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大塚商会、2025年度通期決算は増収増益 売上・利益ともに3年連続で過去最高を記録

2026年度の売上はEOS特需の反動もあり微減を想定

 株式会社大塚商会は2日、2025年12月期(2025年1月~12月)の決算を発表した。連結売上高は前年比19.4%増の1兆3227億9100万円、営業利益は同21%増の899億4300万円、経常利益は同20.5%増の915億2500万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同20.2%増の643億300万円となり、売上高・各利益ともに3年連続で過去最高となった。

 また単体売上高は、前年比18.1%増の1兆1631億3800万円、営業利益は同22.1%増の811億9600万円、経常利益は同22.9%増の839億7100万円、当期純利益は同23.6%増の605億3400万円。

2025年12月期 決算の概要

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「1~12月としては3年連続で過去最高を更新した。連結売上高は1兆3227億円、単体としても(売上高)1兆円の大台を超えることができた。企業のIT投資は底堅く、もちろんWindows 10のサポート終了にともなうパソコンの買い換え特需もあるが、幅広いニーズをつかむことができた」と好調な売上、利益となった要因を説明した。

代表取締役社長の大塚裕司氏

 なお、連結子会社はOSK、ネットワールド、アルファテクノ、アルファネットの4社で変更はないが、「ネットワールドのボリュームが大変大きくなっている。売り上げで368億円のプラス、前年比で25.7%伸長となった。これは、本体のようにWindows 11への入れ替え特需ではない。シトリックス、クラウドストライクなど、セキュリティも含めたエンタープライズ企業向けデータセンター需要などが好調だったことに起因している」としたように、ネットワールドのビジネスが好調となった。

連結子会社の概要

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比24.1%増の9029億1500万円、サービス&サポート事業が同10.5%増の4198億7500万円。

 単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が6853億100万円、受託ソフト等が663億9900万円、サプライが2120億7100万円、保守等が1993億6500万円となった。

【連結】セグメント別売上高
【単体】詳細セグメント別売上高

 なお、10~12月期の業績を見ると、連結売上高は前年比11.1%増の3170億7100万円、単体売上高は前年比10.4%増の2741億3200万円と2桁増となり、「大きな自信となった」(大塚社長)という。

 連結売上高の四半期推移では、「おかげさまで15四半期連続の増収となった。また、6四半期連続での2桁成長と順調に推移した。Windows 10のサポート終了が2025年10月だったことから、第4四半期の前半で特需が終了しているが、その後も売上は伸長したことが心強い結果となった」としている。

 単体の詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移では、SI関連商材が第4四半期に急落しているものの、「確かに第4四半期には、SI関連商品の伸びはEOSとともに下がっているが、全セグメントともマイナスはなく、すべてプラス。また、サプライ、保守が堅調に推移していることも大変心強く感じている」と前向きな見方を示した。

2025年10~12月 業績の概況

 通期の重点戦略事業の状況は、たのめーるが前年比8.9%増の2284億1000万円、SMILEが同8.0%減の147億5000万円、ドキュメントソリューションのODSが同7.4%増の618億3900万円、セキュリティソリューションのOSMが同26.1%増の1606億600万円。複写機は同6.9%増の3万8315台で、そのうちカラー複写機が同7.4%増の3万7716台。サーバーは同4.8%減の1万7738台、パソコンは同51.1%増の215万2397台で、タブレットなどを含めたクライアント合計では同59.9%増の236万8548台となった。

 たのめーるは、競合であるアスクルにトラブルが起こったことで需要が増加した。「アスクルはたのめーるの倍以上の規模のビジネスであり、トラブルの影響で需要が増加したが、当社のコールセンター、配送も含めキャパオーバーということになった。苦労したが、現在ではほぼ正常に戻ってきている。今後は、増加ペースが速まることに対応するために、物流体制、コールセンター体制の見直し、自動化といった取り組みを前倒しで進めていきたい」と体制強化を進める。

 また、アスクルがキャンペーンなどで顧客取り戻しのための攻勢をかけていることから、「初めてたのめーるを利用し、大塚商会と新規で取引いただいたお客さまも多いので、しっかり対応し、大塚のファンになっていただきたい」と訴えた。

【単体】重点戦略事業の状況

 複写機の販売は、「だいぶ枯れた商材だと思われているが、10~12月はなんと2桁成長となった。前年より下がった四半期もあるものの、年間では意外と台数が伸びている。残存者利益に近いのかもしれないが、これも大事な収益源の1つであり、お客さまとのコネクション、縁が切れない商材という意味でも、複写機を扱っていることについては当社の1つの特色であり、強みだといえる」という。

 クライアントの販売台数の四半期推移では、2025年度はWindows 10のEOSに加え、GIGAスクールのクライアント販売という特需もあったという。

 「パソコンだけでなく、GIGAスクール等々を含めたPC、ネットブック系のものも含めクライアントとして開示している。2019年、Windows 7のEOSの時は年間183万台だったが、今回は236万台ということで54万台増加している。これは想定よりも大きな数字となった。また、肌感覚でいうと、過去のEOSはサポート終了で注文が止まっていたが、2025年10月のEOSに関しては、中小企業などでまだ入れ替えが終わっていないお客さまが残っているようだ」と分析している。

 パソコンはメモリ価格の高騰などがあって値上がりが始まっているため、「入れ替えが終わっていない企業も多いが、セキュリティ面から考えると入れ替えは必須となる。資金がない場合は、当面は中古マシンでしのぐといった対処を行っている企業も多い。その後の入れ替えが必要になった時にフォローできるように考えたい」という。

複写機販売台数の四半期推移
クライアント販売台数の四半期推移

 単体のストックビジネス推移では、2025年度はサプライと契約保守売上高が3951億円となった。「ストック以外の売上が伸びているため、ストックビジネス比率は下がっているが、堅調な伸びとなっている。なお、2025年度から収益認識基準の変更が行われた。過去にはコピー機関連の補修を大塚商会で計上していたが、それが計上できなくなった。その部分を巻き戻しても保守売上は右肩上がりを継続し、一度も下がっていない。過去も、リーマンショック、東日本大震災などの異変があった際にも一度も下がっておらず、大変心強い。将来の大塚商会を引っ張っていく安心材料であり、今後もストックビジネスを重視していく」ことを強調した。

【単体】ストック(足し算)ビジネスの推移

 今後の基本方針と中・長期経営方針に大きな変更はないが、「営業利益率・経常利益率ともに7%以上の定着」という目標について、「今回、前年比0.1ポイントプラスの6.8%となった。一歩ずつ改善し、伸ばしていきたい」と改善していることを明らかにした。

 取引企業数は、目標の2%増を大きく上回る5.4%増の31.1万社となった。「1企業あたりの売上高は2桁成長となった。これは特需の影響もあるが、単品販売から、オフィスにあるあらゆるものを取り扱っている強みを生かし、取引商材の数を増やすオフィス丸ごとという戦略が浸透していることが、1社あたりの売り上げ増加につながっていると思っている。もちろん、アスクルのトラブルの影響も出ているので、着実にお客さまにご満足いただき、定着できるよう努力していきたい」とアピールした。

 また、前回2019年のEOSとの比較を行い、ハードウェア販売を行うSI事業だけでなくサービス&サポート(S&S)事業が伸長していることを紹介し、「今回は、SIとS&S事業の伸びが、ほぼニアリーイコールでバランスが取れている。前回は、ほとんどハード売りだけで終わってしまっている。前回の特需よりも、会社のビジネスの仕方と丸ごとオフィスという戦略が進化している証し」であることも強調した。

 S&S事業の粗利は、全社販管費の7割をカバーしている。大塚社長はこれに満足せず、「ゆくゆくは販管費すべてをストックビジネスでまかなえるレベルまで拡大したい。実現には時間がかかると思うが、一歩ずつ目指していきたい」と話した。

【単体】S&S事業の拡大・安定成長

 クラウド関連ビジネスについては、Webサービスの利用者数が2025年には490万人に拡大した。売上高は720億円で、「クラウド関連ビジネスを行っている企業と比較しても遜色(そんしょく)ない規模となっている。当社がインターネットビジネスを開始したのは1995年で、ヤフーの日本法人設立前のことになる。実はインターネットビジネス黎明(れいめい)期からネットビジネスを展開してきた企業でもある」と、クラウドやWebサービスでも実績を持ち、売上も伸びていることを訴えた。

【単体】クラウド関連ビジネス

 2026年度はAIとセキュリティの対応を強化する。「DXは当たり前になってきた。今後の注力ポイントとして、AIとセキュリティでお客さまとともに成長する。昨年はさまざまなセキュリティ事故があり、経済産業省のセキュリティ対策評価制度が新たに発表されると聞いている。詳細はこれから詰まっていくところだと思うが、トヨタも含め、サプライチェーンが乱れて、工場が止まる事態が起こっている。こうした実態を踏まえ、セキュリティ対策がどれくらいできている企業なのか、5段階で評価する仕組みが準備中と聞いている。私どものお客さまは中小企業が多いが、さまざまなサプライチェーンに関わっていることは間違いない。どう対策を採るのか、お困りのところについて私どもはお手伝いをしたい。AIについても、大塚商会のノウハウをお伝えしながら提案をしていきたい」とした。

 2026年度の計画としては、連結売上高は前年比0.9%減の1兆3110億円、営業利益は同0.1%増の900億円、経常利益は同1.6%減の901億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同4.9%減の611億3000万円。セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業は前年比5.1%減の8571億円、サービス&サポート事業は同8.1%増の4539億円。

 「前回の特需以降も順調に推移している。市場の環境も悪くない。山があって谷があるのは当たり前だが、過去を見ると、5ポイント超の成長を平均的にずっと出しているので、その巡航速度には最低限戻ろうと考えている。そして、2027年度には再び成長に戻していくことを計画したい」とした。

【連結】売上高・利益の計画

 なお、正社員数が1万79人で前年よりも増加しているが、これは定年を従来の62歳から65歳に引き上げたことが影響しているという。定年の引き上げにより、従来は正社員ではなく嘱託として働いていたスタッフの一部が正社員に返り咲いたことで、従来よりも正社員数が増えることとなった。