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シスコ、2016年度日本法人の事業戦略方針を発表
統合ソリューションを提供できる体制を強化
（2015/9/30 06:00）
シスコシステムズ合同会社（以下、シスコ）は29日、5月に代表執行役員社長に就任した鈴木みゆき氏をはじめとした、新体制での2016年度事業戦略を発表した。シスコは2015年8月から新年度を迎えたばかり。鈴木新社長は、「私にとって初年度の事業がスタートしたところ。当社の目指す方向についてご説明する」と事業方針について説明を行った。
2016年度の重点戦略は、「日本市場より根ざした事業展開」「お客さまのデジタルビジネス支援」「統合ソリューションビジネス強化」の3点。この新しい事業方針とともに、「お客さまから、従来のシスコの営業体制は、製品ごととなっていたため、窓口が複数あってわかりにくいという声が挙がっていた。一元的にOne Ciscoで対応できるサービススペシャリストを新設。製品別ではなく、トータル製品をお客さま、パートナー企業にアピールすることが可能となった」と統合ソリューションを提供できる体制を強化していく。
グローバルの経営方針を踏まえつつ日本に根ざした事業展開を
シスコの2016年度の事業戦略について鈴木社長は、「グローバルではデジタル時代の最も戦略的なパートナーになるという経営方針が掲げられている。この方針に日本の市場環境をあわせた事業戦略をまとめた」と説明した。
「日本に根ざした事業展開」としては、9月16日に日本独自ブランドとして、中小企業向け「Cisco Start」の提供を開始。リーズナブルな価格設定、専任担当者がいない企業の利用を支援するサポート体制の拡充など、従来にはなかった製品ブランドとなる。
こうした戦略をふまえ、具体的な事業としては市場が形成されつつあるIoT向けには、「普及段階に入ったIoTに対し、シスコとしてシェア拡大を実現する。それを実現するために、戦略的提携、資本参加を通じてIoEエコシステムを強化する。注力分野として製造業、パブリックセクター、サービスにフォーカスする。IoT Systemの日本での販売強化という3点を実現する」（シスコ 専務執行役員 シスコ コンサルティングサービス戦略事業開発兼IoEイノベーションセンター担当、鈴木和洋氏）という方針を打ち出している。
IoE向け施策としては、昨年度にはSmart FOAへの資本参加、IoEイノベーションセンター設立、東芝とのアライアンス、慶応大学のIoT研究にファンディング、IoT Systemの発表などを行っている。こうした経験から、「IoTは産・官・学の協力なしには普及実現できない」（鈴木和洋氏）として戦略的提携、資本参加も視野にエコパートナー作りをさらに進めていく方針だ。
すべてのフェーズでセキュリティサービスを提供
シスコとしては注力分野の1つであるセキュリティに対しては、「A Trusted Security Partnerより信頼されるセキュリティパートナーへ」を合言葉に、あらゆる場面で利用可能な製品、セキュリティクラウドサービスを提供。計画、構築および運用まで、すべてのフェーズでのサービスを提供する。また、世界最大規模のセキュリティインテリジェンスCisco Collective Security Intelligenceと製品、サービスを連携し、顧客のセキュリティを確保する環境作りを進めていく。
「セキュリティ事業は、シスコにとって全分野に共通する注力分野。日本独自の取組として中小企業向けブランドを作ったことをご紹介したが、企業規模を問わず中小企業から大企業に至るまで幅広い製品、サービスを提供していく」（シスコ 執行役員 システムズエンジニアリング担当兼SDN応用技術室長の財津健次氏）。
次世代ネットワークへの円滑なトランスフォーメーションを
ワールドワイドで2014年8月に発足した世界トップ100のキャリア、サービスプロバイダーをターゲットとした、グローバルサービスプロバイダー事業は、基幹製品であるルーター、スイッチといった製品から、次世代ネットワークへの円滑なトランスフォーメーションを進める。
「日本でもこの秋からNetflixがスタートしたが、映像系コンテンツの利用が進み、爆発的なトラフィック増大が進むと見込まれている。このトラフィック増大に対応するためには、次世代ネットワーク活用が欠かせない。その移行のお手伝いを行う」（シスコ 副社長 NTTグループ事業統括 井上雅雄氏）
オープンソース、オープンAPI、ネットワーク機能の仮想化、SDNなど新技術を活用した次世代ネットワーク構築を進めていく。
エンタープライズ向けは統合ソリューションビジネスを強化
エンタープライズ向け事業は、統合ソリューションビジネスを強化し、ソフトウェアビジネスの変革を進める。「何を・どこで・どのように、というオファリングをきちんと聞き取り、適切なオファリングでソフトウェアを提供していく」（シスコ 専務執行役員 エンタープライズ事業統括の中川いち朗氏）。
エンタープライズアグリーメントのグローバル契約の拡大、ハードウェアとソフトウェアの一括契約から永続ライセンスモデルへ転換するCisco ONEの販売開始など、顧客のビジネスプロセスをふまえた利用方法を提案し、同様の提案をパートナーも行えるようにしていく。
なお、顧客の要望はさまざまだが、「明確なビジネス成果」を求めていることはどの顧客にも共通していることから、ビジネス成果を実現する提案を目指すとした。
