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ポストコロナに向け布石 ZoomのFive9買収

 ビデオ会議のZoom Video CommunicationsがクラウドコンタクトセンターソフトウェアのFive9を買収すると発表した。147億ドルという大型買収だ。Zoomは新型コロナの下で爆発的に成長した。そのコロナもワクチン接種が進み、世界もノーマルに戻る道が見えてきた。買収はコロナ後をにらんで、賭けに出たものだ。

Zoomにとって最大の買収

 Zoomは7月18日、Five9の買収を発表した。Five9は2001年創業。カリフォルニア州プレザントンに本社を置き、「CCaaS」(コンタクトセンター・アズ・ア・サービス)として コンタクトセンター向けのソフトウェアをクラウドで提供している。

 「Intelligent Virtual Agent」(IVA)を活用した自動化やアシスト機能など、AIの活用でシームレスな体験を顧客とエージェント(コールセンターのスタッフ)の両方に提供するとしている。UnderArmour、Coca-Colaなど2000社以上の顧客を持ち、年間に録音されるコールは70億分以上という。

 Zoom側は、クラウド電話サービス「Zoom Phone」を展開しており、自社コミュニケーションプラットフォームにFive9のCCaaSを統合して、顧客エンゲージプラットフォームを構築すると説明している。

 注目を集めたのはその買収額だ。株式交換で行い、金額にして147億ドルに上る。Five9の時価総額は119億ドル程度で、13%のプレミアムをつけた金額だとCNBCは報じている。

 Zoomにしてみれば初の100億ドル超の買収となる。2021年のハイテク分野では、4月のMicrosoftによるNuance Communication買収(197億ドル)に次ぐ2番目の規模だ。