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「オブザーバビリティ」 IT運用管理の新潮流

モニタリングからオブザーバビリティへ

 Splunk、Observeの他にも、アプリケーション性能モニタリングのNew Relicも、オブザーバビリティという名称を冠した「New Relic Observability Platform」を2019年に発表済みだ。2019年にIPOを果たしたDatadogも買収でオブザーバビリティ技術を獲得している。

 こうしたオブザーバビリティが浮上してきた背景には、クラウド、コンテナ、サーバーレスなどインフラ側のトレンドがある。

 分散システムのエンジニアで、2018年に『Distributed Systems Observability』の著書があるCindy Sridharan氏は、自身のブログに「クラウドネイティブ時代のモニタリング」と題して投稿している。

 それによると、モニタリングが「障害に気を配ること」であるのに対し、オブザーバビリティは「十分なデータを公開し、情報を生成し、これに簡単にアクセスできるようにすること」という。その目的は「システムの動作についての非常に細かい洞察を豊富なコンテキストとともに提供すること」と説明する。

 アーキテクチャが複雑になると、必然的に動作の失敗が増加する。その中で信頼性や安定性の向上一辺倒でいると、新機能の開発や提供の迅速さを制限し、コストを劇的に増加させ、提供できる機能を減らしてしまう恐れがある、というのがSridharan氏の解説だ。

 つまり、オブザーバビリティは、クラウドネイティブのインフラで、サービス開発のライフサイクルを短縮して投入するDevOpsの実践を支える環境となる。

 新型コロナがもたらしたビジネス環境の激変や、マルチクラウド化などトレンドの中、オブザーバビリティにはますます注目が集まりそうだ。