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デル・テクノロジーズ、データ保護ソリューション「PowerProtect」のポートフォリオを拡張
統合型アプライアンスのリリースとソフトウェアの機能強化など発表
2020年12月10日 11:17
デル・テクノロジーズ株式会社は9日、データ保護ソリューションのポートフォリオを拡張し、次世代統合データ保護コンバージドアプライアンス「Dell EMC PowerProtect DP」シリーズのリリースと「Dell EMC PowerProtect Data Manager」ソフトウェアの機能強化を発表した。
あわせて、「PowerProtect Cyber Recovery」(サイバー復旧機能)が、金融業界のサイバーレジリエンシー強化に取り組むシェルタード ハーバー(Sheltered Harbor)によって、初のオンプレミスターンキー型データ隔離ソリューションに認定されたことを発表した。同日には、今回の発表内容のポイントについて、オンラインで説明会を開催した。
顧客の保護コストを最小化する基本戦略を推進
説明会では、まず、デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏が、同社のデータ保護事業の取り組みについて説明。「データ保護事業では、『実証されたテクノロジー』と『最新鋭のテクノロジー』を組み合わせ、顧客の保護コストを最小化することを基本戦略としている。目指すコアバリューは“2S”+“ABCD”であり、『シンプル(Simple)なアーキテクチャ』と『単一(Single)のプラットフォーム』をメインコンセプトとし、『Application Centric Recovery』、『Backup and Recovery』、『Cyber Recovery』、『Disaster Recovery』の4つのデータ復旧を重視したソリューションを展開している」と述べた。
「こうした中で、国内・海外の顧客から、『マルチクラウドに対応したデータ保護』や『コンテナ環境向けデータ保護』、『データ保護運用負荷の大幅な改善』、『リモートワーク環境へのデータ保護』、『サイバー有事時の復旧機能の必要性』といった課題が寄せられていた。今回の発表は、これらの課題に対応するもので、データ保護・管理アプライアンス『Dell EMC PowerProtect』シリーズにコンバージドアプライアンスのラインアップを拡充し、最新モデルを市場へ投入する。また、サイバー復旧ソリューションの『PowerProtect Cyber Recovery』が、シェルタード ハーバーからの認定を取得した。そして、次世代データ保護・管理プラットフォームの『PowerProtect Data Manager』へのさらなる機能強化を実施する」と、データ保護ポートフォリオを拡張する背景について説明した。
具体的には、「Dell EMC PowerProtect」シリーズのラインアップ拡充では、従来から提供しているIDPAシリーズの技術を継承・強化し、最新の統合データ保護環境を提供するコンバージドアプライアンス「PowerProtect DP」シリーズを新たにリリースする。同シリーズでは、完全なバックアップ、リカバリー、レプリケーション、重複排除、クラウド対応によるDR(災害復旧)、パブリッククラウドを活用した長期保管などの機能をオールインワンで提供する。
デル・テクノロジーズ DPS事業本部 事業推進担当部長 シニア ビジネス ディベロップメントマネージャーの西頼大樹氏は、「『PowerProtect DP』シリーズは、前世代の最大65:1の重複排除はそのままに、バックアップを38%、リカバリーを45%高速化した。また、最大1PBの利用可能容量で容量効率を30%向上するとともに、消費電力を最大23%削減し、大幅な省エネ性とコスト削減効果を提供する。さらに、あらゆるデータ保護機能を統合しており、このシステム1つで仮想化、クラウド、サイバー復旧など多彩なワークロード保護をニーズに合わせて実現できる」としている。
「PowerProtect DP」シリーズのラインアップは、従来モデル「IDPA DP4400」からブランド変更した中小規模/拠点・エッジ環境向けの「PowerProtect DP4400」に加え、新モデルとして中規模エンタープライズ向け「PowerProtect DP5900」、大規模エンタープライズ向け「PowerProtect DP8400」「PowerProtect DP8900」の全4モデルを展開。規模・要件に合わせて、同じ機能を持つ4つのモデルから選択することができる。税別価格は350万円から(「DP4400」最小構成8TBモデル)。新モデルは12月15日から提供開始する。
サイバー復旧ソリューション「PowerProtect Cyber Recovery」は、デジタルデータを壊滅的に失うサイバー被害に備え、復旧可能なデータを担保するためのソリューション。ランサムウェアからインサイダー攻撃に至るまでのサイバー脅威から企業を保護する。また、専用分析エンジン「CyberSense」が提供する分析機能と機械学習機能により、企業はデータの整合性を監視し、データの継続的な品質を確保できる。
今回、同ソリューションが、シェルタード ハーバーによって、初のオンプレミス ターンキー型データ隔離ソリューションとして認定された。シェルタード ハーバーは、増加するサイバー攻撃に対して金融業界の安定性と回復性(レジリエンシー)を高めることに特化した、業界主導の取り組みとして編成された非営利団体。この認定により、米国の金融機関は、認定されたデータ隔離ソリューションを簡単に展開して、重要な顧客データをサイバー攻撃の脅威から守ることが可能となる。
そして、次世代データ保護・管理プラットフォーム「PowerProtect Data Manager」のアップデートでは、既存のワークロードとモダンワークロードの両方を通じ、Kubernetesおよびクラウド環境のデータ保護機能を強化した。
西頼氏は、「PowerProtect Data Manager」の機能強化ポイントとして、「マルチクラウド対応」、「VMwareシナジー(共同開発イニシアチブ)」、「次世代ワークロード(コンテナ環境)」の3点を挙げた。「マルチクラウド対応」では、「PowerProtect Data Manager」の保護対象をMicrosoft AzureおよびAWSのクラウド内ワークロードにまで拡張。AWS GovCloudをサポートするとともに、AzureとAWS上で256TBのPowerProtect DDVEとのデプロイ・稼働をサポート。また、VMware Cloud Marketplace経由でのバイナリ提供を開始した。
「VMwareシナジー(共同開発イニシアチブ)」では、新たにVMware Tanzuポートフォリオのサポートを通じてモダンアプリケーションを保護する。また、新たな統合性の強化により、vCenter Storage Policy Based Managementとのネイティブな統合を通じてミッションクリティカルな仮想マシンを保護する。企業は、既存のVMware vSphere環境内でデータ保護ポリシーを適用し、使い慣れているワークフローで仮想マシンを、コストを抑えながら確実に保護することができる。
「次世代ワークロード(コンテナ環境)」では、Kubernetes環境で、PostgreSQLやApache Cassandraといったオープンソースデータベースを含む、コンテナ化したモダンアプリケーションに対し、エージェントレスでアプリケーション整合性を担保した包括的な保護環境を提供する。企業は、Kubernetesのクラスターレベルのリソースをバックアップすることで、Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)およびAzure Kubernetes Service(AKS)を保護することが可能となる。