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Twilio Japanがソフトバンクと協業、固定電話番号で利用できるクラウド音声通話サービスを提供開始

 Twilio Japan合同会社は18日、ソフトバンク株式会社と提携し、国内全域の固定電話番号(0AB-J番号)で利用できるクラウド音声通話サービスを、5月19日から提供開始すると発表した。また両社は、国内におけるコミュニケーションのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することを目的に、今後さまざまな連携を図っていくという。

 5月18日に行われた発表会では、ソフトバンクとの協業の狙いや新サービスの概要、今後の協業展開について説明した。

写真左から:Twilio Japan 代表執行役員 社長の今野芳弘氏、ソフトバンク 執行役員 法人事業統括付(ソリューション・クラウドエンジニアリング/ICTオペレーション担当)の野田真氏

 新サービスの発表にあたり、音声通話の市場動向について、Twilio Japan 代表執行役員 社長の今野芳弘氏は、「電話による音声通話は100年以上の歴史があるが、現在も人と人をつなぐコミュニケーションとして活用されている。しかし、DXの進展にともない、新しいコミュニケーションが急成長してきており、今後はアプリやAIを人とつなぎ、それを電話でサポートすることが重要になる」との考えを示す。

 一方で、従来の電話基盤の課題として、「オンプレミスPBXの設置工事が必要で、高額なメンテナンスコストがかかる」、「通話は特定の電話機に限られる」、「電話番号の申し込みに時間がかかる」、「任意のアプリケーションとの接続が困難」といった点を挙げた。

Twilio Japan 代表執行役員 社長の今野芳弘氏

 「こうした状況の中で、当社はクラウド音声通話サービスを提供してきたが、企業や政府、自治体などからは固定電話番号に対する強いニーズがあるのが実情だ。固定電話番号は、市外局番から始まるため地域性を反映でき、安心のイメージがある。また、企業の看板番号として、固定電話番号を継続して利用したいという要望も多い。そこで今回、このニーズに対応するべく、ソフトバンクと提携し、固定電話番号で利用できるクラウド音声通話サービスを提供することとした」と、新サービスを提供する背景を説明した。

 ソフトバンクとの協業展開については、「Twilioグローバル戦略に基づき、ソフトバンクの固定電話網と当社のクラウドコミュニケーションプラットフォームを接続し、総務省から認定を受けることで、国内全域の固定電話番号に対応したクラウド音声通話サービスを実現した。この協業を機に、ソフトバンクの顧客やパートナーに対しても新サービスを訴求していく。また、ソフトバンクとともに当社の顧客エンゲージメントプラットフォームの導入拡大も図り、日本のDXに貢献していく」と狙いを語っている。

 これまでTwilioのクラウド音声通話サービスは、050番号(IP電話番号)や、着信者に通話料が課金される0120/0800番号(トールフリー番号)に限られていたが、新サービスの提供開始によって、03、06、045、048、011など国内全域の市外局番から始まる固定電話番号での送受信が可能となった。

「国内全域の固定電話番号で利用できるクラウド音声通話サービス」の概要

 また新サービスは、TwilioがAPIを通してワンストップで提供する。これにより、導入企業や自治体などは、ビジネスチャットツールやオンライン会議システム、コンタクトセンターで活用している自社のアプリケーション、AIを活用した自動音声応答システムなど、さまざまなサービスやアプリケーションに固定電話番号を組み込んで利用することが可能だ。

Twilioが提供するAPIとの組み合わせ

 さらに、サービスの導入には、電話機の設置や通信回線の引き込み工事などが不要となるため、簡単に利用を開始できる。従業員のリモートワークなどにおける定常的な利用に加えて、突発的に多くの問い合わせが発生する災害やイベント時などに回線数を追加して利用するなど、柔軟な活用が可能。従来の固定電話サービスを今回のクラウド型のサービスに置き換えることで、PBXの高額なメンテナンス費用も不要になる。

 なおソフトバンクでは、新サービスの提供に合わせてTwilioとパートナー契約を締結しており、ソフトバンクが扱う各種法人向けサービスと、Twilioのコミュニケーションサービスを組み合わせて、企業や政府、自治体に新サービスを提案していく。

 Twilioとの協業メリットについて、ソフトバンク 執行役員 法人事業統括付(ソリューション・クラウドエンジニアリング/ICTオペレーション担当)の野田真氏は、「これまで、各種サービスとコミュニケーション機能は別サービスとして提供されており、個別に管理する必要があった。また、開発環境もコミュニケーション機能が連動した仕組みになっていないため、自社での個別開発が必要だった。今回のTwilioとの協業によって、各種サービスの中にコミュニケーション機能を組み込んで提供できるようになり、業務効率と顧客満足度の向上を図ることができる。開発者にとっても、TwilioのAPIを活用して簡単に開発ができるようになる」と述べた。

ソフトバンク 執行役員 法人事業統括付(ソリューション・クラウドエンジニアリング/ICTオペレーション担当)の野田真氏

 加えて、「今回の協業を機に、デジタルコミュニケーションとデジタルマーケティングの領域において、Twilioとともに日本企業のDXを加速させていく。これに向けて、新たにクラウド開発企業やSaaS企業のパートナーを募集する予定だ」と、今後の協業展開についても明らかにした。