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NEC、スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」のPCI Expressカード型ベクトルエンジンを単体販売
2020年11月20日 09:00
日本電気株式会社(以下、NEC)は19日、High Performance Computing(HPC)関連事業において、カード型ベクトルエンジン(Vector Engine:VE)単体の販売を新たに開始した。
VEは、NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」の中核コンポーネント。今回、単体での提供を開始するVEは、PCI Express規格サイズのカードに、世界トップクラスの単一コア性能/単一コアメモリ帯域を有するコアを8個内蔵し、1枚で2.45TFLOPS(テラフロップス)の演算性能と、1.53TB(テラバイト)/秒のメモリ帯域を実現している。
NECでは、HPC領域におけるシステムインテグレーターやサーバーベンダーなどにVEを販売し、これらのパートナーを通じて、中堅・中小の製造業における研究開発用途など、ベクトル型スーパーコンピュータの新たな市場を開拓するとしている。
システムインテグレーターは、自社で取り扱っている汎用サーバーとVEを組み合わせて顧客に提供できるようになる。NECは、C/C++/Fortranなどの汎用プログラミング言語で書かれたプログラムをベクトル演算用に自動的に最適化する独自のコンパイラも提供しており、システムインテグレーターはこのコンパイラを利用することで、VEの性能を効果的に引き出すアプリケーションを容易に開発できる。
サーバーベンダは、自社製サーバーにVEを組み込み、独自ブランドのベクトル型スーパーコンピュータとして販売できる。NECは今後、パートナーと連携し、VEの搭載・動作確認済みの汎用サーバーの機種数を順次拡大していく予定としている。
VEの販売価格は、最小構成で114万4000円(税別)から。NECは、VEの出荷を2021年1月に開始し、今後3年間の累計で100億円の販売を目指す。
NECでは、よりオープンな環境でのVEの利用を拡大する取り組みとして、「NECパートナー共創コミュニティ for SX-Aurora TSUBASA」を推進している。今回、コミュニティにおける新たな取り組みとして、他社製ハードウェアでVEが正常に動作するかどうかをパートナーが自ら確認できる「Vector Engineパートナー検証プログラム」と、パートナー企業によるハウジングサービスの提供を開始した。
ハウジングサービスは、カゴヤ・ジャパン株式会社と連携し、顧客が保有するSX-Aurora TSUBASAを同社のデータセンターに収容できる。サービスの価格(税別)は、初期費用が15万円から、月額費用が8万1000円から。またNECとカゴヤ・ジャパンは今後、SX-Aurora TSUBASAのコンピューティング資源をクラウド型で利用できるホスティングサービスの提供についても、共同で検討していく。