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生成AI投資を増やす日本企業は81%に達するも、AI活用成熟度指数は44点にとどまる~ServiceNow Japan調査

 ServiceNow Japan合同会社は15日、企業のAI活用成熟度に関する調査報告書「Enterprise AI Maturity Index 2024(2024年度版 企業のAI成熟度指数)」の日本語版を公開した。同調査は、世界21カ国の経営層およびシニアディレクターを含む4470人を対象に実施され、日本からは302人が参加している。英調査会社Oxford Economicsと提携し、ServiceNowが調査・分析を行った。報告書では、AI活用の成熟度を5つの主要な指標で評価し、AI先進企業を表す「先駆者」とその他企業の差を示している。

 調査によると、企業経営層の81%が生成AIへの投資を増やす意向を示しており、AI活用の目的として「業務効率化」「カスタマーエクスペリエンスや従業員体験の向上」「収益拡大」を挙げている。

 しかし、AI活用の成熟度の5つの指標(AI戦略とリーダーシップ、ワークフローの統合、タレントと労働力、AIガバナンス、AI投資の価値実現)で評価した結果、生成AIの活用に関して、全体の成熟度指数の平均は100点中44点と低く、 実際の活用はまだ初期段階にあるとしている。

 調査対象企業のうち、成熟度指数が50点以上だった企業は、16%にとどまる。全ての指標で高スコアを記録したAI先進企業は、他の企業よりも優位性を持ってAIを積極的に活用しているが、最も高いスコアでも71点で、AIによる変革は依然として多くの企業にとって課題であると分析している。

 AI先進企業は、AI戦略とリーダーシップにおいて他社を大きくリードしており、このリーダーシップがAI成熟度における重要な要因となっていると指摘。AI先駆者の65%が、ビジネス変革に向けた明確なAIビジョンを組織全体で共有していると回答しており、これはその他の企業(31%)を大きく上回っている。また、62%のAI先駆者が、AI変革のインパクト/リターンを測定するための指標を定めているのに対し、その他の企業では28%にとどまっている。

 企業のAI投資は今後も増加が見込まれ、AI先駆者は特に高いリターンを得ていると分析。調査では、AI先駆者の84%がAI導入によって効率性や生産性が向上したと回答しており、これはその他の企業(65%)を上回っている。

 ServiceNowと英教育出版ピアソンの調査「2024 Workforce Skills Forecast(2024年の労働力スキル予測)」では、AIの活用が進むことで労働市場が大きく進化すると予測している。日本経済は年率1.0%で成長するとされ、この成長を維持するには、今後5年間で225万人の労働人口の追加が必要となる。さらに、AIなどの新たなテクノロジー関連の雇用として76万人が求められている。AI活用により、456万人分の労働力を代替できる一方で、高齢化による人口減少を考慮すると、2028年までに155万人の労働力不足が見込まれるとしている。

 日本企業にとって、AIの活用は労働力の補完と業務効率化のために不可欠となるが、調査報告書では、日本企業は個人のプライバシーや知的財産権侵害の懸念、不正確なAIによるリスクを大きな課題として挙げているとしている。

 調査では、AI活用において先進的な企業が他社をリードしていることが明らかとなり、これらの企業は、AIを効果的に活用し、競争優位性を確立していると説明。他の企業は、この先駆者の事例から学ぶことでAI活用を加速し、追いつく可能性があるとして、すべての企業がAI先駆者から学べる重要な教訓として、「AIを使って、人、データ、プロセスをつなげる」「AIを活用してプロセス改善をスケールアップ」「ガバナンスについて思慮深くあれ」「リーダーシップは身を乗り出すべし」の4つを挙げている。