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大塚商会、2012年度決算は3期連続の増収増益、売上高は初の5000億円超えに
(2013/2/2 00:00)
株式会社大塚商会は1日、平成24年12月期(2012年1月~12月)の決算を発表。連結売上高は対前年比7.9%増の5157億7100万円、営業利益は同22.3%増の282億5100万円、経常利益は同24.7%増の290億7900万円、当期純利益は同27.7%増の162億7700万円となった。
単体では、売上高は6.7%増の前年比4742億5900万円、営業利益は同20.9%増の253億円、経常利益は同20.5%増の260億5300万円、当期純利益は同15.8%増の145億円。
同社の代表取締役社長である大塚裕司氏はこの結果について、「2012年度は第2四半期に当初目標を上方修正したが、連結、単体ともにその目標を上回る結果となり、3期連続の増収、増益を達成することができた。9月後半から12月途中までは上期に思っていたよりも伸びない、もやっとした状況が続いたが、その後政権交代、円高の修正などがあったことで、最終的には高めに設定した12月の社内予算を達成することができた。きちんとした活動さえ行えば、IT投資は底堅く推移するという実感を持った」と説明した。
四半期ごとの売上高も好調で、「おのおのの四半期の売り上げが過去最高を記録した。当社のような訪問販売体制において活動が静かになりがちな夏も、無難に乗り切ることができた。その勢いで年末を締めくくることにつながった」と大塚社長は分析している。
好調なSI事業は「小さな案件を積み重ねた結果」、一人あたり売上高は過去最高レベル
連結のセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比10.4%増の2898億4000万円、サービス&サポート事業が同5.0%増の2252億9800万円、その他の事業が同44.1%減の6億3200万円。
「SI事業は好調ではあるが、過去のように18億円、20億円といった大口案件が見えているわけではない。一件、一件の小さな案件を積み重ねて作った結果」(大塚社長)。
単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が前年比7.8%増の2197億5300万円、受託ソフト等が同8.4%増の321億5300万円、サプライが同7.0%増の1114億800万円、保守等が同3.7%増の1109億4400万円。
「SI関連商品のハードウェア、パッケージ、マイクロソフト製品のライセンス販売の大型案件など基幹系システムの見直し需要も動き始めた感がある」(大塚社長)とした。
顧客企業の年商別売上高では100億円以上が全体の44.32%、10億円から100億円未満が29.18%、10億円未満が26.5%で、「若干、大企業の比率が伸びているが、かつて絶好調だった時期に比べればまだ少ない。逆にいえば伸長する余地がある」という。
2012年12月末の社員数は前年度と比べ82人少ない8103人。一人あたり売上高は過去最高レベルの一人あたり6365万円となった。この売り上げ増を支えるのがサプライや契約保守などのストックビジネスで、前年度に比べ104億円増加した2128億円となっている。
サポートエンジニア向け「S-SPR」システムを利用した改革
また今回初めて、サポートエンジニア向けに2009年から稼働している、「S-SPR」を使ったサポート事業の改革に取り組んできたことを公表した。これは、セールス担当者が、大塚商会の全商品を販売できる体制へと変化するために、利用する顧客の情報を登録したシステム「SPR」のサポートエンジニア版というべきシステム。
SPRがセールス・プロセス・リ・エンジニアリングの意味を持つのに対し、サポート担当者のためのシステムとして「S-SPR」の名称とした。
S-SPRでは、同じエンジニアといっても全く異なるスキルを持つ、複写機のサポートエンジニア、コンピュータのサポートエンジニアのマルチスキル化を実現。複写機サポートを行っているエンジニアがコンピュータのサポートも行えるようなスキルを身につけるとともに、現場での対応が難しいものについてはセンターにフィードバックし対応する体制とした。
さらに、サポート業務のプロセスを改革し、アサインの自動化、エンジニアの行動管理とマネジメント改革を進め、人員を増やさずにサポートビジネスの拡大と手厚いサポートを提供できる体制作りを進めた。
「構想は9年前の2003年からスタートし、3年間社内で議論を行ってシステム化を進めた。2007年にスキルマネジメントシステムが構築され、実際の運用は2009年からスタートした。その結果、これまで何人ものエンジニアが出向かないと解決できない問題が、一人のエンジニアで解決できる体制が整った。コピー機の場合、保守業務は不可欠となる。2009年から2012年でコピー機は1万1805台増加しているので、本来は315人の人員増が必要となるのだが、人員を増やさずに対応することができた」(大塚社長)。
また、単体での重点戦略事業の状況としては、オフィス機器通販の「たのめーる」が前年比8.8%増の11738100万円、独自業務システム「SMILEシリーズ」が同15.8%増の90億600万円、ドキュメントシステム「ODS21」が同3.8%増の422億2600万円、セキュリティシステム「OSM」が同2.0%増の480億6900万円。
複写機は前年比10.1%増の3万2104台、うちカラー複写機が同12.5%増の2万7332台、サーバーが同4.3%増の3万9205台、パソコンが同2.5%増の71万4616台。
パソコンについて大塚社長は、「パソコンの第4四半期の伸び率は1.2%増にとどまったが、JEITA調査では同時期が1.7%減と減少になっている。それに比較すれば、まずまずの数値といえるのではないか。本年度はY2Kの2巡目の需要、Windows XPからの買い換えが期待できる」と述べ、2013年度は一転して明るい見通しとなるとの見方を示した。
ホスティングサービスなどWebサービスの利用者数は、2012年度は126万人となり、「隠れたWebサービスを提供する企業であると自負している」とした。
2013年度は、不透明な状況を踏まえて大きく伸びない予想に
2013年度(2013年1月~12月)連結通期売上高予想は、前年比3.9%増の5360億円、営業利益は同8.0%増の305億円、経常利益は同6.6%増の310億円、当期純利益は同11.1%増の180億9000万円。
セグメント別売上高予想は連結通期で、システムインテグレーション事業が前年比3.8%増の3009億6000万円、サービス&サポート事業が同4.0%増の2344億円、その他の事業が同1.2%増の6億4000万円。
「一般企業の期末時期となる3月がどういう状況となるのか見えない状態であることから、売り上げが大きく伸びない場合の予想とした。3月に需要が拡大した場合には、2007年に記録した最高益を狙うような上方修正も検討したい」(大塚社長)。
Windows XPの買い換え需要やタブレット端末に期待、省エネ化ソリューションも
2013年度のIT市場予測としては、(1)企業のIT活用ニーズは底堅い、(2)買い換え、更新需要、(3)モバイル、タブレット端末市場の拡大、(4)電力供給制約、料金値上げ、省エネニーズという4つのトピックを見込んでいる。
「パソコンの買い換えという点では、当社だけでも2005年に55万台、2006年に54万台のパソコンを販売している。その多くがWindows XPでそろそろこの買い換え需要が起こるとみている。マイクロソフト側のサポート終了が2014年4月に迫る中、そろそろ買い換え促進を進めなければ、そのタイミングに間に合わない状況が起こることも考えられる。タブレット端末についてもWindows 8に最適化されたマシンが登場することで、市場が拡大するのではないか」(大塚社長)。
省エネニーズに対しては、大塚商会ではLED照明を提供し、1万4000事業所に導入した実績を持つ。さらに、ZigBeeを使いデータを親機へ送信して電力使用量を測定する、「電力を見える化スターターパック」を昨年12月から販売している。
「中小企業向けのこうしたパッケージはほとんどない状態で、社内の省エネ化を進めるための製品としてアピールしていく」(大塚社長)。
また、パソコンの入れ替えも電力削減につながることをアピール。「当社の場合、Windows XPを搭載したデスクトップパソコンを、液晶モニタを残してWindows 7を搭載したノートパソコンにつなげるスタイルに変更したところ、1台あたり約11Wあった消費電力が約45Wへと削減することに成功した。さらに液晶モニタを使用しない、ノートパソコンの電源を利用してACアダプタを使わないといった電力削減対策も採ることができる」(大塚社長)と実践を踏まえた電力削減をアピールしていく。
同社では2月6日から8日まで、ザ・プリンスタワー東京で、毎年開催しているプライベートショー「実践ソリューションフェア2013」を開催するが、「今年は『ITで経費を見直し、元気をおとどけ。』と生々しく経営者の方に訴えるタイトルとした。これはスローガンであるお客さまの目線で信頼に応え、ITでオフィスを元気にするという目標を実現することを訴えていくため」との狙いからだという。
【お詫びと訂正】
初出時、タイトルの売り上げ額を誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします。