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ソフトクリエイト、バックアップと相談窓口をセットにしたMicrosoft 365 Business Premiumを販売開始

 株式会社ソフトクリエイトは23日、Microsoft 365とバックアップソリューション、運用支援サービスなどをセットにした「SCCloud 365」の提供を始めた。

 代表取締役社長の林宗治氏は、提供の狙いを、「中小企業はコロナ禍でテレワーク導入などデジタル化は進んだものの、DX実施にはほど遠い状況にあることがアンケート等から明らか。また、われわれ販売会社は、ITインフラがクラウドに変わったことで、競争の源泉は値引きくらいしかないことが実際のところ。当社自身もこれまでにも企業のクラウド活用支援策を提供してきたが、今回新たな利活用支援策を提供し、中小企業のDX実現を支援したい」と説明している。

株式会社ソフトクリエイト 代表取締役社長 林宗治氏

 SCCloud 365の価格は、同ソリューション内に含まれるMicrosoft 365 Business Premiumの価格である、1ユーザーあたり月額2390円。価格競争ではないビジネスを実施できることから、他のサービスを付帯してもこの価格で採算を取れると見込んでいる。ソフトクリエイトでは、今後3年間で300ユーザーへの導入を目指す。

Microsoft 365の新しい提供モデル

Microsoft 365を活用するために必要なものをセットにして提供した

 SCCloud 365は、Microsoft 365を活用するために必要なものをセットにして提供するソリューション。具体的には、Exchange Online、SharePoint Online、Azure AD、Microsoft Intuneなどがセットになった「Microsoft 365 Business Premium」、Microsoft 365のデータバックアップを行う「SCCloud SaaS Backup」、運用に悩むユーザーにメールで相談に乗る「Microsoft 365 相談所」の3つをセットにして提供する。

SCCloud 365のサービスコンセプト

 ソフトクリエイトではこれまでも、クラウド利用支援を目的として、中小企業の情報システム部門の担当者が集まる「ソフクリ365倶楽部」を運営。2000人の会員が参加し、コミュニティ活動を行っている。また、Microsoft 365を使いこなすための無償セミナーの開催、利活用事例を公表し、情報システム部門担当者の悩み解決のヒントとなるよう支援活動を行ってきた。

 「今回提供する新サービスは、それをさらに拡大し、シンプルでわかりやすいサービスを提供することで、ハイブリッドワークに必要な環境構築を支援していく。価格はMicrosoft 365 Business Premiumの価格そのままで、中小企業のDXを加速するサービスとすることを目指す」(ソフトクリエイトの林社長)。

 新サービス提供の背景として、ソフトクリエイトでは中小企業が、「DXが進展していない」、「Microsoft 365を導入したものの十分に使いこなせていない」、「SaaSサービスのデータ保全はユーザー側が責任を持つことが理解されていない」という3つの課題を抱えていると指摘する。

開発の背景

 「中小企業のDXは、大企業に比べ進展していない。Microsoft 365については、新しい機能が次々に加わるものの、中小企業では新機能を社内展開することが難しく、昔の機能だけを使い続けるユーザーが依然として多い。SaaSサービスは、クラウド側にデータがあるのでデータバックアップを行う必要はない、データはクラウドベンダー側が持っていてくれると考えるユーザーが多いようだ。データ保護はユーザー側で行う必要があることを啓発する狙いも込めて、データバックアップサービスもセットにして提供する」(ソフトクリエイト 技術本部 システムサービス統括部 統括部長の中島誠氏)。

株式会社ソフトクリエイト 技術本部 システムサービス統括部 統括部長の中島誠氏

 バックアップは、AvePoint Japan株式会社が提供する「AvePoint Cloud Backup for Microsoft Office 365」を採用。Microsoft 365 アプリの包括的なバックアップとリストアを実現する。

 AvePoint Japanの塩光献氏は、「当社はマイクロソフト専用のバックアッププロダクトを提供し、全世界に800万以上のユーザーを持つ。当社データバックアップソリューションは、クラウドにデータを保存するためユーザー側はIT資産を用意する必要がなく、1日に4回自動的にバックアップを行い、データを保護する。クラウドサービスのデータを守る責任はユーザー側にあるものの、それが浸透していない。ランサムウェア攻撃は、世界で11秒に1回起きているとされ、日本でも警視庁が被害が7倍に増えていると指摘している。データを守る最後のとりでとなるのがデータバックアップ」と述べ、クラウドサービスのデータバックアップをユーザー側が行うことの重要性を強調した。

SCCloud SaaS Backup

 Microsoft 365を使うためのノウハウについては、SCCloud 365専用のサービスである「Microsoft 365相談所」を通じてユーザー側に提供する。「提供するノウハウは、一般的なMicrosoft 365を利用する際にあがる質問に加え、ユーザー自身の環境に合わせた質問、利活用についての質問を受け付ける。Microsoft 365は、日々新機能、追加機能が加わるので、われわれもついていくことは容易ではない」(ソフトクリエイトの中島氏)と、新たな機能なども積極的に紹介する。

Microsoft 365相談所

 日本マイクロソフトの執行役員 コーポレート戦略統括本部長兼パートナー事業本部長の本多正樹氏は、「Microsoft 365 for Business Premiumを中堅・中小企業が使いこなすためには、必要な時に質問できる専門家の存在が不可欠。今回、相談窓口付きで製品販売をすることは非常に望ましいこと。ソフトクリエイトは、800社にMicrosoft 365を導入した実績を持ち、マイクロソフトの米本社が2021 Microsoft Partner of the Year AwardsのModern Workplace for SMB部門のファイナリストに選出されるなど、実績を持っている。今回のサービスは、中堅・中小企業のかかりつけ、顧問IT会社となるもので、IT人材の人手が足りない中堅・中小企業の課題を解決するもの」と、サービス開始を歓迎した。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コーポレート戦略統括本部長 兼 パートナー事業本部長 本多正樹氏

 ソフトクリエイトの林社長は今回のサービスによって、「従来は値引き競争しかできなかったクラウドサービス販売から、値引きをしない販売へと転換を図りたい」と強調する。値引きせずに販売することができれば、バックアップソリューションなどをセットにしても収益は獲得できるという。

 また、「Microsoft 365 Business Premiumは、使い始めると新たなサービス追加要望が出やすい。追加サービスも含めて販売することができれば十分にビジネスになる」と話す。

 今後3年間で300社への導入を目指すが、「当社のユーザーでMicrosoft 365ではなく、旧Officeを利用しているユーザーの乗り換えや、Microsoft 365を利用しているもののBusiness Premiumを利用していないユーザーの移行を促したい。さらに他社からパソコンなどを購入しているユーザーの取り込みなども行っていきたい」と林社長は説明している。