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東芝、教師なしで複雑な画像の特徴を学習してグループ化する画像分類AIを開発

 株式会社東芝は28日、製造現場における外観検査による不良検知向けに、教師なし(分類基準のラベルづけ作業なし)で高精度に画像をグループ化する画像分類AIを開発したと発表した。

 製造現場における外観検査においては、分類基準を学習するための人手による作業が不要で、導入・運用コストが低い教師なし学習による分析が期待されている。一方で、従来の教師なし学習では、AIが不良や欠陥の特徴を十分に学習できず、分類精度が低下する場合があり、特に外観検査における画像では、付着したダストやキズといった着目したい不良や欠陥に対して、それ以外の背景領域が大部分を占めるため、背景に含まれる特徴も学習してしまい、本来着目したい不良や欠陥の分類精度が低下する問題があるという。

 そこで東芝は、教師なしで、画像の背景にとらわれることなく画像の特徴を学習し、高精度に画像を分類するAI技術を開発した。独自の深層学習方法により、画像に含まれる多くの特徴から分類に有効な特徴を抽出することで、不要な特徴の影響を受けない高精度な分類を実現した。

 開発した技術は、まず、人手による分類基準のラベルではなく、1枚の画像を1つの分類基準とする疑似的な教師あり学習を行うことで、多くの画像に表れる背景のような部分ではなく、一部の画像に表れる不良や欠陥に着目して特徴を抽出する。さらに、抽出する特徴が重複しないような独自の学習基準を設定することにより、画像に含まれる多くの特徴から類似した不良や欠陥をグループ化するのに有効な特徴量(特徴を数値化したもの)の作成を実現している。

 開発したAIを使用して、世界共通の画像データに対して分類を行ったところ、分類精度が従来の71.0%から95.4%に改善し、世界トップレベルの性能を達成した。この技術を用いることで、製造現場で撮影される外観画像において、たとえば検査対象以外の物が背景に映りこんでいるような複雑な画像でも、製品の不良や欠陥を教師なしで高精度に分類できるとしている。

 東芝では今後、開発したAIを製造現場における様々な検査工程・製品に適用し、性能実証を行っていく。また、同社グループの製造現場で培った実績をもとに、東芝デジタルソリューションズ株式会社の製造業向けソリューション「Meisterシリーズ」への展開を進めていく。

特徴量抽出による分類