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デル・テクノロジーズ、新たなマルチクラウドデータ保護ソリューションを発表

「グローバルデータ保護インデックス」の最新調査結果も紹介

 デル・テクノロジーズ株式会社は13日、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジにおける顧客のデータ保護をサポートするため、サイバーレジリエンスを強化する新たなマルチクラウドデータ保護ソリューションを発表した。同日に行われた記者発表会では、データ保護に関する最新グローバル調査である「2022年 グローバルデータ保護インデックス(GDPI)」の調査結果とあわせて、新ソリューションの概要を説明した。

 デル・テクノロジーズでは、企業が直面しているデータ保護の課題を把握するため、世界15カ国14業種、従業員250人以上の企業のIT意思決定権者1000人を対象とした意識調査「グローバル データ保護インデックス」を約2年周期で実施している。今年の調査は、2021年に実施した本調査の「中間経過調査」の位置づけになるもので、2020年に続き2回目の実施となる。本調査と異なる点としては、(1)本調査における主要な設問項目を確認、(2)タイムリーな独自の質問を設定、(3)調査結果はグローバルと地域平均のみ算出(国別結果は算出しない)――の3つを挙げている。

 調査結果のポイントについて、デル・テクノロジーズ 事業推進担当部長の西賴大樹氏が解説した。

デル・テクノロジーズ 事業推進担当部長の西賴大樹氏

 「過去12カ月に経験した障害インシデントのうち、『サイバー攻撃やサイバーインシデントによるデータアクセス阻害』の割合が、前回調査の37%から48%に増加し、ほかのあらゆる障害インシデントを上回った。データ保護環境の現状については、複数ベンダーを利用したベストオブブリード型が主流になっているが、その一方で、85%の企業が『データ保護ニーズに対応するためベンダー数を減らすことにメリットを感じる』と回答していた。また、過去12カ月にデータロスやダウンタイムを経験した企業の割合は86%に達し、データロスによる損失コストは平均約100万ドル、そのうちサイバー攻撃を起因とした損失コストは平均約65万ドルとなり、いずれも前回調査から増加した」という。

過去12カ月に経験した障害インシデント
データ保護環境の現状

 「ゼロトラストの導入状況を見ると、実際にゼロトラストモデルを導入している企業は約35%にとどまり、これから移行を進めていく予定が約37%と、ゼロトラストへの移行は道半ばである実態がわかった。サイバー脅威に対する意識については、『危機感』と『楽観』の狭間で揺れている企業が多く、『いつか』はなく『いつくるか』わからない激甚被害に対する危機意識を持った対策が求められる」と指摘した。

ゼロトラストの導入状況

 調査結果のまとめとして、西賴氏は、「今回の意識調査から、DX/モダナイゼーションの実現をマルチクラウド指向で目指す企業・組織が、円滑にその変革を進めるには『セキュリティ』と『データ保護』の“バイ・デザイン”指向がカギになることが示唆された。また、サイバー脅威に対しては、防御のためのゼロトラストへの偏重投資ではなく、有事に備えたリスク逓減策の併用と、それを行う意識が不可欠といえる。そして、マルチクラウドの推進、特にパブリッククラウド活用によるデータ分散を網羅できるデータ保護の検討と配備は、弊害を抑止し、効率的な運用の推進剤となりえる」との考えを述べた。

 この調査結果を踏まえて、同社では、マルチクラウドデータ保護におけるゼロトラストの普及を促進しサイバーレジリエンスを強化する、新たなデータ保護ソリューションを提供開始すると発表した。デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏は、「マルチクラウド時代を見据え、オンプレミス、パブリッククラウド、as-a-Serviceの3つの環境に向けて、それぞれ最新鋭のデータ保護ソリューションを提供する。これにより、オペレーショナルな復旧とサイバー有事の復旧をあわせて実現することで、企業のサイバーレジリエンスとビジネス継続性をより強固なものにしていく」と説明した。

デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏

 具体的には、オンプレミス向けでは、データ保護専用の最新アプライアンス「Dell PowerProtect Data Manager」を提供する。同製品は、モダンなソフトウェアディファインドアーキテクチャにより、資産の自動検出と保護を可能にするとともに、独自のVMware保護を提供し、ビジネスへの影響を与えることなく、すべてのVM(仮想マシン)の可用性を確保する。また、IDおよびアクセス管理(IAM)によって、制限されている機能へのより安全なアクセスを確保し、サイバーレジリエンスを強化する。さらに、ソフトウェアディファインドのデータ保護プラットフォームにより、容易に導入・展開して、簡単に使うことができる。

「Dell PowerProtect Data Manager」アプライアンスの概要

 パブリッククラウド向けには、Google Cloud Platformに対応したサイバー復旧ソリューション「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Google Cloud」を提供する。これにより、隔離したサイバーボールトをGoogle Cloudに展開することで、データをより安全に分離してサイバー攻撃から守ることが可能となる。標準的なクラウドベースのバックアップソリューションとは異なり、管理インターフェイスへのアクセスは、ネットワークコントロールによってロックダウンされ、アクセスには、別途クレデンシャル情報と多要素認証を必須にすることができる。なお、同ソリューションは、今年リリースした「Dell PowerProtect for Microsoft Azure」および「CyberSense for Dell PowerProtect Cyber Recovery for AWS」に続く、パブリッククラウド向けサイバー復旧のための最新の拡張機能となる。

「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Google Cloud」の概要

 as-a-Service向けでは、SaaS型データストレージサービス「Dell APEX Data Storage Services」において、「Backup Target」オプションを拡張し、セキュアなバックアップ専用ストレージを従量課金による柔軟な利用モデルで提供する。この「Backup Target」サービスは、導入も容易で、バックアップストレージの購入、展開、維持管理を合理化し、ストレージの省スペース化を実現しながらデータの可用性を高めることができる。

「Dell APEX Data Storage Services Backup Target」の概要

 各ソリューションの提供開始時期は、「Dell PowerProtect Data Manager」アプライアンスと「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Google Cloud Platform」が、12月13日からデル・テクノロジーズおよびビジネスパートナーから提供開始。「Dell APEX Data Storage Services Backup Target」は、2023年第1四半期(2月~4月)に提供開始する予定。