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エクイニクス、大阪にOS3を開設 関西エリアを強化し大阪キャンパスを実現

 エクイニクスは、大阪に新しいIBX(International Business Exchange)データセンター「OS3」を開設し、10月12日から運用を開始している。それに伴い、国内市場のデジタルトランスフォーメーションのトレンドとエクイニクスの国内投資に関する説明会を、10月20日にオンラインで開催した。

デジタルファースト戦略の加速とインターコネクション帯域予測

エクイニクス日本法人社長の小川久仁子氏

 説明会ではまず、同社の年次市場調査であるGXI(グローバルインターコネクションインデックス)Vol.5の内容について、エッセンスを紹介した。GXIは、2017年にスタートしたグローバルデジタル経済の成長を測定する市場調査で、「非常に予測精度が高いので、ぜひ見ていただきたい」とエクイニクス日本法人社長の小川久仁子氏は言う。Vol.5での注目点としては、下図の6つを挙げている。

デジタルファーストへ向けてさらなる飛躍のタイミング

 また、デジタルファースト戦略を加速させる3つのトレンドがあるといい、以下の3点を挙げた。

  • デジタルサービス(自社のビジネスをデジタルサービス化する)
  • デジタルへの参加(他社のデジタルサービスを活用してビジネスを行う)
  • デジタル近接性(したがって、よりデジタルに近いところでビジネスをしなければならない)

 これらに必要なコンポーネントが、「デジタルコア」「デジタルエコシステム」「デジタルエッジ」の3つである。また、デジタルエコシステムによってインターコネクションの帯域がどのような成長を遂げるかについては、以下のように予測している。

インターコネクションの帯域予測

 日本国内のインターコネクション帯域の予測では、東京の成長率が42%と高い値になっているが、大阪はさらに高い50%という予測になっている。これは、ここ数年でハイパースケーラーの需要が非常に伸びていることが背景にあると考えられる。これに伴い、エクイニクスでも、昨年から大阪エリアでの取り組みを強化している。

OS3開設と大阪キャンパス構想

 エクイニクスは、2013年に関西地区初のIBXデータセンターとしてOS1を大阪に開設した。近年は関西に注力しており、今年3月には、関西圏で強みを持つ関西電力グループのオプテージとの戦略的パートナーシップを発表している。10月12日にサービスインしたOS3は、ナンバリングでは3になっているが、大阪で2拠点目のIBXデータセンターとなる。2については、ハイパースケーラー向けxScaleデータセンターとして、OS2xが間もなく開設される予定だという。

 それぞれのIBXデータセンターは、個別のデータセンターとしてだけでなく、「Fiber Connectで接続され、大阪キャンパスとして利用できるデザイン」だと小川氏は言う。つまり、OS1を利用中で、システムを拡張したいができなかったという顧客は、OS3に拡張して一体化したインフラとしての利用が可能。OS3は、既に多数のサービスがエコシステムとして活用可能な状態になっているという。

大阪キャンパスの実現

 OS3のスペックの概要は、以下の通り。

  • 第1フェーズ(2021年末までに完成)では、約3,070㎡以上のコロケーションスペースと900ラックを提供予定。最終フェーズでは、合計8,300㎡以上のコロケーションスペースに2,500ラックが提供される予定。
  • OS1に直接接続された大阪キャンパスを形成し、Equinix Fabric.を含む幅広いインターコネクションソリューションを一体的に提供する。AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、その他のローカルクラウドサービスへの、直接かつ安全なアクセスを確立でき、ハイブリッドマルチクラウドインフラストラクチャーへのニーズに対応する。
  • Network Edgeと、Equinix Metal.サービスを提供する予定。
  • アルテリア・ネットワークス、中部テレコミュニケーション、Coltテクノロジーサービス、インターネットマルチフィード、Lumen、NTT西日本、オプテージ、TOKAIコミュニケーションズ、ベライゾンなど、25社以上のネットワークサービスプロバイダーが参加する、ネットワーク密度の高いデータセンターキャンパスを利用可能。
  • 日本政府のグリーン成長戦略を支援するために、モーション起動型のLED照明、高温冷水セットポイント、データセンターインフラストラクチャー管理(DCIM)と適応制御システム(Adaptive Control System)、コールド/ホットアイルの封じ込めなど、多くのグリーン機能と対策を採用。PUEの設計値は1.31。
  • 免震構造など、自然災害から守るための複数の対策が施されている。
  • 現在、Platform Equinixは世界65の都市で230以上のIBXデータセンターを展開し、1万社を超える世界の主要企業にデジタルインフラストラクチャーを提供している。OS3を利用することで、それらの企業との相互接続が可能。

サステナビリティとグリーンビルディング

 エクイニクスでは、サステナビリティについて“FUTURE FIRST”というキーワードを掲げ、さまざまな施策を進めている。温室効果ガスの50%削減、100%再生可能エネルギー、クライメイトニュートラル宣言といった2030コミットメントを出しているが、重視しているポイントは、以下の4つだ。

1)エネルギーの効率化
 老朽化した機器はエネルギー効率が悪いため、既存データセンターでは新しい機器への置き換えを進めている。さらに、細かな運用の改善については、Energy Efficiency Center of Excellence(EE COE)と呼ぶ、改善のベストプラクティスの収集とグローバル展開を行っている。これには、アイルキャッピングや歯抜けになったラックにブランクパネルをはめるなど、地道なものも含まれる。

2)イノベーション&デザイン
 DCIM(Data Center Infrastructure Management)の他、燃料電池、自然冷媒、地熱エネルギーの利用など、新しいテクノロジーの実証実験を進めている。

3)PUEへの対応
 PUEの目標値を1.2~1.45に設定し、グローバルで改善のトラッキングを行っている。

4)グリーンビルディング
 新規データセンターについては、LEEDもしくはPUE 1.45以下に準拠した設計(グリーンビルディングの設計)を導入。

 LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)は、米国におけるビルトエンバイロメント(建築や都市の環境)の環境性能評価制度で、OS3もその仕様に準拠した設計となっている。

データセンターデザインと運用効率化の施策

 小川氏は、「大阪は、東京と並ぶ非常に重要な大都市であり、国内の2大IXポイントは東京と大阪にある。さらに、当社の強力なパートナーであるハイパースケーラーの方々も、大阪リージョンをどんどん開設されており、われわれもそこへの支援を順次進めている状況。また、大阪にOS1とOS2という、2つのフィジカルなセンターができたことで、エンタープライズのお客さまは東西での完全二重化が可能になった。大阪でのエッジのトラフィック強化のひとつとしても、お使いいただける形になっている」と述べている。