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100億ドルの契約は7月に決定か ペンタゴンのクラウド「JEDI」

 「契約額総額100億ドル、一社総取り」で注目を集めた米国防総省(DoD、ペンタゴン)のクラウド契約が大詰めに向かっている。計画策定や選定のプロセスを巡って紛糾し、予定から大きく遅れていたが、同省は候補のベンダーをAmazon(AWS)とMicrosoftの2社に絞ったと発表。決着へのめどをつけたようだ。現状を概観してみよう。

ペンタゴンが導入するエンタープライズ汎用クラウド

 一昨年から物議を醸している国防総省のクラウド「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)は、商用クラウド技術を基盤に構築する同省初の「エンタープライズ汎用クラウド」だ。強力な計算能力と莫大なストレージを備え、「新しい機能を立ち上げ、迅速に兵士に届けることができる」という。

 DoDが今年2月に発表した「DOD Cloud Initiative」は、JEDIの特に重要なポイントとして4項目を挙げている。

  • IaaSとPaaSの提供
  • 全ての機密レベルごとに分離した環境の提供
  • 兵士向け戦略エッジコンピューティングの中央機能
  • AIなど先進テクノロジーへの対応

 JEDIは「ペンタゴンから、戦場の最前線・塹壕まで」を結ぶ初のシステムで、その目的はデータを活用して兵士の業務遂行能力を高めることとしている。エンタープライズクラウドを採用した理由について、同省のCIO(最高情報責任者)、Dana Deasy氏は「エンタープライズクラウドを使用しての最優先課題は、この場合AIだ。AIで重要事を実行するには基本的にクラウドが不可欠だ」と声明で述べている。

 米軍のクラウドの導入は民間に比べて遅れているとの指摘もあり、AIで競う中国との関係でも、DoDはクラウド化を重要視しているという。

 しかし、この契約が単一ベンダーからの調達になると報じられて、強い批判が巻き起こった。