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ゾーホージャパン、Zoho CRMの大規模アップデート「CRM for Everyone」を2024年後半に予定

自社の概況についても説明

 ビジネスアプリケーションをSaaSで提供する印ZOHO Corporationの日本法人、ゾーホージャパン株式会社は、8月20日に記者説明会を開催。グローバルおよび日本における、会社とプロダクトの概況やアップデートについて説明した。

 グローバルの状況については、ZOHO Corporation 北南米責任者 チーフエバンジェリストのラジュ・ヴェジスナ氏が説明。日本の状況については、ゾーホージャパン株式会社の取締役副社長の大山一弘氏と、Zoho事業部 部長の中沢仁氏が説明した。

Zoho CRMで、今年後半に大規模アップデート「CRM for Everyone」を予定

 ヴェジスナ氏はグローバルでの概況として、まず成長とともにZOHOの拠点も世界中に増えていることを挙げた。現在、25カ国以上にオフィスを設けて活動している。

ZOHO Corporation 北南米責任者 チーフエバンジェリスト ラジュ・ヴェジスナ氏

 氏はグローバルでのZOHOの活動方針について「トランスナショナルローカリズム(多国籍ローカル主義)」と説明し、ローカルチームがローカルマーケットに対応することを基本としていると語った。

 ユーザー数も増加し、最近1億ユーザーを超えたとヴェジスナ氏は紹介。ブートストラップ企業(外部の資金提供を受けていない企業)の中でこれだけのユーザー数を持つ企業はほかにないだろう、と述べた。

 ZOHOのスイート製品のユーザーも伸びており、月に100万以上のユーザーが増えているとヴェジスナ氏。有償顧客も現在、企業数で75万あるという。

 データセンターは現在世界で15拠点を持ち、年内にさらに複数追加する予定だ。今年は英国と中東で追加しており、来年はラテンアメリカで計画しているとヴェジスナ氏は語った。

 プロダクト面では、ZOHOは55のアプリケーションを提供している。その中で主力製品といえるのが、複数のアプリケーションをまとめた「Zoho One」だ。そしてZoho Oneにも含まれる最も人気の高いアプリケーションが、CRM/SFAアプリケーションの「Zoho CRM」だ。

 このZoho CRMについてヴェジスナ氏は「今年の後半にかけて大規模なアップデートを予定している」と明かした。

 このアップデートは「CRM for Everyone」と呼ばれており、現在は早期アクセスでテストされている。コンセプトとしては、「CRMは営業担当が使うものというイメージがあるが、お客さまとやり取りする人は誰でも使えるべきではないか、という発想にもとづいている」とヴェジスナ氏は説明した。

 CRMは営業担当が顧客獲得に使うのが主だが、その過程で技術や法務の担当者も関係するので、それらの人も使えるようにするという。ただし、あくまで同等ではなく、アクセスやそのコンテキストを管理する機能を追加するものであると氏は説明。料金においても、使う人数ぶんだけ同じ金額を課するのではなく、法務のように利用機会の多くないユーザーについては金額を低めにする、と語った。

 またAI機能も、ビジネスアプリケーションからセキュリティまでさまざまなところで取り入れ、アップデートも頻繁に行っているとヴェジスナ氏は強調した。AI搭載の業務アシスタント「Zia(Zoho Intelligent Assistant)」も提供している。

 ヴェジスナ氏は最後に、CRMなどのビジネスアプリケーションにも、スプレッドシートなどの生産性アプリケーションにも対応している業務系アプリベンダーは世界でも数少ないとして、ZOHOの独自性に自信を見せた。

アフターコロナで東京オフィスを開設、大規模な企業での採用も増える

 日本での事業の状況については、まず大山氏が説明した。

 ゾーホージャパンは、2001年に横浜に本社オフィスを構えてスタート。2017年に静岡県川根本町にサテライトオフィスを設置し、インサイドセールスを中心とする営業活動や保守サポートを行っている。2023年に静岡市に静岡オフィスを設置し、技術サポートなど顧客と対面しない人材を採用している。

 そして、今年2024年の8月1日に、4つめのオフィスとなる東京オフィスを品川に開設した。東京エリアの顧客やパートナー企業、特にパートナー企業との、対面のコミュニケーションを目的とするという。東京オフィスは6名でスタートし、効果を見て人数を増やしていく予定。

 このタイミングで東京オフィスを開いた理由として、大山氏は、アフターコロナとなり、より顧客と密にコミュニケーションをとってその課題を理解し、提案できるようにしたいという狙いがあると説明した。

ゾーホージャパン株式会社 取締役副社長 大山一弘氏

 また中沢氏は国内事業状況について、「コロナのころからデジタル化やDXのニーズが増えている」として、「具体的には、kintoneだと足りない、Salesforceだとtoo much、というお客さまからお声がけいただいている」と語った。

 さらに、Zohoプロダクトは中小企業に多く使われているが、より大規模な企業からの引き合いも増えていると中沢氏は紹介した。大規模な企業に評価されている点としては、Zohoのアプリケーションがそろっていることと、それを比較的コストをおさえて利用できること、そして機能も評価してもらっていると中沢氏は語った。

 国内では、Zoho CRMやZoho Oneを数百~千強の顧客が導入しているという。コスト面では、例えば他社製品でSFAとメールマーケティング製品を足すとコストが高くなっていくのに対し、Zohoに乗り換えて1/3~1/4にコストを抑えることもあると、中沢氏は述べた。

 こうした、国内でCRMの有償プランを数千ユーザーが利用し、事業としては前年比で30~40%の成長をしていると中沢氏は紹介した。

 なお、CRM以外のアプリケーションの中では、会計系やHR(人事)系のアプリケーションについて、まだ日本の法律やビジネス慣習に適合させるローカライズが足りない部分があることも中沢氏は明かした。この件については主にパートナー企業からのフィードバックが多く、例えば電帳法の優良帳簿の要件や、人事での残業の扱いなどで適合しきれていないという。これについては、パートナー企業とともにインド本社を訪れて意見をフィードバックするなどの活動をし、現在開発を進めていると説明。同時に、会計アプリケーション分野はレッドオーシャンであることから、インドからの新しいテクノロジーも反映していくと氏は語った。

ゾーホージャパン株式会社 Zoho事業部 部長 中沢仁氏