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東芝、インフラ点検向けの新AI技術を開発 現場での学習を行うことなく異常を検知可能

 株式会社東芝は23日、インフラ点検向けに、数枚の正常画像と点検画像から、異常や異常につながる個所を高精度に検出するAI技術を開発したと発表した。

 今回開発したAI技術では、点検画像と正常画像の比較を、事前学習で学習済みの深層モデルの特徴量を用いて行うことにより、点検個所の正常画像を数枚用意するだけで、現場での学習を行うことなく、異常を検知できる点が特徴という。

 さらに独自の補正技術を用いることで、点検画像の撮影位置や角度が正常画像とずれていても高精度に異常個所の検出を行えるため、正常であるにもかかわらず、特徴的なパターンを異常として検出してしまうといった過検出も抑制できるとした。

開発技術の特徴

 東芝によれば、このAI技術を用いて、太陽光パネルの裏面の点検を模擬した実験を行い、異常個所を正確に検出できることを確認したほか、公開データセットによる評価では、新開発のAIと同様に学習不要な従来技術では89.9%だったのに対し、新技術では、世界最高精度となる91.7%を達成したとのこと。

太陽光パネル裏面の点検画像の異常を検出した例

 東芝では、ひび・さびのほか、水漏れや異物の付着、部品の脱落など、発生頻度が低く未学習の異常も高精度に検出できるとしており、点検員の危険や移動の負担が伴うような山岳地の鉄塔、橋梁の高架下、法面、太陽光パネルの裏面など、点検作業の省力化が求められながらも、これまで現場の画像が少なく、AIの導入が困難だった現場への適用が期待できると説明。

 今後は、インフラの点検システムへの適用を目指し、2023年度中の実用化に向けて開発を進めるとしている。