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日立、完全非接触型の指静脈認証装置「C-1」を提供 数百万規模の大規模会員数にも対応可能

PCカメラ向け生体認証ソフトウェア開発キットも

 株式会社日立製作所(以下、日立)は2日、指静脈認証を利用した非接触型生体認証デバイス「日立指静脈認証装置C-1」(以下、C-1)と、専用装置不要のPCカメラ向け生体認証ソフトウェア開発キット(SDK)「日立カメラ生体認証 SDK for Windows フロントカメラ」(以下、生体認証SDK)を発表した。3月9日より提供を開始する。

 日立によれば、小売店・飲食店での決済やイベント会場・施設の入退管理、レジャー施設での会員管理など、手ぶらで利用できる生体認証のニーズが高まっているほか、昨今では、全国展開のスーパーやコンビニ、会員施設などに向け、大規模ユーザーにも対応できる非接触型の生体認証装置のニーズが高まっているとのこと。

 「C-1」は、3本の指をかざすだけで認証可能な指静脈認証装置で、こうしたニーズに応えて開発された。従来の指静脈認証装置は部分接触型で、1本の指をかざして認証しており、会員数を絞り込む必要があったのに対し、非接触かつ数百万規模の会員数でも認証可能なスケーラビリティを確保している。これにより大規模な会員数に対応でき、B2B2C向けに幅広く提供できるとのこと。

 加えて「C-1」はQRコードの読み取りにも対応しているので、さらなる利便性の向上に貢献するとした。

 価格は12万円(税別)。

 日立は今後、POSベンダーの東芝テック株式会社、セキュリティゲートを手掛ける株式会社クマヒラと連携し、「C-1」を組み合わせた新たな生体認証ソリューションを、オフィス・流通・小売などに展開する予定。加えて、さまざまなパートナーと連携し、幅広い分野のニーズにあわせた提供も行っていくとしている。

 一方の「生体認証SDK」は、PCの内蔵カメラや外付けカメラを用いた指静脈認証ソフトウェアの開発キット。コロナ禍において多くの企業でリモートワークが進み、従業員が自宅やサテライトオフィス、コワーキングスペースなどオフィス以外で勤務するケースが増えたことを受け、ID・パスワード認証の運用ではなく、生体認証を使った高いセキュリティを低コストで実現することが求められているとのことで、こうしたニーズに応えて製品化された。

 「生体認証SDK」を用いると、カメラに指をかざすだけで、PCや業務システムに適した環境上で、Windowsサインインから業務システムへのシングルサインオン(SSO)、電子署名まで一連の本人確認をセキュアに行えるようになるという。

 なお同製品は、欧州などにおいても社外パートナーとの実証を進めており、海外での事業展開も図っているとのことだ。

 さらに、顧客の利用形態やニーズにあわせ、株式会社日立コンサルティングと連携して、企画段階で「生体認証を活用したDX推進コンサルティング」を提供する。これにより、ユースケースの紹介や導入効果のシミュレーション、PoC/導入計画策定を行い、企業の利用用途にあった生体認証の業務活用や新たなビジネス創出を支援するとした。