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国防総省のJEDIが中止に 後継プロジェクト「JWCC」とは
2021年7月19日 11:35
「1社総額100億ドル総取り」で物議を醸してきた米国防総省(DoD、ペンタゴン)のエンタープライズクラウド基盤「JEDI」計画が白紙に戻された。構想から4年。契約をめぐる訴訟の連続で遅れに遅れた末の決定だ。同省は新しいクラウド計画への変更の理由として「環境の変化」を挙げる。新しい環境に合わせたクラウドは、どんなものだろう。
マルチクラウド、マルチベンダーに
2017年に構想が始まったJEDIは、国防総省内の複雑で断片的なネットワークを統一されたエンタープライズクラウドに置き換え、情報共有しながら、軍の効率的な運用を図ることを目的としていた。
だが“1社独占”という契約形態から想定外の批判が噴出して計画は遅れに遅れた。入札手続きに対するOracleやIBMの異議申し立てが続き、Microsoftの落札が決まったあとも、AWSがDonald Trump前大統領の政治介入を主張して差止めを請求。今年4月末、連邦裁判所が認める方向を示したことで、決着まで、さらに数年もかかる公算が大きくなった。
こうした中、DoDは7月はじめ、JEDIクラウドの調達手続を中止し、新たなコンセプトに基づくクラウドプロジェクトを発表した。「要件の進化、クラウドの会話の増加、業界の進歩によって、JEDIクラウド契約がニーズを満たさなくなったと判断した」と中止の理由を説明する。
新プロジェクトは、マルチクラウド、マルチベンダーで、1社独占でなく複数社に発注する。現時点では、MicrosoftとAWSの両社に提案を求めるが、他の大手クラウドプロバイダーについても条件を満たせば参加を呼び掛けるとしている。新しい契約は2022年4月までに締結される予定だ。
メディアでは、JEDIのあまりの遅れから断念したとの見方が強いが、当初からフォローしてきたNextgovは「全くの無駄になったわけではない」とする。プロジェクトによって、DoDの各部門がクラウドを積極的に追求し、新しい技術の変化に敏感になったからだという。
新しいプロジェクトは「Joint Warfighting Cloud Capability」(JWCC)と呼ばれる。DoDが進める「Joint All Domain Command and Control」(JADC2)と、Artificial Intelligence and Data Acceleration(ADA)という2つのコンセプトを実現する基盤となり、特にAI、アルゴリズムを多用したインフラになるという。