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シスコ、中堅・中小企業のニーズに応える「Cisco Start」の新たな取り組み

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は6日、中堅・中小企業向けブランド「Cisco Start」の新たな取り組みを発表した。2015年9月に開始したCisco Startは、「シンプル」「スマート」「セキュア」をコンセプトに、シスコの日本法人が米国本社に要請して開発した製品を中心とした、日本向けのブランドだ。スタート当初、Cisco Startの中核ともいえるルータ製品「Cisco 841M J」の推奨小売価格が5万円以下、しかも通信販売で手軽に購入できることで話題になった。

 今回新たに、Cisco 841ルータの日本語GUIにアプリケーションの可視化機能およびブロックを搭載し、組織として許可・認知されていないアプリケーションへの接続を容易にブロックできるようになった。また、新たにCisco Startシリーズを購入したユーザー企業には、Web会議システム「Cisco WebEx」とクラウドWebセキュリティ「Cisco クラウドWeb セキュリティ(CWS)」の2つのクラウドサービスを、キャンペーン価格で提供するという。さらに、マーケットプレイスの展開など、販売支援体制もさまざまな方法で強化していく。

 シスコ 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋慎介氏は発表会冒頭、「日本には300万以上の中堅・中小規模の企業があり、日本の経済を支えるベースとなっている。シスコはネットワークに価値を与える使命をもって、中堅・中小規模の企業を積極的に支援していきたい」とCisco Startへの熱い意気込みを語った。

 過去にも何度か日本の中堅・中小企業向けの市場に参入しようとして惨敗しているシスコだが、高橋氏は「不退転の決意でCisco Startを開始した」と述べる。また、これまでシスコのパートナーの90%は大手のリセラーだったが、Cisco Startが開始してからはさまざまな規模のディストリビューターが増えおり、現在Cisco Startを扱うパートナーは935社にまで増加。そのうちの600社は、これまでシスコと取引がなかったパートナーであるという。

シスコ 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋慎介氏

 Cisco Startのコンセプトである「シンプル」は、簡単に誰でも使えるような製品を目指すことを意味している。中堅・中小企業は自社にIT専任者を置く余裕がないことも多いが、これまで同社の既存製品はエンタープライズ向けであり、誰でも気軽に使う、といったレベルの製品ではなかった。

 そこで複雑性を可能な限り抑え、日本語化されたGUIによって誰でも(ある程度の知識は必要ではあるが)気軽に利用できる製品として、Cisco Startシリーズを打ち出した。

 「スマート」はこれまでシスコが30年をかけて培ってきた実績と機能を、Cisco Startにも盛り込んでいくことを意味している。低価格設定であるにも関わらず、Cisco 841ルータは「Cisco IOS」を搭載し、ネットワーク機器として充実した高い性能を提供している。

 そして「セキュリティ」については、世界最大規模の解析力をもつセキュリティ基盤と連携することで、中堅・中小規模の企業にもセキュアなネットワーク環境を実現することができるという。

Cisco Startのコンセプトは「シンプル」「スマート」「セキュア」

 今回の取り組みの一環として特筆すべきこととし、前述したように、ハードウェアを購入した企業向けの、クラウドサービスの特価販売がある。ハードウェアと一緒に購入することで、Web会議システム「Cisco Webex」は1ライセンス3万7900円/年、Webセキュリティサービス「Cisco Cloud Web Security」は1ライセンス3980円/年という価格で購入できるようになる。

 これは通常価格の半額以下にあたるとのことで、あくまでもキャンペーン価格としているが、キャンペーン終了時期は未定である。

 また、販売支援体制の推進として、シスコは顧客と販売パートナーをつなぐ「Cisco SMBマーケットプレイス」を4月6日に開設した。ECサイトのようなUIから、顧客は任意のパートナーに見積依頼をすることができるという。また、シスコと競合しないことが前提にはなるが、販売パートナーによる独自プロモーションも可能である。

Cisco SMBマーケットプレイス
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