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富士フイルムビジネスイノベーション、企業の社内連携を強化するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」

 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は19日、企業の社内連携を強化するためのクラウドサービス「FUJIFILM IWpro(アイダブリュ プロ)」を、日本およびアジア太平洋地域で11月6日から提供開始すると発表した。

 中堅・中小企業において、紙や社内で利用している異なるシステムを利用している、属人性が高いために情報が散在しているといった弊害を解消するために、システム間連携、情報共有などを行うことを目的としたクラウドサービス。異なるシステムとの連携を実現するために、現時点で15社のソリューションとの連携を実現した。当初は富士フイルムビジネスイノベーション製複合機を利用しているユーザー、連携するパートナーのシステムを利用するユーザーをターゲットに展開し、2027年度に1万社への導入を目指す。

 取締役 専務執行役員 阪本雅司氏は、「サービス名であるIWproは、インテグレートされた仕事のプロセスという意味で命名した。皆で共有する仕事の場を作り、人と人、さらに情報をつないでいくサービスとしていく」とコンセプトを説明している。

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 取締役 専務執行役員の阪本雅司氏

「CHX」実現の重要な要素となる新サービス

 新サービスは、富士フイルムビジネスイノベーションがビジネスソリューション事業で進めるフィロソフィー「CHX(Customer Happy Experience)」を実現する重要な要素。6月に中堅・中小企業向けITサポートサービス「IT Expert Services」を発表した時点で、「今年度中に新たなクラウドサービスを発表し、2027年度にはビジネスソリューション事業の売上を2022年度比1.5倍となる4000億円する」と説明していた。今回発表したサービスが新たなクラウドサービスに該当する。

 IWproでは、クラウド上のワークスペースに、メールやFAX、Web、紙のデータも含め、社内で利用している情報を集約し、文書内容や進捗情報の確認、各システムへの情報転記や登録、関係者間でのコミュニケーション、必要な文書の自動生成などを行えるようにする。また情報の保管に加えて、さまざまな手段での出力・配信にも対応した。

IWpro

 導入の際にカスタマイズは行わず、テンプレートなどを活用することで、基本的には導入する企業自身で導入を進められる仕組みになっている点が特徴。さらに、パートナー企業のシステムとの連携も容易に行えるとする。連携するシステムのパートナーは、現時点ではサイボウズ、ドキュサイン、freee、OBCなど15社。今後は、さらに多くの企業との連携を目指していく。

パートナー連携

 阪本氏は複合機ビジネスで中堅・中小企業に接している中で、「超大手ではDXが進んでいるのかもしれないが、中小企業ユーザーはDXに取り組もうとしても困りごとが出てきて、なかなか進まないという声があがっている」と指摘する。

 その要因として、次の3点を挙げている。

1)デジタル化を進めても取引先などが依然として紙を利用しているケースも多く、紙とデジタルが混在。結果として紙を使って業務を進めるため、情報の共有などが進まない

2)中堅・中小企業でもさまざまなシステムを導入しているが、システム同士の親和性が低く、データはデジタル化されているにも関わらず、人間が手で転記を行い、余計な手間や間違いが発生する原因となっている

3)業務に必要な情報が散在し、チームでの共有もできていない。担当者の経験やスキルに依存し、業務が属人化した状態に

DX推進を阻害する要因

 「30年くらい前にも、BPR(Business Process Re-engineering)で仕事のやり方を変えましょうというブームがあったが、なかなか実現しなかった。その要因の1つが、この“人にノウハウが依存し、共有されていかない”ことではないか。また、技術的にも実現できない部分があったが、現在はクラウドで実現できる環境が整った」(阪本氏)。

 また、6月に発表した中小企業向けITサポートサービスのIT Expert Servicesとセットで利用することで、「社内にどんなシステムがあり、連携をどのように行っていけばいいのかといった相談に乗ることもできる」(阪本氏)と述べ、企業内でシステム統合が進まない状況をサポートすることもできるとしている。