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NEC、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」のデータセンター向け新モデルを販売開始

 日本電気株式会社(以下、NEC)は29日、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」について、従来機と比較して実装密度を倍増したデータセンター向け新モデル「SX-Aurora TSUBASA B401-8」の販売を開始すると発表した。また、同モデルを、国立大学法人東北大学サイバーサイエンスセンター(以下 東北大学)から大規模科学計算システムとして受注したことを公表した。

 SX-Aurora TSUBASAは、NECがスーパーコンピュータ開発で培ったLSI技術と高密度実装技術、高効率冷却技術などを結集したカード型のベクトルエンジン(VE)を多数搭載するサーバー。世界トップクラスの単一コア性能および単一コアメモリ帯域を持ち、科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とし、気象予報、地球環境変動解析、流体解析、ナノテクノロジーや新規素材開発などのシミュレーション、AI活用において高い実効性能を実現する。

SX-Aurora TSUBASA B401-8(8VE)

 新モデルのSX-Aurora TSUBASA B401-8は、水冷方式を採用し、冷却効率を向上することで、搭載するベクトルエンジンを増やすことが可能となり、単位面積あたりの実装密度を従来比で2倍とした。これにより、大学・研究機関の計算センターや企業のデータセンターなど、限られたスペースにスーパーコンピュータを大量導入する用途への対応を強化した。

 また、ベクトルプロセッサ処理性能を従来比で25%向上し、サーバー本体のプロセッサとベクトルプロセッサを協調動作させて性能を高める「Vector Host Call」や「Vector Engine Offload」を実装するなど、ソフトウェアによる性能向上を実現した。

 同モデルを導入する東北大学では、地震・津波・気候変動シミュレーション解析などの防災減災に資する研究開発や、最新の航空機開発など、最先端のものづくり分野での利用を予定している。

 また、NECでは、ベクトルプロセッサ性能を25%向上させた4Uラックマウントモデル「SX-Aurora TSUBASA B300-8(8VE)」(空冷方式)の販売も開始する。

 合わせて、SX-Aurora TSUBASAシリーズの全モデルにおいて、金融業や流通業など、あらゆる業種でAIを活用するために必要な機能を拡充するとともに、半導体や自動車などの製造業で活用するために必要なアプリケーションソフトウェアの品揃えを拡充した。

 製品の仕様は、SX-Aurora TSUBASA B401-8が最小構成台数6台、最小構成VE数が48VEで、最小構成価格が7000万円(税別)。提供予定時期は2020年8月末。SX-Aurora TSUBASA B300-8が最小構成台数1台、最小構成VE数が8VEで、最小構成価格が950万円(税別)。提供予定時期は2020年9月末。NECでは、2020年度に全モデル合計1万VEの販売を目標とする。