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SBIビジネス・ソリューションズ、「請求QUICK」に請求書の受取・保存機能を追加へ

2023年9月に搭載予定、インボイス制度対応などを支援

 SBIビジネス・ソリューションズ株式会社は、クラウド型請求書発行システム「請求QUICK」に、請求書受取機能、請求書電子保存機能を2023年9月(予定)に実装すると発表した。2024年1月に電子帳簿保存法の宥恕期間が終了すること、また2023年10月1日からインボイス制度が施行される予定であることから、電子帳簿保存法、インボイス制度に対応した機能を新たに実装。従来の請求書発行システムではなく、請求の発行から、受け取り、保存までをトータルで行える「請求管理システム」としてアピールしていく。なお無料プランから利用できる料金は従来通りで、変更は行わないとした。

 代表取締役社長の夏川雅貴氏は、「中小企業の方にインボイス制度の課題についてアンケート調査を行ったところ、外部ツールを導入するとの回答は8.7%にとどまった。その理由として挙がった第1位が、コストがかかりすぎるというもの。そこで請求QUICKは、従来通り0円から利用可能で、法令に対応できる安心製品としてアピールしていきたい」と説明している。

代表取締役社長の夏川雅貴氏
「請求QUICK」に請求書受取機能を標準搭載する

 SBIビジネス・ソリューションズでは、「バックオフィスの未来を拓く」をキーワードに商品やサービスを提供している。2023年からはインボイス制度開始、改正電子帳簿保存法の宥恕期間終了と、中小企業の経理部門が対応しなければならない課題があるが、「中小企業は経理の専門担当者がいないことも多い。経営者自身が経理を兼ねているケースや営業担当者が経理も兼務するなど、経理面での新しい課題に対応する余裕がないことが第1の問題。第2の問題として、業務効率化のためとはいえ追加コストを支払うインセンティブが弱い」と、夏川氏は2つの問題を指摘する。

中小企業における経理の課題と法対応の実態

 こうした中小企業ならではの課題に加え、インボイス制度、改正電子帳簿保存法への対応は法的に対応することが必須となる。インボイス制度は、登録を行った後も請求書への登録事業者番号の記載と、請求書ごとに計算した消費税額と税率の記載が必要になる。「手書きでの請求書作成は、端数処理など正確性が担保できないなど、事実上、対応は難しい」(夏川氏)。

 さらに請求書は、発行だけでなく受け取る場合にも、取引先から送られてきた請求書がインボイスではない場合には、仕入れ税額控除が受けられない。さらに、請求書がインボイスであっても、相手の登録事業者番号が正しいのかを確認すること、さらに請求書の明細ごとの仕訳入力と税率ごとの入力が必須となる。こうしたように、受け取る側もインボイス制度への対応、つまり煩雑になる経理処理への対応を迫られることから、ツール活用が必須となる。

請求書の発行側でインボイス制度に対応すべき理由
請求書の受取側でインボイス制度に対応すべき理由

 しかし、SBIビジネス・ソリューションズが行ったアンケート調査では、「インボイス制度対応のために新たにツール導入を検討している」と答えた回答者は8.7%にとどまり、一番多かった回答は「税理士など専門家に任せる」の35.9%となった。

 また、中小企業が新たにツール導入を検討しない理由は何かを調査したところ、「毎月のコストがかかりすぎるから」という回答が一番多く、36.1%となった。「コストの問題に関しては、請求QUICKは0円から導入できる。コストをかけずに業務効率を上げることができて、法対応によって安心を得ることができる」(夏川氏)とアピールする。

 機能面での請求書QUICKの特徴は、1)請求書の発行・受取・保存が1つのシステムとなっていることで、導入と運用を容易に行える、2)マスターデータのメンテナンスコストも3つのシステムまとめて登録が行える、3)システム間連携も不要となる、4)データについても一元管理できる、といった点だ。

 請求書を発行する際には、インボイス制度対応機能として登録番号を請求書に自動反映、税率ごとに区分した消費税額と適用税率の記載が可能。改正電帳法対応としては、発行した請求書控えの電子保存が可能となっている。

 請求書受取の際には、郵送で送られてきた請求書をスキャンし、デジタルデータとしてアップロード・保存できるほか、メールで送られてきた請求書もアップロードして保可能だ。請求書QUICK専用のメールアドレスに送られてきた請求書については、直接取り込めるなど、さまざまな請求書の受取方法に対応する。なお受け取った請求書のうち、紙で送られてきた請求書についても、事業者登録番号をOCRで読み込み、読み取った事業者登録番号が正しいものかを国税庁DBと付合して自動判定する。その結果を請求QUICKに即反映させることができる。

さまざまな請求書の受取に対応しシームレスな連携が可能
インボイス対応に必要な登録事業者番号も自動でチェック

 データ保存については、紙で受け取った請求書、メールで受け取った請求書も含め、請求QUICKに電子データとして保存する。請求書の発行から受取、保存までインボイス制度、電子帳簿保存に対応した作業が一貫して行えるので、事業者側の事務負担軽減が実現する。

 今後はデジタルインボイスの発行と受取にPeppolに対応し、デジタルインボイスを発行、受領するサービスとしていくことも検討しているという。

 今回、請求QUICKは0円から利用できる料金体系を続けながら、請求書の発行、受取、電子帳簿保存ができる機能を付加した。なお、0円で利用できるのは利用者が5人まで、請求書の発行枚数は月間50枚まで、インターネットバンキングの明細取得は30回までとなっている。それ以上の場合は有償となる。夏川氏は、「現在の0円利用者は95%程度となっている」と、0円利用者が圧倒的に多いと説明した。

料金体系

 「他社が提供するインボイス対応製品を見ると、請求書のみ、受取のみなど個別機能だけを提供しているものも多く、価格もそれぞれ別々の料金が必要というものも多い。当社の請求QUICKは、請求書の発行、受取、保存を一貫して利用できることが大きな特徴となっている」(夏川氏)。

1つのシステムとして提供されるメリット

 サービスを0円から提供できる理由について夏川氏は、「当社が提供するFinTechサービスに価値を感じ、有償で利用してくださるお客さまが多い。今後、さらに請求書を起点として、付加価値となるFinTech機能を強化していく」としており、関連する有償のFinTechサービスを拡充していくことで収益を確保することができると説明した。

 現在提供しているサービスは、入金QUICKで必要なタイミングで必要な額が資金調達できる請求書買い取りを行うファクタリングサービス、銀行入出金明細の自動取得機能を提供する消込QUICKによるアカウントアグリケーションサービス、B2Bクレカ決済を業界最低水準で提供するクレカQUICKなどで、今後、さらにFinTechサービスの拡充も進めていく計画だ。

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