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デル・テクノロジーズ、データ保護の現状に関する意識調査を実施
結果を踏まえたソリューションも提供開始

 デル・テクノロジーズ株式会社は22日、データ保護に関する調査レポートを発表した。

 デジタルデータは2年前の調査に比べて11%増大し、データ保存場所もオンプレミスに加え、プライベートクラウド、ホスティングやIaaS、PaaS、SaaSといったパブリッククラウドのさまざまな場所にデータを保存するようになるなど、データ保護に関する複雑さが増している。

 サイバー攻撃などの脅威が保護を困難とし、すべてのデータを保護することが難しくなっていることから、基幹システムのデータなど、企業にとって重要なデータを効率的で確実に保護し、復旧することが重要なポイントとなっているという。

 こうした結果をふまえ、今回の調査では、今後は新技術への対応に加えて、“as a Service”モデルなどのソリューションが、データ保護市場におけるトレンドを左右すると分析している。

 デルでは、こうした点を背景に、as a Serviceとしてデータ保護ソリューションを提供していくとともに、既存のデータ保護ソリューション製品「PowerProtect Data Manager 19.9」に、Transparent Snapshots、Dynamic NAS Protection、「PowerProtect DD OS 7.7」にSmart Scaleを新機能として追加していく。

データ保護の現状と将来の課題についてヒアリングを実施

 デルが実施しているGlobal Data Protection Indexは、日本を含む15カ国で、250人以上の従業員を持つ企業と公的機関を対象に、約1000人からデータ保護の現状と将来の課題についてヒアリングで調査を行っている。約2年周期で調査を行っていくことで、企業や組織がデータ保護を考えていく上でのベンチマークとなる情報を提供することがアンケート実施の目的だ。

Global Data Protection Index

 2021年調査で日本企業の動向を見ると、データの「量」と「場所」が増加し、約4割の人が過去12カ月の間に障害インシデントを経験していることが明らかになった。

 「企業で管理するデータ総量は前回調査に比べ11%の成長率で、それほど増えているわけではないと感じるかもしれない。しかし、2016年調査に比べると2021年調査では663%という成長率で、2016年から大きくデータ量が伸び続けていることがわかる。データの置き場所については、クラウドファーストが圧倒的で、データを置くアプリケーションの展開場所の広がりを示す結果となった」(デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏)。

 アプリケーションの展開場所は、既存の置き場所としてはプライベートクラウド(オンプレミス)が30%だが、将来については16%にとどまる。その一方でホスティングは既存も新規も32%、IaaSは現状が44%で、将来は36%、PaaSは現状が24%で将来が34%、SaaSは現状が32%で、将来が34%、パブリッククラウドで2カ所以上の場所は現状が12%で、将来が16%となっている。

データ「量」とデータ「場所」の膨張が引き続き加速傾向

 過去12カ月にデータロスやダウンタイムを経験した日本企業の割合は、78%にものぼった。グローバル調査も76%と、ほぼ同じ結果。ダウンタイムの平均時間は11時間で、平均的なデータロス容量は2.4TB。最重要なアプリケーションでシステムダウンが発生した際の平均復旧時間は10時間で、グローバル平均の6時間よりも4時間長い。

 データロス/ダウンタイムを引き起こした要因となったのは、ソフトウェアエラーが41%で最も多く、2位はハードウェア障害の38%。しかし、「ハードウェア障害は同じ調査の中で、年々比率が下がっている。前回まではハードウェア障害がトップとなっていたが、従来の3Tierから、ソフトウェアディファインドや仮想化利用が増加している影響ではないか」と芳澤氏は指摘する。

過去12カ月に経験した障害インシデント

 逆に年々増加しているのが「外部からのセキュリティ侵害」で、今回は3位となる34%と、前回調査から11%増加している。また、5位ではあるが増加傾向にあるのが「サービス/クラウドプロバイダーのエラー」だ。確かにサービスやプロバイダー側のトラブルはニュースでも伝えられている。

ダウンタイム/データロスの原因と影響

 こうした予期せぬダウンタイムやデータ損失については、過去12カ月の間にデータロスやダウンタイムを体験した企業が78%で、前回調査よりも12%増加している。向こう12カ月でデータロスやダウンタイムの発生を懸念する企業の割合も76%。「これはデータの質と価値が高くなってきたことで、データロスやダウンタイムが起こることのマイナス影響を懸念する企業が増加している結果ではないか」(芳澤氏)。

予期せぬダウンタイムやデータロスによる損失

 現状のデータ保護環境については、「複数のベンダーを利用している」という回答が64%。今後については、「現データ保護環境では将来予想されるすべてのニーズに対応できないと考えている」という企業が84%と、データ保護環境を見直す機運が企業側に生まれていることがわかる。

 将来展望としては、クラウドネイティブアプリケーション、AI、SaaS、5G、IoT、コンテナ環境といった新しい技術への投資を行っているものの、「投資した新技術で適切なデータ保護ソリューションを見つけられていない」という企業が多い。

 as a Serviceをバックアップ領域に活用することを期待する企業は60%となった。その理由は、「最適なIT環境維持とより高い柔軟性」が80%と最も多く、「サービス維持に必要な人員の不足」が76%、「自社運用要員の知識・経験不足」が62%となった。「バースティングへの戦略的対応」は、日本企業は52%にとどまったが、グローバルでは67%と高い比率となった。これは、「グローバルでは緊急時対応としてバースティングを戦略的に採用する機運が高まっているが、日本ではそうした検討がまだ少ない」(芳澤氏)ことが理由として挙げられる。

 同様に、グローバルでは「CapExからOpExへのシフト」は53%なのに対し、日本企業は30%にとどまる。これも、「日本企業とグローバル企業との意識の差がはっきりとあらわれている」(芳澤氏)ことが要因となっている。

データ保護環境の現状

 こうした企業の意識の変化を受け、デルでは提供するデータ保護ソリューションについて、「今回の調査から、サイバー脅威が保護をより困難なものとしていることが明らかになっている。重要なデータ/ワークロードを効率的かつ確実な保護と復旧すること、as a Serviceモデルなど消費型でのソリューション提供が必要となっていると推測できる」と分析している。

今回の意識調査から見えてきた現状

調査結果を踏まえたソリューションを提供

 さらにデル側が提供するソリューションについても、「われわれが提供してきたノウハウ、技術をあわせサイバー攻撃を受けた際の復旧基盤の運用など、導入から運用までエンドトゥエンドで支援することができる数少ないベンダーだと自負している」(デル・テクノロジーズ DPS事業本部 事業推進担当部長の西賴大樹氏)とアピールし、データ保護に関するトータルサービスを提供するとした。

 データ保護に不安を感じる企業に対しては、5分程度で診断できる無料の簡易サイバーレジリエンスアセスメントを提供し、「どこから取り組めばいいのかを考えるヒントとしてほしい。企業にとってはデジタルデータ"そのもの"が企業の収益源になりつつある。企業収益に直結するデータである、ハイバリュー・ワークロードの重要性が高まっている」と企業のデータ保護を支援していく。

 それを実現する製品についても、「PowerProtect Data Manager v19.9」に2つの新機能を搭載した。Transparent Snapshotは、VMware社との共同開発で実現した最新の保護手法。従来のVADP方式では困難だった、大規模かつ重要な仮想マシンのデータ保護を実現可能とした。

 もうひとつの新機能Dynamic NAS Protectionは、大容量の非構造化データ保護機能。コンテナ技術を活用して実現した最新の保護手法で、従来のNDMP方式では困難だった、NASストレージに格納された数100TBクラスのデータ保護を実現可能となった。

PowerProtect Data Manager v19.9

 将来の動向としても、デルではオンプレミスITをas a Service形式で提供する「APEX」を提供しているが、データ保護ソリューションについてもas a Service型で提供していくPowerProtect for Multi-Cloud、PowerProtect Backup Serviceの提供を計画している。

 また、PowerProtect DDの多次元拡張として、「PowerProtect DD Smart Scale」をテクニカルプレビューとして公開している。管理コンソールとなるPowerProtect DD Management Center経由でSmart Scaleサービスを適用することで、複数の物理アプライアンスをプール化することができる。クライアント向けのシングル ネームスペース、容量や性能の分析機能、利用量の将来予測や再配置レコメンドを提示、データ格納先の移動・再配置実施などを実現している。

PowerProtect DD Smart Scale