ニュース

日立、「オフィスグリコ」を活用した無人店舗の実証を自社の事業所内で開始

 株式会社日立製作所(以下、日立)は22日、グリコチャネルクリエイト株式会社の「オフィスグリコ」を活用し、小売DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する無人店舗の実証を、日立の事業所内で開始すると発表した。日立では、無人店舗のコンセプトである「CO-URIBA」、"小さなスペースを生かし、ともに売り場をつくりたい"のもとで、今後もさまざまな事業者との実証を行っていく考えだ。

 「CO-URIBA」では、利用者が生体情報とクレジットカード情報をあらかじめ登録しておくと、利用時に生体情報で本人認証を行い、商品を手に取り店舗エリアから離れるだけで自動精算を可能にする仕組みを導入している。

 具体的には、商品棚と天井に設置した高精度なセンサーにより、ガムなどの小型・軽量の商品も認識できるほか、一度手に取った商品を棚に戻した場合でもキャンセルと判別可能。生体認証により、スマートフォンやクレジットカード、現金などを持たずに手ぶらで買い物できる手軽さを実現している。なお、生体情報の悪用を防ぐ日立独自の特許技術「PBI」を活用し、セキュリティ面を強化したとのこと。

「CO-URIBA」イメージ写真

 また、利用者の好みを収集して商品開発などのマーケティングに活用できるほか、購買状況をタイムリーに把握して、在庫管理の最適化や売れ筋商品の迅速な補充に利用可能。現場で確認することなく、どの商品がいつ売れているか、在庫状況はどれくらいかといった状況もリアルタイムに把握でき、売り切れ前の商品補充、人気商品の売り場面積拡大など、ニーズに応じた販売計画の立案に役立てられるので、売上向上にも貢献するとしている。

 さらに、商品棚の重量センサーと商品棚上部の3Dセンサーから利用者の行動履歴を収集し、購買データとともに複合的な分析を行える点も特徴だ。例えば、購入者の属性や購入商品、時間帯などの情報に加え、商品前でしばらく足を止めた、一度手に取ったものの購入に至らなかったなどの行動履歴を多角的に取得可能。消費行動を詳細に可視化して、商品開発や販売戦略立案などマーケティングに活用することが期待できるとした。

 今後は、売上向上につながるマーケティング機能をさらに強化する計画で、映像コンテンツをタイムリーに配信できる日立のデジタルサイネージ技術「MediaSpace」を活用し、入場時の認証情報をもとにしたパーソナライズ広告、あるいは手に取った商品に応じた広告やカロリー・栄養成分などの関連情報、または、施設のお知らせや天気予報といったお役立ち情報をリアルタイムに表示するリコメンド機能、商品の人気投票を調査できるアンケート機能、日立の「IoT決済プラットフォームサービス」を活用したダイナミックプライシング(需要に応じた価格変動)機能の実装などが検討されている。

 なお「CO-URIBA」は、3月1日~4日に東京ビッグサイトで開催されるイベント「リテールテックJAPAN 2022」の日立グループブースに出展される。