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Whitehurst氏の突然の退任 IBMの今後を懸念する声も

 Red Hatを最大のオープンソース企業に育て上げたJim Whitehurst氏が、IBMの「プレジデント」職を外れる。ハイブリッドクラウドを掲げたIBMの“変革の立役者”として期待されていた同氏の退任は、業界、メディアに大きな驚きを与えた。IBMとRed Hat、両社の文化を融合して復活を目指す戦略にも影を落としている。

わずか14カ月での退任

 米国が独立記念日の週末を迎える直前の7月2日、IBMは、プレジデント職からWhitehurst氏が退任すると発表した。就任からわずか14カ月で、後任は発表されていない。数人の幹部の交代と合わせたリーダーシップの変更だが、突然の人事で、業界には衝撃が走った。

 オープンソースとLinuxに明るく、Red Hatの動向を追っているVaughan-Nichols氏はZDNetのコラムで「予期できなかった」と書いた。Wall Street Journalは「Krishna氏がIBMのCEOに就任以来、最大の出来事」としている。

 発表を受け、IBMの株価は約5%下げて140ドルに、翌取引日にはさらに下げて138ドルとなった。それほどWhitehurst氏の手腕と実績は評価されていた。

 Whitehurst氏は、2018年に発表したRed Hatの買収を受けてIBM入りした。コンサルティングからデルタ航空に移りCOO(最高執行責任者)を務めた後、Red hatのCEOとなった人物だ。12年もの間、同社を率い、オープンソース企業として成功させた。IBMはその価値を340億ドルと評価した。

 Whitehurst氏のプレジデント就任は買収成立翌年の2020年1月。CEOを勤めていたGinni Rometty氏の退任に伴い新設されたプレジデントになることが発表され、同4月に就任した。Red HatのCEOには、製品およびテクノロジー担当プレジデントだったPaul Cormier氏がついている。

 発表では、Whitehurst氏の退任の理由は説明されていない。プレジデントは退任するものの、シニアアドバイザーとしてCEOのArvind Krishna氏をはじめとする経営チームに協力してゆくという。