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富士フイルムビジネスイノベーションが法人向け新サポートサービス、PC1台から大規模までトータルに対応可能

 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、中堅・中小企業をターゲットとした新サービス「IT Expert Services」を6月30日から提供する。基本サービスとして、PC・サーバー・NAS・ネットワーク・複合機・セキュリティに関する基本的な問い合わせ、操作支援、障害切り分け支援などを行う。さらにオプションとして、運用サポート支援、インシデント対応など運用改善支援を提供。今後はバックアップ、クラウド対応などを追加オプションとして提供する。

「IT Expert Services」サービス構成

 「中堅・中小企業のお客さまから、トータルなサービスではコストが高すぎて利用できないという声をいただいている。そこで新サービスはPC1台から対応する。サポートは、全国にいる複写機を担当してきたエンジニアが、お客さまのもとに駆けつけてサービスを担当する。小さい要望から、全体をサポートする要望まで広く受け付けていく」(富士フイルムビジネスイノベーション 取締役専務執行役員 ビジネスソリューションサービス事業本部長・阪本雅司氏)。

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 取締役 専務執行役員 ビジネスソリューションサービス事業本部長 阪本雅司氏

 まずは、複写機やセキュリティソリューションを導入しているユーザー、同社経由でマイクロソフトのソリューションを導入したユーザーなどをターゲットに新サービスをアピールし、2023年度中に1万社への導入を目指す。

 なお新サービスは、買収したオーストラリアとニュージーランドに本社を置くコードブルー社が提供していた「IT Expert Service」と、富士フイルムビジネスイノベーションが日本で提供してきたサービスを精査し、「IT Expert Services」として新たに提供を始める。

 「豪州、ニュージーランドで提供していたサービス内容と全く違うものではないことから、少しだけ名前を変えた新サービスとして提供することとなった」(阪本取締役)。当初は日本でビジネスを開始するが、今後はアジア、オセアニア各国での事業開始も予定している。

小さなサポートから大規模サポートまで余さず対応

 中堅・中小企業の場合、DXの必要性を感じながら、社内にITの専門部隊がなく人材不足、課題感はあるが日常の業務で忙しくIT化を進める余裕がない――、などの悩みがある。セキュリティについては、どこまで対応すればよいのか正解がわからないといった悩みも抱えているという。

 そこで新サービスでは、問い合わせ対応や操作支援など、「聞く」ことでサポートを行うほか、リモート監視などにより自社の環境を「知る」ことの支援を行う。さらに、IT資産やIT環境などの維持管理と安定稼働支援を行う「守る」活動や、IT環境を可視化し、改善を支援していく「伝える」も実施する。加えて、運用管理な、「支える」ことも行っていく。

「IT Expert Services」サービス概要

 サービスの最大の特徴は、PC1台、セキュリティのみなど、サービスの一部だけでも利用可能なことだ。さらに、トータルでサポートを望む場合にも対応するなど、小さなサポートから大規模サポートまで、トータルでサポートしていく。

 「PC1台から社内のPC、サーバー、ネットワークやセキュリティまでトータルなサポートが必要な場合まで、ワンストップでサポートしていくことができる」(阪本取締役)。

ニーズにあわせてPC1台から全社のIT環境までワンストップで提供

 価格は利用できるサービスによって異なるが、PC1台の問い合わせ対応などを依頼した場合、月額900円からとなっている。

 もう1つの特徴が、サポートは全国にいる複写機を保守してきたメンバーが企業に駆けつけて実施する点だ。「当たり前のようでいて、他社はあまり実施していないようだが、全国で複写機の保守サポートを行っているエンジニアがお客さまのもとに駆けつけサービスを行う。保守サポートスタッフが、今回提供するサービスのすべてを実施できるスキルを持っているからこそ、実現できる体制だ」(阪本取締役)。

 中堅・中小企業向けのサービスビジネスは、少額なサービスになりがちであることから、収益を確保するのが難しいとされる。今回は、当初のターゲットを既存の富士フイルムビジネスイノベーションの顧客とすることで、顧客向けビジネスを深耕することにつながる。従来の顧客向けビジネスの収益が向上することになることから、収益的にもプラスになるとしている。

 現在、富士フイルムビジネスイノベーションのビジネスソリューション事業の売上は、2022年度の実績で2826億円。これを2027年度に4000億円まで拡大することを目標としている。

ビジネスソリューション事業売上目標

 今回の新サービスの売上がどの程度貢献するのかは明らかにしていないが、「現在、ビジネスソリューションサービス事業のフィロソフィーとして、DXのその先として、『Customer Happy Experience』の略となるCHXを目指している。日本のお客さま向けには、お客さまの成功体験を作ることをアピールしているが、海外では成功体験ではお客さまに伝わりにくいという声があった。われわれは海外向けビジネス包含していることから、海外のお客さまにも伝わりやすいCHXをフィロソフィーとさせていただいている。今回の新サービスは、CHXに合致した新サービスとなっている」(阪本取締役)と説明している。

 なお、今年度中に新たにクラウドサービスを提供することも計画している。「こちらはお客さまのDXにつながるクラウドサービスとなる予定で、あらためて発表を行い、詳細を説明したい」という。

ビジネスソリューションサービス事業が実現するCHX