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マネーフォワード、エンタープライズ向けのインボイス対応請求書受領システムを提供
2022年8月25日 06:15
マネーフォワードは24日、インボイス制度に対応した中堅・大企業向け請求書受領システム「マネーフォワード クラウドインボイス」を提供開始したと発表した。
大企業はすでにERP等に投資していることから、マネーフォワードの会計システムの新機能として提供するのではなく、既存の会計システム等とAPIなどを通して連携できる仕様とする。受領システムの提供からスタートし、今後送付システムの提供を予定している。
また今回は、電子インボイスへの対応を行うことを発表した。インボイスをネットワークでやり取りする標準仕様「Peppol(ペポル)」のサービスプロバイダーとしてデジタル庁に登録する準備を進めているという。
「サービスプロバイダーとなることで、インボイスの送付から受領まで一気通貫したサービスを提供可能となる。将来は新たなフィンテックサービスを創出していくことで、インボイス領域の収益となる事業を拡大していきたい」(マネーフォワードの執行役員 ビジネスカンパニー CSO 山田一也氏)。
インボイス制度への対応を支援
2023年10月にインボイス制度が開始され、適格請求書発行事業者として登録が完了した事業者は、登録番号が記載された適格請求書(インボイス)を発行することになる。また、これまでのように請求書の受領者側だけでなく、発行者側も保管義務が課せられるといった変更点が出てくる。
マネーフォワードではインボイス制度への対応について、個人事業主と中小企業向けには現在提供している製品に付加する形で提供する予定で、送付時の機能としては「クラウド請求書」にインボイス送付機能を、受領時の機能としては「クラウドBox」にインボイス受取機能をそれぞれ提供するとした。
一方、中堅企業とエンタープライズ向けには、マネーフォワード クラウドインボイスを新たに提供する。「大企業はすでに億単位をかけて基幹システムを構築しているケースが多く、当社の製品を新たに導入してもらうのは難しい。新しい製品をプラスすることで、インボイス発行、受取業務を処理してもらう」(山田氏)。
マネーフォワード クラウドインボイスは、中堅企業・エンタープライズの請求書の受発注業務の実態に対応し、取引先から送られてくる請求書がメール、郵送、アップロード方式のいずれであっても、一括管理と受領を実現する。例えば手書きの請求書が郵送されてきた場合でも、AI-OCRとオペレーター入力による正確かつ迅速なデータ化を実現し、請求書のオンラインでの一元管理を可能とするという。
まずは受領のためのサービスを提供し、今後、送付サービスを提供する。「インボイス開始には問題なく間に合うタイミングで提供する」(山田氏)計画だ。
外部公開用のAPIを準備中で、これを活用することで請求書データを企業が利用中の基幹システムに連携し、会計業務や支払い業務に活用できるようにする。SaaSの特性を生かし、既存の会計システムなどの周辺システムとしてクラウドインボイスを利用できるように提供していく。
改正電子帳簿保存法に対しては、メールで送られてくるデジタル請求書、郵送で送られてくる請求書、アップロードされる請求書のいずれも、データの自動取り込みもしくは代理受領、スキャン代行などによりタイムスタンプを付与して保存し、検索にも対応する。
インボイスに対しては、適格請求書発行事業者の登録番号を正確にデータ化。国税庁とAPI接続することにより、適格請求事業者であることを自動で確認する。税率ごとに区分した消費税額が自動登録され、業務負担を大幅に軽減することが可能だ。
また、マネーフォワード クラウドインボイスのデジタルインボイス対応が今回発表になった。インボイス制度では前述のように、請求書の受領側だけでなく発行側も請求書を保管することを義務付けていることから、「発行側が紙で請求書を保管することになると、紙の使用量が2倍になってしまう。これは効率的ではないので、インボイスをデジタル化し、紙からデジタルデータへの移行が進むことが期待されている」(山田氏)としており、デジタルインボイスの必要性が高まる見込みだ。
ただし、デジタルインボイスを受領する場合、仕様がバラバラでは効率的なデータ活用ができないといった弊害がある。そこでデジタル庁では、「官民連携のもと、グローバルな標準仕様であるPeppolをベースとしたわが国における『電子インボイス』(デジタルインボイス)の標準仕様の普及・定着の取組を行い、事業者のバックオフィス業務のデジタル完結の実現を目指す」としている。
マネーフォワードでは、デジタルインボイスの送受信基盤となるアクセスポイントを提供する、アクセスポイントプロバイダーとしての認定を受ける申請を行った。
「アクセスポイントプロバイダーとなることで、デジタルインボイスの発行から受領に至るすべてに対応できるようになる。Peppolネットワークに直接アクセスできるようになり、請求書発行から受領まで一気通貫したサービスを提供可能となる。また、請求前後の業務の自動化が可能で、自社サービス機能の更新とそれに伴うデジタルインボイスの送受信に迅速に対応できるようになる。クラウドサービス事業者として他社との差別化につながるサービスを提供できる」(山田氏)。
さらに、インボイス領域のサービスとともに、すでに提供している給与、経費管理といったサービスを通じて蓄積したデータを活用したSaaS×Fintechへの取り組みを強めていくとも説明している。