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進むAIの軍事利用 その後の「Project Maven」

 AIの軍事利用への懸念は強い。3年前、Googleは米国防総省の「Project Maven」について、社内の反対を受けて撤退を決めた。だが、巨額のプロジェクトには、すぐに代わりが現れる。9月上旬、非営利の監視団体がProject Mavenの“その後”についての調査を公表。Googleが手を引いた後、MicrosoftとAWSがそれぞれ数千万ドルの契約を結んでいたことが明らかになった。

Googleと入れ替わりにMicrosoftやAWS

 Project Mavenは、航空機から撮影した映像をAIで解析して、建物などの対象物に自動的にラベル付けを行うプロジェクトだ。ドローンなどで得られた大量のデータを処理して分析し、状況を把握できる。同時に、目標を特定して遠隔から攻撃する使い方も可能だ。

 このプロジェクトにGoogleが参画していることが2018年春、報じられると、従業員の間から猛烈な反発がわき起こった。会社側は「攻撃を目的とするものではない」と説明したが、騒ぎは収まらず、「Googleは戦争ビジネスにかかわるべきではない」として撤退を求める請願書がSundar Pichai CEOあてに提出された。これには4000人近い従業員が署名した。

 結局、Googleは同6月、2019年までの契約を延長しないことを表明。同時に、武器への技術提供は行わないことなどを含むAI原則を発表している。

 そして今回、政府とハイテク・AI企業の関係を監視する非営利団体Tech Inquiryが、その後、プロジェクトの契約がどうなったかを調べて公表した。Tech Inquiryは、かつてGoogleのAI部門に2年勤務し、Project Maven事件のあと退職したJack Poulson氏が立ち上げたもので、情報公開制度などに基づいて得た情報などを分析した。

 それによると、Project Mavenの再販業者ECS Federalを経由して、Microsoftは3000万ドル、AWSは2000万ドルの下請け契約を結んでいた。Microsoftは2019年、AWSは2020年からで、下請け契約の中ではProject Mavenの名は記されていないものの、明らかにMavenであることが分かるという。

 Tech Inquiryから先行して情報提供を受けたForbesは、両社にコメントを求めたが、回答はなかったと伝えている。