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freee、支払業務を効率化する新サービス「freee支払」を発表

インボイス制度下におけるクレジットカード利用の課題解決などを支援

 freee株式会社は1日、支払業務を効率化する新サービス「freee支払」を発表した。11月15日より提供を開始する。

 freee 常務執行役員 支出管理プロダクトCEOの花井一寛氏は、freee支払について「インボイス制度と電子帳簿保存法によって変わっていく中小企業の業務をより便利にするものだ」と述べ、「新たな制度によって電子化・データ化に対応する企業は多いが、この前後の業務となる証憑の回収や支払業務も重要だと考え、新サービスの開発に至った」としている。

freee 常務執行役員 支出管理プロダクトCEO 花井一寛氏

 freee支払には、請求書の取り込みから支払先への振り込みを実行できる「freee支払|振込」という振込関連の機能と、法人向けクレジットカード「freeeカード Unlimited」を含めた支払業務に関する「freee支払|カード」という機能が備わっている。

 まず、電子化の前の重要な業務として、花井氏は証憑の回収を挙げる。これまでは、クレジットカード明細を電子保存することで、税法の要件を満たすことができたが、インボイス制度では、適格請求書発行事業者が発行したインボイスを保存しなければ仕入税額控除を受けることができない。3万円未満の取引に対する特例もないため、金額に関わらずインボイスが必要となるのだ。

新サービスは電子化・会計仕訳前後の重要な業務に対応する

 クレジットカード利用の証憑は、従業員が個人のクレジットカードで経費を支払った場合に発生し、従業員からインボイスを回収する必要がある。それがなかなか提出されず、経理担当者が催促しているのが現状だ。

インボイス制度でのクレジットカード利用の課題

 そこで同社は、freee会計とfreee支払|カードの組み合わせにより、カード利用の証憑を簡単に収集・保存できる機能を10月5日から提供開始した。カード利用時には従業員に自動で通知が送信され、通知からインボイスをアップロードできる機能だ。アップロードされたインボイスは、カードの利用明細とひも付けられるため、経理担当者はインボイス制度に対応した会計処理が容易にできるという。

カードの利用明細とインボイスをひも付け可能

 一方、会計仕訳後の重要な業務となるのが支払いだ。これまで同社では、決済手段としてクレジットカードのみに対応していたが、多くの企業では銀行振込による支払いがメインであることから、freee支払|振込にて銀行振込にも対応する。

 銀行振込では、総合振込ファイルの出力とチェック作業に多大な時間がかかるというが、新サービスでは電子化されたデータからそのまま支払いができるだけでなく、AIによる自動チェック機能で確認作業が効率化されるという。これにより、「当社の調べでは、作業量が92%削減できる」と花井氏。振込手数料も一律220円(税込)と、「業界最安水準だ」(花井氏)という。

freee支払|振込について
作業時間を大幅に削減できる

法人向けクレジットカードにも新機能

 またfreeeでは、11月30日よりfreeeカード Unlimitedの利用事業者を対象に、バーチャルカード機能を提供開始する。バーチャルカードは即時発行が可能で、利用先ごとにカードを発行して限度額もそれぞれ設定できる。各バーチャルカードに部門や用途などを設定すれば、仕訳の際にも使途をすぐに特定することが可能だ。さらに、SaaSや広告など事業にひも付く支払いをバーチャルカードで管理すれば、物理カード保有者の異動や退職時に発生していたカードの回収や再発行といった手間も削減できるという。

 このほかにも、12月中旬には証憑自動ひも付け機能の強化を予定しているほか、今後クレジットカードの加盟店統制や購買申請連携、海外送金、AIによるチェックの拡充など、さまざまな機能を追加する予定だとしている。

 「freeeでは、会計仕訳後の支払いや決済業務までを一気通貫して支援し、唯一無二の統合型経営プラットフォームとして業務効率化と業務可視化ができるよう、今後も開発を進める」と花井氏は述べた。