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キヤノンITS、大学の教学マネジメント構築を支援する「in Campus IR」を提供

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は22日、教育機関向けソリューション「in Campusシリーズ」の新しいサービスとして、全学的な教学マネジメント構築を支援する「in Campus IR」をラインアップに拡充し、11月下旬から提供すると発表した。

 in Campus シリーズは、キヤノンITSの独自開発による教育支援情報のプラットフォームで、2013年4月に明治大学の教育支援情報システム「Oh-o! Meijiシステム」の提供を開始し、2014年7月にはこれをベースとして、他の大学でも幅広く導入可能な教育支援情報プラットフォームを開発した。学内情報発信の窓口となる「ポータル」と、授業シーンで利用される「LMS(学習管理システム)」、学生個人の学修成果の蓄積を行える「ポートフォリオ」を中心に、大学教育で必要とされる主要な機能を備える。

 キヤノンITSでは、18歳人口の減少や、デジタル化・人工知能(AI)の普及による急激な社会変化に伴い、どのような環境でも学生が自律性高く生き抜けるよう、大学では「学修者本位の教育」への転換が求められていると説明。そのためには、成績評価の信頼性の確保や学修成果の把握・可視化、それらについてのエビデンス(証拠や根拠)を示す必要があり、自大学を客観的に調査・分析する「IR(Institutional Research)」の果たす役割が重要になってきているという。

 こうした背景から、大学のさまざま成果や課題を可視化し、分析するための機能として、多くの大学がIR組織を設置して、大学改革を推進している一方で、「人手が足りない」「データが散在している」「予算面の確保」といった課題が出ていると説明。こうした課題を解決するソリューションとして、in Campusシリーズに、主体的な学びを促進するため全学的な教学マネジメント構築を支援するin Campus IRをラインアップに拡充する。また、ソリューションの提供に向けて、教学IR関連のコンサルティングおよびデータ分析に強みを持つ株式会社シンクベースとの協業を開始する。

in Campus IRの概要

 サービスでは「基本導入サービス」のほか、「データ連携サービス」「ダッシュボード作成サービス」、「業務支援・コンサルティングサービス」を用意し、各大学の環境や用途に合わせた導入が可能。また、学生個人の学修成果の蓄積・可視化を行う既存製品「in Campusポートフォリオ」との連携(オプション・カスタマイズ)により、「学修者本位の教育」の実現を支援する。今後、将来構想、計画策定、政策決定など、エビデンスに基づいた大学経営の支援ツールとして利用されるだけでなく、大学教育の質保証・質向上に貢献していくとしている。

 教学マネジメントを実現する基盤サービスとしては、大学内に保持されているデータ資産を一元的・統合的に蓄積するデータベースを提供。入試、教務・学務、就職、図書館など、さまざまな学内システムのデータを一つに集約でき、統計・分析、各種報告資料の作成を可能とする。これにより、経年変化の定点分析だけでなく、「学修者本位の教育」の実現のため、改善施策の分析・仮説立案・効果測定を行うといった、データに基づくエビデンス経営・活動の基盤サービスとして利用できる。

 基本導入サービスでは、in Campus IR データベース、3種類の標準分析用ダッシュボード、クライアントPCのセットアップサービスを提供。データを入力標準フォーマットに合わせて取り込むことで、分析・可視化を開始できる。これにより、専門的なスタッフが用意できない大学でも、教学IRの運用を低コストでスタートできる。

 in Campusシリーズとの連携により、情報収集、学修状況(アクティビティログ)、学生へのフィードバック・個別指導といった拡張性を実現することも視野に入れることができる。例えば、ポータルを利用した各種アンケート収集・蓄積・分析を容易に実現し、LMSで学習時間の収集・分析から脱落する学生の傾向分析や、ポートフォリオと連携して学生ごとに成績統計データを提供することで履修・学修計画に役立てるといった、教育のデジタル化を推進する。

 基本導入サービス以外に、環境に合わせてデータ連携の仕組みをカスタマイズする、分析用ダッシュボードを追加する、出力レポートを変更するといった、要望に合わせたサービス提供が可能。また、システム保守、定期的な運用相談やコンサルティングといったサービスを組み合わせ、継続的な教学IRの運用を実現するパートナーとしてサポートする。

 キヤノンITSでは、教育現場において幅広く散在する多種多様なデータの利活用は、今後ますます重要性が高まっていくとして、AIやVR/ARなどの先端技術を取り込み、教育データの利活用によるデータマネジメント領域で教育DXの実現を支援していくとしている。