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GitHubをポケットに入れる――、モバイル版GitHubクライアントのベータ版が公開

 コード共有サイトのGitHubは、年次イベント「GitHub Universe 2019」を11月13~14日に開催した。本稿では、目玉となったモバイル版GitHubクライアント「GitHub for mobile」を紹介する。

モバイル版GitHubクライアントが登場

 1日目の基調講演ではさまざまな新機能が発表されたが、この日の発表で最大の目玉となったのが、GitHubをスマートフォンやタブレットで使うためのアプリ「GitHub for mobile」だ。

 新機能である通知管理の機能や、コメント、プルリクエストの処理など、GitHubでのコラボレーションの機能を利用できる。iOSおよびAndroidに対応したネイティブアプリで、iOSは同日ベータ版をリリース、Android版も近日中にベータ版をリリースし、2020年初頭に正式版をリリースする予定。

GitHub for mobile発表
GitHubのDirector of EngineeringのRyan Nystrom氏

 GitHub for mobileについては、GitHubのDirector of EngineeringのRyan Nystrom氏が紹介した。ホーム画面には、issueやプルリクエストの「My Work」、お気に入りのプロジェクトの「Favorites」、最近の活動を表示した「Recent」などが縦に表示されている。

ホーム画面に「My Work」「Favorites」「Recent」などが並ぶ

 今回、新機能として発表された通知管理の機能も、Web版と、iOS版、Android版とで同じ機能が使える。また、OSのプッシュ通知でissueやプルリクエストなどの新着が通知される。

 Web版と同様に、コードのシンタックスハイライトや変更差分にも対応している。レビューやプルリクエストなど、GitHub for mobileからこうしたコードを確認し、その場でコメントやプリリクエストの承認などができる。

通知はWeb版・iOS版・Android版とで同じように使える
プッシュ通知
通知されたプルリクエストを確認
プルリクエストを承認してマージ

 ダークモードにも対応し、ダークモード用のシンタックスハイライトも新しく作られた。

 iPadにも対応。iPhoneと同じバイナリで、iPadでは大きな画面に最適化された表示になる。また、iPadではWeb版と同じようなキーボードショートカットも使える。

 なお、予定されている強化点として、通知やコードレビューの機能強化を、Nystrom氏はブレークアウトセッションで語った。

ダークモードとiPad対応
ダークモードでのシンタックスハイライト(ブレークアウトセッションより)
iPadではキーボードショートカットも使える(ブレークアウトセッションより)
予定されている強化点(ブレークアウトセッションより)

どこでもコラボレーションできるようGitHub for mobileを開発

 基調講演のあと、Ryan Nystrom氏とDana Lawson氏に、GitHub for mobileについてインタビューした。

 モバイルアプリを開発した理由について、Lawson氏は「OSSのコーディングは、1人で孤独にするものではなく、チームスポーツ。そのためコラボレーションが重要」とし、共同作業でいつでもつながるように「GitHubをポケットに入れる」GitHub for mobileを作ったと語った。そのため、IDE機能などはいまのところ予定していないという。

 インタビューで語られた面白い機能に、Slackやメールとの連携がある。Slackやメールなどの連絡の中に、GitHubのプルリクエストなどのURLが書かれている場合、URLをタップするとWebブラウザではなくGitHub for mobileで開かれる、とNystrom氏は説明した。これによってモバイルですばやく対応できるようになる。

 基調講演ではGitHub Actionsを紹介したLawson氏は「GitHub ActionsもGitHub for mobileも、手動で何度もクリックしていく作業を自動化し、開発者の生産性を上げるということで共通している」と語った。

 今後について両氏は、今回のベータ版を使った人のフィードバックが大切だと強調した。フィードバックからユーザーの要望を探り、多数が共通して使うコアなユースケースに対応したいと語った。

Ryan Nystrom氏(左)とDana Lawson氏(右)