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富士フイルムビジネスイノベーション、クラウドサービス「FUJIFILM IWpro」に生成AIを活用したデータ抽出サービスを追加

 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は24日、中堅・中小企業向けクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」の新機能として、生成AIを活用したデータ抽出サービス「FUJIFILM IWpro Intelligent Data Captureオプション」を提供開始した。

 FUJIFILM IWpro Intelligent Data Captureオプションは、生成AIを活用し、企業間取引において発生する見積書・注文書・納品書・請求書を効率的にデータ化する機能。生成AIを活用したOCR技術により、企業ごとに形式(フォーマット)が異なる見積書・注文書・納品書・請求書から、明細表に記載された情報や手書き文字をデータとして抽出できる。

非定型帳票のデータを抽出し、後続システムに取り込めるデータ形式で出力するまでのイメージ

 抽出したデータは、販売や会計システムといった後続システムにインポート可能な形式で出力されるため、受注登録や支払い・仕分けなどの後工程をスムーズに処理できる。さらに、サービスは顧客側でAIのプロンプト設定を行う必要がなく、帳票処理業務におけるデータ入力作業の負担を軽減し、業務効率化に貢献する。

 FUJIFILM IWproにこれまで搭載されていたOCR機能では、帳票から必要な情報を抽出するために、読み取り位置(座標)の指定や、特定のキーワードの周辺から関連情報を抽出する手法が用いられていた。これは定型帳票においては有効に機能するが、企業ごとに形式が異なる非定型帳票では、キーワードの特定やその周辺情報を正確に抽出することが難しく、読み取れる項目が限定される課題があった。特に明細表に含まれる品名、数量、金額といった受発注業務に不可欠な項目の情報は、明細表ごとに行数やレイアウトが異なるため、従来のOCR機能ではデータ抽出が困難で、その結果、明細表の情報は手作業でシステムに入力する必要があった。

 この課題に対し、生成AIを活用したOCR技術により、非定型帳票に含まれる明細表の情報や手書き文字の読み取りを可能にした。生成AIにより帳票内のテキストや表形式の情報を、項目ごとの意味を理解しながら構造的に認識する。例えば、品名や金額といった項目の意味とレイアウトを認識し、項目名とそれにひも付く情報をセットで抽出することで、明細の属性(意味)を保持したまま、構造化データとして整理・出力できる。これにより、データの抽出から、後続システムで活用可能なデータ形式への整理・出力までを実現した。

 生成AIを活用したOCR技術により、企業ごとに形式が異なる見積書・注文書・納品書・請求書を自動でデータ化・仕分けできる。生成AIにより前後の文脈を理解しながら文字を予測することで、これまで難しかった手書き文字の読み取りも対応できる。また、生成AIのプロンプト設定といった事前準備は不要で、FUJIFILM IWproにアップロードするだけで非定型帳票のデータ化ができる。

OCR処理結果の例

 品目や金額などが含まれる明細表の情報を行数に応じてデータ化でき、複数ページにわたる場合でも、生成AIが情報の意味と構造を理解し、一つの明細表としてデータを抽出する。

明細表の抽出例

 抽出された構造化データは、後続システムにインポート可能な形式で出力できるため、データの加工・編集の手間なく、販売や会計システムなどにそのままデータを取り込める。また、サイボウズの「kintone」には、FUJIFILM IWproから直接データを登録でき、これにより受注登録や支払い・仕分けなどの後工程をスムーズに処理できる。

後続システムへの連携の概要

 FUJIFILM IWproを利用する顧客は、月間100ページまで無償で新機能の利用が可能。それ以上の利用には、「FUJIFILM IWpro Intelligent Data Captureオプション」の契約が必要となる。オプションの価格は月額1万2000円で、500ページ単位の追加となる。