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大塚商会の2013年度決算、売上高5645億円を達成し利益も過去最高益に
(2014/2/4 00:00)
株式会社大塚商会は3日、2013年12月期の決算を発表した。連結売上高は前年比9.5%増の5645億9500万円、営業利益は同20.0%増の339億0100万円、経常利益は同15.2%増の335億0500万円、当期純利益は同24.5%増の202億7100万円となった。
大塚裕司社長は、「連結、単体ともに売り上げ、利益ともに計画を達成し、売り上げについては4期連続増収で、過去最高更新を継続することができた。利益についても、今期は2007年以来の最高益を実現」と述べ、売り上げ、利益ともに好調だったことをアピールした。2014年12月期の計画は、売上高は5900億円、経常利益は3550億円、営業利益は3500億円、当期純利益207億7000万円で、「増収増益を目指す」方針だ。
大塚商会単体では、売上高は前年比10.0%増の5216億2300万円、営業利益は同20.8%増の305億6900万円、経常利益は同21.0%増の315億3000万円、当期純利益は同35.9%増の197億300万円。
「連結、単体ともに売上高については4期連続で増収し、過去最高益を更新してきたが、リーマンショック後は収益性を落としていた。今回、それが復活し2007年以来の過去最高益を実現することができた。売り上げ、利益ともに過去最高益を達成となった」(大塚社長)としている。
売上高については各四半期ともに増収となっているが、経常利益は第1四半期に起こった不祥事の影響もあり、貸倒引当金が発生。収益が下がったものの、第2四半期で大きく伸長し、第3四半期、第4四半期共に前年を上回る実績となった。
中・小型案件の積み上げで売り上げが増加
セグメント別売上高は、連結ではシステムインテグレーション事業が前年比14.6%増の3320億6700万円、サービス&サポート事業が同2.9%増の2318億6800万円、その他の事業が同4.2%増の65800万円。「SI事業はWindows XPの買い換え効果もあって伸長した。中・小型案件の積み上げで売り上げが増加している」
単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が2573億3200万円、受託ソフト等が353億7900万円、サプライが1154億6300万円、保守等が1134億4800万円で、各セグメントともに前年から伸長した。
四半期ごとの増減では、「IT投資復活でSIは順調に伸長している。一方、サプライは第4四半期が落ち込んでいるが、これは採算の厳しいものについては受注を控えた影響による。これによって収益性は改善し、筋肉質な体制となっている」とセグメントごとに好調、不調が分かれる結果となっている。
顧客企業の年商別売り上げ構成は大企業の比率が上がっているが、「これは大企業のIT投資が動き始めたため。年商10億円未満の割合は下がっているが、需要自体は落ち込んでいるわけではない」という。
業種別売り上げ構成では、「全業種ともに金額は増加している」と顧客のIT投資が回復していることを示す結果となっている。
大塚商会の社員1人当たりの売上高と営業利益の推移では、「リーマンショック後、落ち込んでいた利益がようやく改善し、1人当たり売上高、利益ともに過去最高」という結果となっている。
これを支える同社のサポート担当社員の支援システム「S-SPR」ではエンジニアのマルチスキル化、サポート業務のプロセス改革、エンジニアの行動管理などを進め、人員を増やすことなく、サポートビジネスの拡大と手厚いサポートの実現を目指している。
その結果、2009年時点では1人当たりの複写機保守台数と比較し、2013年には18.4%増加。「販売したコピー機の台数は1万9200台増加しているため、本来はメンテナンス要員の増加が必要になるものの、人員を減らしながら生産性を上げることに成功し、2014年度には1人当たりの複写機保守台数を2009年比で22.3%増とすることを目指す」という目標を掲げている。
収益増の源泉ストックビジネスは安定した売り上げをキープ
重点事業の現状としては、通販事業の「たのめーる」の売上高が対前年比4.2%増の1223億6700万円、オリジナル業務ソフト「SMILE」が同22.8%増の110億6100万円、ドキュメントソリューション「ODS21」が同3.1%増の435億2500万円、セキュリティ事業「OSM」が同5.0%増の504億5300万円。
複写機の販売台数は前年比7.3%増の3万4432台で、うちカラー複写機が同11.4%増の3万449台、サーバーが同3.1%減の3万7989台、パソコンが同30.5%増の93万2607台。「サーバーは、サーバー統合、クラウド化の影響もあって減少しているが、業界平均からすれば減少率は低い方だと考えている。一方、Windows XPの買い換えが進むパソコンは好調で、初めて90万台を超える販売台数となった」という
Webサービス事業については、2013年度の利用者は143万人となった。「当社は1999年からWebサービス事業をスタートしているため、ASP事業と呼んでいるが利用者は前年比18万人増となっている」。
収益増の源泉となっているサプライと契約保守売り上げであるストックビジネスは、「SI事業の売り上げに左右されない安定した売り上げを続けている。リーマンショック後、収益が落ち込みながらもキープすることができたのもストックビジネスあったからこそだといえる」と、売上高で2187億円となった。
XPからの移行需要はまだある、今後はサーバー買い換え需要も
2014年の計画は、売上高は5900億円、経常利益は355億円、営業利益は350億円、当期純利益は207億7000万円を目指す。セグメント別ではSI関連事業が3484億7000万円、サービス&サポート事業が2411億7000万円、その他が3億6000万円。
中期経営計画の営業利益率、経常利益率ともに7%という目標は、「いつという時期は明確にできないが、継続する」。
2014年の市場予測としては、景気回復により、企業の投資マインドが高く、特にIT活用ニーズ、省エネニーズは高まり、Windows XPの買い換え需要、2015年のWindows Server 2003のサポート終了によるサーバー買い換え需要、消費税の駆け込み需要などを見込む。
「Windows XPのサポート切れ、消費税アップ前の駆け込み需要と、これだけ商機がそろった3月末商戦は経験したことがない。第1四半期についてはほぼ青天井で需要が増加するのではないか。その後、4月、5月には需要は減少する傾向となるだろうが、現在の日本経済の好調さ、IT投資意欲から見ると第2四半期以降も需要は継続してあるのではないか」と好調が見込まれる3月までに続き、4月以降も需要は堅調と予測している。
大塚商会自身の2014年方針と施策は、「お客さまの目線で信頼に応え、総合力でオフィスを元気にする」。引き続き、顧客との取引品目の拡大、顧客の生産性向上に向けた提案、Windows Server 2003のサポート終了に向けた更新提案などを積極的に行い、顧客との関係をより強力なものとすることを目指す。
「取り扱う商材が、複写機など事務機系、ASPのようなネットサービスや回線、電話やPBX、ServerやパソコンERPなど全商材がつながる環境にあるが、まだ単品取引のお客さまも多く、提案がしっかりできていない。Windows XPサポート切れ以外にも、売り上げをアップできるビジネスはまだ残っている」
消費税アップ前の需要拡大に向け、通常は2月に出すたのめーるの新カタログの臨時増刊号を発行、300円以上で送料無料として、「倉庫を通常よりも多く借りて、商戦期に売り逃しがないよう体制を整える」ことも行う。
複写機の担当者がパソコンを、パソコン担当者が複写機を販売するなど、担当商品にとらわれない「オールフロント体制」については、「従来は担当商品以外については、情報を渡すだけであったが、担当以外の商品も自分たちで売るという体制とした結果、システム担当者は2013年には6666台の複写機を、複写機担当者は2万2566台のパソコンを売っている。全社員がすべての商品について語れるようになることで、ビジネスの可能性はまだある」とさらに強化していく。
パソコンの販売台数は、1992年からの資料を公開して、OSのサポートが終了になるタイミングで売り上げが大幅に増加していることを示し、「Windows XPパソコンを450万台販売している。このうち2割が残っているとしても、90万台が残っている。サーバーについてもやはりサポート終了で売り上げが伸びる傾向にあるが、サーバーの入れ替えは他の商材にもかかわるだけに注力して取り組みたい。Windows Server 2003は27万台販売しているが、20%としても5、6万台が残っているので、これを当社がリプレースする」とリプレースビジネスにチャンスがあると強調した。
その他、好調なSMILE、ハードウェア保守に比べて売上企業数が増加しているマネージメントネットワークサービス事業、昨年末にスタートアッププランを発表したユニファイドコミュニケーションビジネス、LED証明と照明コントロールのセット提案などを引き続き行い、増収増益を目指していく。