活用提案も促進する。さらに、IT業界のパートナーだけでなく、これまではユーザーだった企業にもパートナーになってもらい、各業界や技術分野で専門性を持ったパートナー同士が、従来の枠組みを超えて連携する協業モデルも推進する。加えて、経営や業務と、テクノロジーの両輪で変革を進めることができる人材育成のためのプログラムも用意する」(檜山氏)。

 具体的なパートナー支援策としては、戦略レベルからソリューション導入までのワークショップを提供するとともに、2000~5000ドルの支援金を提供する「Microsoft Cloud Accelerators」プログラム、セキュアなリモートワーク環境の普及促進のためのパートナーアライアンスの推進といった項目を展開。

 また、PowerPointの資料を作成するような感覚で、ローコードやノーコードによってアプリを開発できるMicrosoft Power Platformの活用促進、「App in a Day」などのTech Intensityを高めるためのハンズオンの提供支援、目的志向のDXを迅速に実現するための「業種別リファレンスアーキテクチャ」の提供、組織レベルでクラウドネイティブでの開発を実現するためのナレッジフレームワーク「Cloud Adoption Framework(CAF)」の提供、クラウド人材およびAI人材の継続的な育成支援に向けた取り組みなどに加え、Advanced Specializationの取得、Azure Expert MSPの取得の促進を図る。

なパートナー支援策

ソフトバンクとワークマンおよびEcbeingの取り組み

 ニューノーマルを見据えたDXを推進している具体的なパートナー企業として、ソフトバンクとワークマンおよびEcbeingの取り組みを紹介した。

 Microsoft Japan Partner of the Yearを受賞したソフトバンクの藤長国浩常務執行役員は、「コロナ禍において、テレワークに関する脆弱なシステムしか持っていなかった日本の企業を後押しするために、さまざまなツールを納めた。また、通信事業者としてネットワークの安定性や品質をあらためて確認し、これを提供してきた。0ABJのIP電話サービスを、Teamsを通じて提供するUniTalkも好評であり、TeamsやWindows Virtual Desktop(WVD)も導入が進んでいる」とする。

 さらに、「今年から5Gサービスが始まった。ローカル5G、プライベート5G、パブリック5Gにより、顧客の課題や社会の課題の解決を進めたい。そのためには、発注者、受注者という関係ではないパートナーリングを築きたい。技術を補完しあうような共創関係を構築したい。日本マイクロソフトとソフトバンクの両社が持っている特性を十二分に生かして、顧客の役に立ち、日本の課題も解決したい」と述べた。

ソフトバンク 常務執行役員の藤長国浩氏

 一方、作業服専門メーカーであるワークマンが、2014年から小売と製造を一体化したSPA(製造小売業)へと転換。2018年には「ワークマンプラス」という新たな店舗展開を開始したほか、2020年にはeコマースを導入し、新たな顧客の獲得や業績の拡大につなげた事例を紹介した。

 ワークマンの土屋哲雄専務取締役は、「成長のために商品を増やすこと、新業態において、データ経営を推進することを改革の柱にした。また、部長以上の昇格条件に改革マインドとデータ活用力を取り入れ、社員全員がデータを用いて社内を改革する仕組みとした。Excelでは相関関係はわかるが、因果関係は実験しないとわからない。全社員がデータをもとに、実験できる体制を敷き、草の根の分析ができるようにし、因果関係を導き出せる人材を育てた。小さな変化を、現場のさまざまなデータからとらえることがデータ経営であると考えている」と話す。

 「需要予測をするためのAIがわれわれにとってコアな技術であり、将来的には完全自動発注を目指している。またeコマースの導入にあわせてシステムを変更し、ネット通販に対抗できるように、全国880店舗の強みを生かせるようにした。従来から、店頭受け継利率は66%あったが、店舗に来てもらえることが大切である。仮に2000店舗の体制になるとネット通販も怖くない。また、テレビで紹介されるとサイトが100%落ちていたが、Azureを活用したことでこれがなくなった」とし、同社が取り組むクリック&コレクトの成果を紹介した。

 さらに、「150人が参加する会議を本社で開催していたが、後ろの方の席では資料が見えないなどの課題があった。Teamsを使ったオンライン会議に移行したところ、資料がよく見え、サンプルもよく見える。会議のための出張旅費も、300万円ぐらい削減できた。オンラインの方がいいという声もあった」とも述べている。

 また、パートナーとしてワークマンを支援したEcbeingの林雅也社長は、「AIを活用することで、入社2年目の店長でも熟練の経験者と近いものが実現できる。またAzureはリソース調整がやりやすい。瞬間的にトラフィックが増えるワークマンの場合には適している。ただ、AIの開発は個社別での研究開発は難しい。マイクロソフトには、AI活用のインフラとなるものをブラッシュアップして提供してほしい」と述べた。

ワークマン 専務取締役の土屋哲雄氏
Ecbeing 代表取締役社長の林雅也氏

新たなパートナーフォーラムとして「Re:Innovate JAPAN」を開設

 最後に登場した日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏は、パートナーと日本マイクロソフトのDXにおける協業について説明。

 「日本マイクロソフトは、すべての顧客に対して、回復力を持ってもらうための支援を行っていく。問題解決に向けたテクノロジーの提供を通じた復旧支援に加えて、これまでとは異なるニューノーマルへの取り組みを支援する。そのために、最も大切なのは人の潜在能力を引き出すことであり、企業がRemote Everything、Automate Everywhere、Simulate Anythingの3つの基軸に取り組むことが大切になる。あらゆることを離れていても実現できるようにし、ビジネスプロセスの自動化による効率の加速や、データ分析による先行きを見通す道しるべによって、いままでの次元を超えたスピードで、洞察を手に入れることが成功のカギになる。これを実現すると、リスク判断と意思決定をするために、新たな職種や新たな人材を作り出す必要がある。これらの仕組みが企業のイノベーションを支えることになる」とした。

日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏

 ここでは、新たなパートナーフォーラムとして、「Re:Innovate JAPAN」を開設することを発表。「パートナーとともに、日本を新たに創造することを目的にしたものであり、さまざまなビジネスを支え、Re:Innovateを後押しするソリューションと連携し、経済を復活させ、企業が成長を遂げられることを目指す。日本の再興に向けたエコシステムを構築したい。そして、日本最大のフォーラムにしたい」などと語った。

 Re:Innovate JAPANは、2021年6月30日までの活動期間とし、特設サイトを通じた情報発信、リアルやオンラインでのセミナー、参画企業を対象にした勉強会を実施。調査レポートの共有や、課題に対する議論、セールスリードの機会創出にもつなげる。幹事会社として、ソフトクリエイト、ドリームアーツ、PSC、フォンアプリ、富士通が名乗りをあげている。

Re:Innovate JAPANの活動概要

 日本コンピュータシステム販売店協会の会長も務める、ソフトクリエイトの林宗治社長は、「コロナ禍の6カ月で感じたのは、IT導入プロセスが大きく変化したこと。しっかりと計画して導入するスタイルから、とにかく早く試してみる形に変化した。800社の情報システム部門を対象に調査したところ、ITに無関心であった、古い体質の経営陣の関心が、デジタルに向けられたことが浮き彫りになっている。いまはマイクロソフトパートナーのなかで、価格競争やシェア争いをしている場合ではない。ITの人材リソースをお互いにフル活用して、得意分野を広げていくべきである。日本コンピュータシステム販売店協会では、ベンダーと販売店の橋渡しはできていたが、販売パートナー同士の関係構築が課題であった。Re:Innovate JAPANによって、パートナー同士のビジネスを活性化したい」と述べた。

 ドリームアーツの山本孝昭社長は、「Re:Innovate JAPANは、素晴らしいタイミングでのスタートである。5万人の社員がいる人事部門のミドルマネジメントが、もっと価値のある仕事に取り組みたいが、本質的には戦略的な価値も付加価値もない仕事に多くの時間を取られていると語っていた。これが現場の本音であろう。戦略の賞味期限は短くなった。これまで重視されてきたのは、時間をかけて作った緻密(ちみつ)な計画と戦略を、慎重に推進していくことであったが、このやり方の価値は急速に低下している。トライ&エラーを繰り返し、そこから学んで、新しい戦略を導き出し、拡張し、変化させる仕組みに転換している。日本の企業は、業務のデジタライゼーションを徹底して進めなくてはならない時期にある。ソリューションを提供できる立場のわれわれが、日本の企業にソリューションを広め、提案しなくてはならない」とコメントした。

ソフトクリエイト 代表取締役社長の林宗治氏
ドリームアーツ 代表取締役社長の山本孝昭氏

 活動においては、4つの具体的な利用シーンとして、「Re:Innovate Process」、「Re:Innovate Logistics」、「Re:Innovate Sales」、「Re:Innovate Communication」を定義。それぞれの領域から深堀りし、課題の洗い出しや、課題解決につなげるパートナーのソリューションの提案を行うという。

顧客の課題解決に向け、何がブロッカーになっているのか

 続けて手島執行役員常務は、「顧客の課題解決に向けて、何がブロッカーになっているのか」という観点から、日本マイクロソフトの取り組みに言及。「これまでは課題解決に向けて個別のシステムを導入する形を取ってきたが、これでは複雑化する課題は解決が難しい。個別システムでサイロ化されたデータを解き放して、データが連携しやすい環境を作ることが重要なテーマになる。これによって、マイクロソフトが提唱しているデジタルフィードバックループが実現されることになる。データの集約とインテリジェンスな処理を中心に据えることで、人の潜在能力を引き出し、より多くのことが実現できる」と述べた。

 また、米本社が、2020年7月に開催したパートナー向けデジタルイベント「Microsoft Inspire」で、ナデラCEOが示した「コラボレーションの強化」、「柔軟な開発環境」、「データ活用の促進」、「包括的なセキュリティ」という、マイクロソフトが持つ4つの強みを示しながら、「さまざまな課題に対するソリューションは、さまざまなサービスとの組み合わせにより、柔軟で、スケーラブルなものとして提供される。マイクロソフトは、用途ごとに組み合わせたり、柔軟に利用できる技術の実現に取り組んだりしている。これがBuilding Blocksであり、これだけ多くのサービスを持っているのはマイクロソフトだけである」と主張。

 「マイクロソフトが提供するサービスに、パートナーのソリューションや知見を加えることで、レゴブロックを組み合わせていくようにサービスを活用できるプラットフォームを提供することが、マイクロソフトが考える最大の価値提供であり、パートナーの価値提供を最大化することにつながる。パートナーの価値をテーラーメード化し、部分的なサービス提供から、包括的なソリューションに変えることができる。マイクロソフトの個々のソリューションだけでなく、Building Blocksによってどんな価値が提供できるのか。本年度は、そこに取り組む1年にしたい」とした。

ナデラCEOが示したマイクロソフトの4つの強み
マイクロソフトが提供するクラウドソリューション

 マイクロソフトでは、2020年7月から始まった新年度において、これまでのソリューションエリアに加えて、「セキュリティ」、「コンプライアンス」、「アイデンティティ」、「サポート」という事業分野を加え、顧客満足度向上に取り組むという。

 また日本マイクロソフトでは、Solution Competency Centerを通じて、専門性を持ったパートナーとの連携を強化。共同Go To Marketingの強化や、パートナーとの専門性の融合によるCenter of Excellenceの実現に取り組むと述べた。

2021年度の強化施策

 「技術やソリューションを顧客のビジネスに変換することが日本マイクロソフトのミッションである。そのためには、パートナーとの連携が欠かせない。本年度はパートナーとの連携を意識した活動に注力していく。協働する取り組みに参加してほしい」と、パートナー各社に呼びかけた。

 基調講演の締めくくりに再登場した日本マイクロソフトの檜山執行役員常務は、「テクノロジーを通じて、ニューノーマルをよりよいものにしていく責務を、パートナーと一緒に果たしたい」と決意を述べた。