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2021年のエクイニクスは「関西エリアの強化」「パートナー戦略の進化」「エッジサービスの拡充」に注力――エクイニクス・小川久仁子社長

 エクイニクス・ジャパン株式会社(以下、エクイニクス)は18日、エクイニクスの日本における2021年度事業戦略について、同社・小川久仁子社長が説明した。

 小川社長は、「すべてのデジタルリーダーにとって、必要不可欠なパートナーになる」という基本方針を示しながら、「関西エリアの強化」、「パートナー戦略の進化」、「エッジサービスの拡充」の3点をあげた。

エクイニクス・ジャパン代表取締役社長の小川久仁子氏

 会見では、小川社長が、2020年5月11日に社長に就任してから1年を経過したタイミングでもあり、まずは、この1年の成果を振り返った。

 コロナ禍におけるビジネススタイルやライフスタイルの変化に伴い、エクイニクスのインターネットトラフィックはグローバルで1.7倍以上に増加。クラウドへの接続ポイントであるクラウドオンランプが3カ月で21カ所増加し、インターコネクションも3カ月間で6700コネクション増加したデータを示しながら、「ステイホームの進展に伴い、自宅から仕事をしたり、ストリーミング視聴やゲーム利用の増大、eコマースの広がりなどによって、インターネットがより重要になっている。日本でのインターネットトラフィックは、1.7倍を上回っているほどだ。また、クラウドへの接続が加速し、クラウドオンランプの増加は、これまでの年間増加数に匹敵する数を3カ月間で達成している。インターコネクションの増加数は、競合10社の合計数に匹敵するものであり、クラウドの接続ハブとしてのエクイニクスの役割が重要になっていることを裏付けている」とした。

 エクイニクス全体では、73四半期連続増収を達成。米国、EMEAでは、リテールコロケーション分野で市場シェア1位を維持。アジアパシフィックでも初めてトップシェアを獲得したという。

エクイニクスのインターネットトラフィックは1.7倍以上に増加

 日本においては、2021年3月に、アジア初となるハイパースケーラー向けデータセンター「TY12x」を開設したのに続き、「OS2x」の開設を発表。IBXデータセンターの拡張では、「TY11フェーズ2」への取り組みを開始したほか、「OS3」の開設計画も発表した。「日本市場への投資を加速させており、TY11フェーズ2の拡張計画は半年ほど前倒しで進んでいる。大阪のOS3も、2021年10月にオープンする予定である」としたほか、「エクイニクスでは、2020年10月に、データセンター事業者から、デジタルインフラ企業に移行する新たなコンセプトを発表しており、新たなサービスを強化しているところである。それに伴い、プラットフォームエクイニクスに対する認知度は32ポイントも上昇した」と述べた。

エクイニクスの日本における実績

 そのほか、エッジソリューションチームおよびチャネルパートナー組織を発足。「エッジプロダクトを提案する上では、デザインや知識が大切であり、顧客視点のソリューションとして説明できる体制が必要である。また、エンタープライズユーザーの変革を支援するためには、直販だけでなく、テクノロジーパートナーやクラウドサービスプロバイダー、ネットワークパートナー、システムインテグレータとの協業モデルの構築が重要であり、それらの点を強化できる体制を構築した」という。

 また、同社では、日本固有のカルチャーチェンジプロジェクトである「Project SUNRISE」に取り組んでいることにも触れた。

 Project SUNRISEは、小川社長が、100人以上のエクイニクス社員と対話を行った結果、「日本市場に向けた戦略と、グローバル戦略をブリッジするための議論を強めるべきであると感じた。社員がボトムアップで考え、施策を共有していきたいと考えている」という狙いからスタートしたものだ。「ビジネスの具体的施策を作るビジネスプランニングチームを、約10人の社員を選抜して組織化。2年間で結果を出していくことになる。また、エクイニクスジャパンのカルチャーを変革するためのチームも約10人で構成し、リーダーシップチームに提案する形にした」という。

 一方、エクイニクスの日本のデータセンターでは、すでに再生可能エネルギーの利用が100%となっていることも示した。

変革プロジェクト「Project SUNRISE」を発足

 2021年度の事業戦略については、「デジタルを推進するすべてのお客さまをエンパワーし、下支えするパートナーになること、グローバルでデジタルインフラストラクチャーを提供することを強みとした提案活動に取り組みたい。お客さまにとって必要不可欠なパートナーと言われるように進化しなくてはならない」と基本方針を示した。

 「関西エリアの強化」では、先に触れたように、IBXデータセンターであるOS3のサービス開始を2021年10月に予定しているほか、ハイパースケーラー向けデータセンターのOS2xを2021年12月にサービスを開始する予定だ。

 「大阪において、IBXデータセンターが2拠点体制となることから、OS1とOS3間を接続したキャンパス化や、東京と大阪間の接続サービスを強化でき、複数のデータセンターによるシナジーを生みだすことができる。また、グローバルのデータセンターとの接続や、エコシステムへのアクセスの活性化、エッジプロダクトの展開も強化する。関西エリアにおいても、より使いやすい環境を提供できる」と述べた。

 また、2021年3月には、オプテージとの戦略的パートナーシップを発表しており、「関西エリアにおいて、IT、インフラ、通信に強みを持つオプテージとのパートナーシップを実現。関西エリアの活性化に向けて協議を開始している」という。

関西エリアの強化

 「パートナー戦略の進化」では、2020年度に新設したチャネルパートナー組織を通じて、リレーションづくりを開始したのに続き、グローバル戦略である「Power of 3」の考え方にのっとり、クラウドサービスプロバイダー、テクノロジーパートナー、リセールパートナー(システムインテグレータ)とエクイニクスが一緒になって、ソリューションを提供するコラボレーション型の顧客提案を開始。さらに、パートナーとの共同ソリューションの開発を推進するほか、エッジソリューションの強化にあわせて、パートナー向けの技術情報の提供を強化するという。

 「2021年度は、パートナーとの協業にさらに一歩踏み込んでいくことになる。2025年までに、日本における間接販売の構成比を50%に拡大する」とした。

パートナー戦略の強化

 「エッジサービスの拡充」では、仮想ネットワークの技術を使い拠点間を結ぶEquinix Fabric、Equinix Fabricへの接続を容易にするネットワーク機能仮想化サービスのNetwork Edge、ベアメタルサービスであるEquinix Metalの3点に力を注ぐ考えを示した。

 Equinix Fabricでは、中華圏との接続を開始したほか、5月18日からマネージドサービスの提供を開始。Network Edgeは4月から東京でサービス提供を開始し、第4四半期には大阪での提供を開始する予定だ。また、Equinix Metalは、6月に東京で提供を開始し、2022年第1四半期には大阪でも提供を予定。7月からマネージドサービスを提供することになる。

 「Equinix Fabricの中華圏との接続は、日本にお客さまにとっても使いやすいサービスになると見ている。これらの3つのサービスで、設定、運用を代行するマネージドサービスを提供することで、利用を促進したい」とし、「グローバルに展開する旅行会社では、フロントエンドのウェブサイトをAWSに構築し、顧客データベースはOracle Cloudで構築。複数クラウドサービスを利用する際に、アプリケーションのパフォーマンスが課題になっていたが、Network Edgeを利用するとともに、双方のクラウド間を、Equinix Fabricを経由してルーティング。Network Edgeによる数分間のソフトウェア設定のみで、高速、低遅延、高いセキュリティを実現したクラウド間接続を実現した。ストレスがない環境を提供できている」と述べた。

エッジサービスの拡充