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「人が使いやすいサービスから、AIが業務完了できる基盤へ」――フリー最高AI責任者、AIネイティブカンパニー化を推進
2026年2月12日 06:30
フリー株式会社は10日、同社の共同創業者で創業以来CTO(最高技術責任者)を務めていた横路隆氏が、CAIO(Chief AI Officer:最高AI責任者)に就任したと発表した。
横路氏のCAIO就任は、1月より同社がAIネイティブカンパニーへのシフトに向け体制を変更したことによるもの。これまで横路氏が務めてきたCTOの役職は、米川健一氏が引き継ぐ。
横路氏は、CAIOの役割について、「既存組織とは独立してAIイニシアチブ体制を構築し、創業から貫いてきた業務自動化というDNAを踏襲したAIネイティブカンパニー化を全社で推進する」と述べている。
横路氏が率いる新組織では、まずAPIおよびAIエージェントの基盤開発への投資を強化する。「人が使いやすいUIやアプリケーションの開発から、AIエージェントが業務を完了するための基盤づくりに対する投資を強化する」と横路氏。また、AIネイティブ基幹オペレーションの開発にも注力し、「基幹業務を安全に実行完了できるAIエージェントと標準プロセスを、AI BPOパートナーと共同開発するとともに、必要なAPIや基盤の解像度を高める」(横路氏)としている。
フリーが体制変更に至ったのは、AIによってSaaSに対する要件が変化したことにある。「これまでユーザーは、自分で操作するための機能を求めていたが、今では業務をAIに任せ、成果だけ受け取りたいと考えている。つまり、SaaSに対する価値が、人が使いやすいUIや機能から、AIが正確に業務を遂行し完了してくれる仕組みへと移りつつある」と横路氏は説明する。
このトレンドを横路氏は、自分で業務を行う「Done by You」から、AIエージェントが業務を完了してくれる「Done for You」へのシフトと呼ぶ。フリーとしても、「今後はDone for Youの実現を目指す」という。
AIからの使いやすさを重視
こうしたAI時代において、フリーは「AIから最も使いやすい、だからAI時代に選ばれる」という位置付けを目指す。
すでにフリーは、AIからの使いやすさにおいて優位にあるという。その理由について、横路氏は4つの観点から解説した。
1点目は、スモールビジネスの主要業務を幅広くカバーしてきたことで、数百万件規模の業務データが蓄積されていることだ。「特に申告業務のデータは精度が高く、AIが業務のコンテキストを理解しやすい。また、業務間のデータがつながっているため、AIに情報を自然に渡すことも可能だ」と横路氏。この実績をもとに、今後はAIエージェントが正しく業務を遂行できるような標準プロセスやルールを整備し、専門家の知見を取り入れながら業種や個別要件に応じたカスタマイズもAIでできるようにするという。
2点目は、フリーにはすでにワークフローエンジンがあり、業務が完了すると次の業務を自動で実行する仕組みが整っていることだ。今後はその基盤を拡張し、業務完了や例外発生といったイベントをAIエージェントに通知することで、入力から記帳、確定処理までを一気通貫で完了できるようにする予定だ。
3点目は、人が説明責任を果たすための証跡基盤が整っていることだ。柔軟な権限設定や監査ログにより、AIの危険な操作を抑制し、操作履歴を確実に追跡できるという。5000社以上が参画する認定アドバイザー制度やBPOパートナーに業務を任せることも可能だ。今後はルール通りにAIエージェントが業務完了したことを確認し、例外にも対応できるようにするという。
そして4点目は、2013年から提供してきたオープンAPIにより、AIエコシステムからのアクセシビリティを高めている点だ。「会計、人事労務、請求書、工数管理、販売という5領域すべてのAPIを公開しているのはフリーだけ」と横路氏は強調しており、今後あらゆる基幹業務を正しくこなすために必要なAIエージェントやAPIなどを、AI BPOパートナーと共同開発するという。
こうした強みを持つフリーでは、業務をAIに任せて迅速に完了させたいというスモールビジネスオーナーの思いと、業務品質や説明責任をいかに担保するかを課題視するバックオフィス業務担当者の相反するニーズに対し、「2つのDone for Youを届ける」(横路氏)という。
そのひとつは、スモールビジネスオーナーに向けた「freeeオートパイロット」だ。AIと専門家が裏側で支えることで、従来丸投げされていた業務などを、AIによってより手軽に利用できる環境を整える。
もうひとつは、バックオフィスのプロフェッショナル向けに提供する「freeeコックピット」だ。これは、専門家の「正解」と「責任」を、そのままAIで再現するAI経営基幹プラットフォームだという。まずはこのコックピット側で業務ルールとプロセスを標準化し、その上でスモールビジネス向けのオートパイロットへと展開していく方針だ。
freeeオートパイロットとfreeeコックピットは、「フリーがAI時代に届ける、AIネイティブな2つのDone for Youだ」と横路氏。同氏は今後も新組織にて、「創業以来やりたかったDone for You体験の実現を推進していく」と述べた。






