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キヤノンITS、財務会計・人事給与システム「SuperStream」にデジタルインボイス対応オプションを追加

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は22日、財務会計・人事給与システム「SuperStream」の新たなオプション製品として、デジタルインボイスに対応した「SuperStream-NX デジタルインボイスオプション」の提供を開始すると発表した。6月1日から発売し、2029年までに420社への導入を目指す。

 キヤノンITS 常務執行役員 デジタルイノベーション事業部門担当 SuperStream統括本部長の村松昇氏は、「インボイス制度がスタートした結果、チェック作業が煩雑になり、『インボイス残業』という言葉が生まれるほど、非効率化の問題が指摘されている。SuperStream-NX デジタルインボイスオプションによって、インボイス制度に対応したデジタルインボイスの発行および受取が可能になる。請求書発行業務の煩雑な作業を無くすことができ、人の時間を開放できる。できた時間をより創造的な仕事に使ってもらえる」などと述べた。

キヤノンITS 常務執行役員 デジタルイノベーション事業部門担当SuperStream統括本部長の村松昇氏

 SuperStreamは、統合会計や固定資産管理、手形などの会計ソリューションと、人事、給与、人事諸届・照会、勤怠による人事給与ソリューションで構成。さらに、グループ経営管理(経営分析)、AI-OCR、システム連携ツール、各種APIサービスをオプションとして提供。100以上のファミリー製品との連携が可能になっている。

SuperStreamとは

 今回発表したSuperStream-NX デジタルインボイスオプションは、デジタルインボイスの作成、発行、送信、履歴管理、保管が可能であるほか、受け手側でもデジタルインボイスの受領、ステータス管理が可能になる。

 キヤノンITS SuperStream営業本部 SSマーケティング部長の山田英樹氏は、「請求書発行形態は、紙での発行からPDFによるデジタル化が進んでいたが、受領側ではデジタルで送られたものを、自社システムに入力しなおすという課題があった。これを打開するのがデジタルインボイスであり、送り手側と受け手側の双方のデジタル化が促進できる。また、データをもとにした支払いデータの自動起票も可能になり、業務の効率化に貢献できる。さらに、インボイス制度によって、適格請求書発行事業者であることの確認、税率ごとの区分記載の確認など、作業負荷が増加しており、これらの作業を削減する手助けになると考えている」と説明した。

キヤノンITS SuperStream営業本部 SSマーケティング部長の山田英樹氏

 SuperStreamには販売管理機能がないため、請求書発行業務を他社の販売管理システムで行うユーザーが少なくないが、SuperStream-NX デジタルインボイスオプションを通じて、未収入金請求や債券伝票からのデジタルインボイス発行などの用途をはじめとして、今後、活用提案を加速する考えだ。

 SuperStream-NX デジタルインボイスオプションは、電子文書をネットワーク上でやり取りする際の標準仕様であるPeppolに準拠。デジタルインボイスの発行および受取に対応し、すべての請求書を標準化することにより、請求書の処理業務を効率化する。

デジタルインボイス概要図(送り手、受け手)

 送り手側の請求書発行では、SuperStream-NX統合会計(AR)で計上した債権伝票をもとに、デジタルインボイスを作成。Peppolネットワークを介して取引先に配信し、配信したデジタルインボイスは、自社発行の控えとして保管することができる。

 「取引先マスタや債権伝票の各項目と、JP PINTの各要素をひもづけて、変換することで、必要項目を網羅したデジタルインボイスを自動作成できる。デジタルインボイスを発行後に誤りがあった場合にも、訂正請求書の発行が可能である。発行したデジタルインボイスは、電帳法第7条の要件を満たした形で、自動保管が可能である」と説明した。

 請求書の発行方法は、取引先ごとに、紙、メール、デジタルインボイスからの選択でき、さまざまなケースに対応できるという。

デジタルインボイス 送り手側の機能ポイント

 受け手側では、請求書受取においては、Peppolネットワークを介して、デジタルインボイスの受取を行うことができ、ステータス管理も行える。デジタルインボイス確認リストとして、視認性を高めた形で参照できるのが特徴だ。

 「仕入先マスタで、デジタルインボイスの利用設定が可能であり、それをもとに未着であることを確認できる。未処理の状況や支払伝票作成状況の管理も可能になっている。また、取引先ごとに自社担当者を設定することで、担当部門ごとの管理や支払伝票の計上処理も可能にしている」という。

 また、他社システムとの間でデジタルインボイスの授受に関するテストをすでに実施しており、「EAIツールの使用や、アドオンでの開発が不要であり、SuperStreamでの設定だけで、他社システムにデジダルインボイスを送信することができた。メーカーの垣根を越えて、データの授受が可能になり、お客さまの作業の効率化につなげることができる」と自信をみせた。

デジタルインボイス 受け手側の機能ポイント

 SuperStream-NX デジタルインボイスオプションは、2024年6月1日から出荷を開始し、基本料金は年額9万円。基本料金には、アクセスポイントの利用料および年間2400枚までの送受信が含まれる。2400枚を超える場合には、別途追加料金が必要となる。

販売価格ほか

 2025年6月には、デジタルインボイス対応機能のさらなる強化を行う考えも明らかにしており、デジタルインボイスの情報から、支払伝票を自動作成するためのマスタを用意し、デジタルインボイスから支払伝票を登録することでマスタが自動作成され、次回からは自動起票が可能になるという。また、作成された伝票に、デジタルインボイスの情報が自動添付され、伝票とセットで、いつでも確認が可能になるという。

デジタルインボイス 今後の機能拡張予定

 なおSuperStreamは、1995年6月に発売以来、2023年12月末までの累計導入社数が1万702社に達しており、そのうち上場企業への導入実績は842社となっている。2023年度(2023年1月~12月)だけで、357社への新規導入実績があるという。

 キヤノンITSの村松常務執行役員は、「SuperStreamの29年の歴史は、パートナーとともに行ってきたファンづくりの歴史である。悲願としていた累計導入社数1万社も超えることができた。毎年6月にはバージョンアップを実施しており、2024年6月の進化の目玉が、今回発表したデジタルインボイスになる。これは、当社が推進しているBX(BackOffice DX)に貢献するものだ。SuperStreamの役割は、先手を打って法対応していくこと、会計や人事の基本機能を強化しながら、デジタル技術による効率化と、創造性支援による付加価値の高いアウトプットを支援していくことであり、ペーパーレス化や自動化、意思決定支援などの高度な部分はパートナーが持つサービスと連携することになる。デジタルインボイスはコアに近い機能であるため、キヤノンITSが提供することにした。ペーパーレスの伸びしろはまだ大きい。これをきっかけに、生産性を高める仕組みを構築したい」と述べた。

デジタルインボイス項目対応マスタ画面
デジタルインボイス作成送信画面