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Zendesk、カスタマーサービスソリューション「Zendesk AI」の新機能を発表
ワークフロー全体で人間とAIの連携を強化
2024年10月31日 11:04
株式会社Zendeskは30日、AIを活用したカスタマーサービスソリューション「Zendesk AI」の新機能として、「オムニチャネルAIエージェント」や「次世代型エージェントCopilot」、「AIインサイト」、「包括的な音声通話AI」などを発表した。同日に行われたラウンドテーブルでは、新機能をリリースする市場背景や新機能の概要について説明した。
ラウンドテーブルの冒頭で、Zendesk 日本法人社長の冨永健氏が挨拶。日本市場の状況について、「Zendeskのソリューションは着実に日本市場に根付いており、すでに国内のユーザー企業数は3000を超えている。グローバル全体の売上で見ても日本市場は急成長している市場の一つであり、引き続き大きな投資が行われている。今年7月には、大阪に新たなデータセンターを開設し、東京データセンターとの2拠点体制となった。これにより、厳しいセキュリティ対策が求められる金融機関や公共団体などからの日本国内でのデータ保存やバックアップのニーズに対応する。また、パートナー支援策をさらに強化し、来年はパートナーとともに日本市場のビジネス拡大を推進していく」との考えを述べた。
今回、「Zendesk AI」の機能を拡充する背景について、Zendesk CTO(最高技術責任者)のエイドリアン・マクダーモット氏は、「生成AIによるテクノロジーの革新で、カスタマーエクスペリエンス(CX)は飛躍的に進化している。日本の消費者への調査によると、AIチャットボットのレベルは、品質の高いオペレーターと同等レベルであると70%近くが回答していた。一方で、AIチャットボットの方が優れているという回答は約10%にとどまった。こうした状況の中で、日本だけでなくグローバルも含めて、CXにおけるAIへの期待をさらに高めていく必要があると考え、人間とAIが連携してCX向上を促進する新たな機能をリリースする」と説明した。
主な新機能として、「オムニチャネルAIエージェント」では、人間の担当者の対応に近いやり取りを自律的に実行するAIボットを、音声通話を含むすべてのデジタルチャネルで利用可能となった。サポート担当者と一緒に、または単独で、顧客の問い合わせに対応することができる。具体的には、AIが回答を生成し、顧客からの質問に即座に返信。より高度な問い合わせには、カスタマイズ可能な会話フローで個別に対応できる。メールでも使用が可能。また、PolyAIとの新たなパートナーシップによって、最大50%まで音声通話対応の自動化を実現している。
「オムニチャネルAIエージェント」に関連した新機能として、AIエージェントの導入や運用開始後の管理を容易にする「AIエージェントビルダー」をリリースした。「この機能では、ブランドに合わせたカスタムのAIエージェントを、トレーニング無しで数分間で構築することができる。また、ワンクリックで一元管理できるため、メンテナンスにかかる時間も短縮できる。金融サービスのEsusuの事例では、わずか1日でAIエージェントの設定を完了し、導入直後からメール対応の64%の自動化に成功した」(マクダーモット氏)という。
「次世代型エージェントCopilot」は、カスタマーサービスに特化したプロアクティブなアシスタントAI。顧客のニーズを予測しながら先回りして推奨事項を提示するオートアシストモードを新たに搭載し、自律性をもってアクションを実施する。また、Copilotビジネスプロシージャによって、人間の担当者に代わって特定のプロセスを実行し、変更があった場合は即座に反映させることで、サポート担当者は企業が定めた最新の手順に常に則ることができる。さらに、AIを搭載した新しいエージェントワークスペースを提供。関連性のある問題やプロアクティブなインサイト(過去の類似チケットなど)を直接ワークスペースに表示し、必要なツールをいつでも使えるようにすることで、スムーズな顧客対応を実現する。
この機能強化の一環として、2025年上半期に「音声通話エージェントCopilot」を新たにリリースする予定。顧客の印象や問い合わせ目的といった通話に関するインサイトをサポート担当者に即座に提示し、ナレッジベースを参照しながら回答をすばやく提案する。これによって企業は、人間の対応を必要とする複雑で重要度の高い問題を抱え、電話でのコミュニケーションを希望する顧客に対して、より迅速でパーソナライズされたサポートを提供することが可能となる。
「AIインサイト」は、AIが導き出したインサイト(洞察)をもとに、速く正確な解決策を特定する機能。CXシステム全体にわたって顧客との会話を分析し、価値のある重要な情報を抽出することで、顧客の問い合わせ理由をすばやく検知し、より迅速でパーソナライズされた対応を可能にする。CXリーダーは、これらのインサイトを部門内や社内に適用し、CXの改善に必要な変更をタイムリーに実施することが可能。結果として、顧客満足度や従業員満足度の向上にもつながる。また、音声通話およびAIエージェントを含むすべてのチャネルで品質の高いサービスを提供するための品質管理機能を提供。顧客とのやり取りやサポート担当者のパフォーマンスを自動で分析し、最適化することができる。
「AIインサイト」の導入効果についてマクダーモット氏は、「ユーティリティー管理を展開するConserviceでは、担当者のスケジュール作成やサポート対応のモニタリング、品質改善にAIインサイトを活用。ワークフォースマネジメントにより40%のコスト削減を実現した。また、社内品質スコアが89%から96%に改善した」としている。