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日立、インフラ設備点検のAI活用に向けたオープンプラットフォームを開発
2022年6月10日 12:34
株式会社日立製作所(以下、日立)は10日、地域社会を支える社会インフラの強靭化に向けて「設備点検AIプラットフォーム」を開発したと発表した。
日立は、インフラ設備の高経年化や、少子高齢化による現場作業員の減少といった課題に対し、AI技術の研究開発やインフラシステム構築の実績で培った知見やノウハウを生かし、AIの現場実装から導入後の効率的なシステム維持管理を実現する設備点検AIプラットフォームを開発した。
設備点検AIプラットフォームは、インフラ事業者をはじめ、AIベンダーなどのベンチャー企業や大学、研究機関といった多種多様なステークホルダーと連携し、優れた技術やノウハウを取り込んでいくオープンなプラットフォームとして、複数のインフラ事業者を中心に実証を重ね、地域全体でのインフラ管理の効率化やコスト最適化を目指す。
プラットフォームでは、設備点検でAIを活用するために必要となる、現場で収集した動画データのシステムへのアップロードから、点検動画データの加工処理、画像診断AIによる解析、診断結果の管理など、一連のプロセスを自動化することで、設備点検作業の効率化とAI解析の精度向上を実現する。
日立開発のドローン運航管理システムと連携する機能を有し、ドローンで収集した点検動画データを自動アップロードすることが可能。データ移行時のデータ消失などのリスクが軽減されることで、データ取得から診断まで、よりセキュアなシステムを実現する。
プラットフォームは、点検動画データからの静止画生成、画像選別や画像加工など、診断対象設備に依存せず共通的に利用可能な「共通機能層」と、設備ごとに異常診断するためのAIなど「個別機能層」で構成される。共通的に利用可能な機能をコンポーネント化し、日立が提供することで、多重開発を回避し、インフラ事業者のシステムへの最適投資や、使いやすく効率的な運用管理の実現に貢献する。
また、他事業者のAIとの接続を容易にする、よりオープンなシステム構成となっており、AIベンダーやDXに関連するベンチャー企業などが参画することで、インフラ事業者にとってより高度な技術を取り入れられ、プラットフォーム自体も継続進化していくと説明。こうした継続進化が繰り返されることにより、インフラ保守の品質や管理効率を持続的に向上し、社会インフラ全体の強靭化に貢献するとしている。
日立では、Lumadaアライアンスプログラムなど社内外のオープンイノベーションの枠組みを活用し、共通的な課題意識を持つ地域企業や金融機関、自治体など、関連するステークホルダーとの連携を加速していくと説明。さまざまな協創による継続的な価値拡充を通じて、地域の社会インフラ強靭化に向けたイノベーションの創出に取り組んでいくとしている。