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NEC、ベクトル型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」の処理性能と電力効率を2倍以上に高めた新モデルを販売開始

SX-Aurora TSUBASA C401-8

 日本電気株式会社(以下、NEC)は、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」について、従来機比で2.5倍の処理性能と2倍の電力効率を実現したデータセンター向け新モデル「SX-Aurora TSUBASA C401-8」を販売開始した。提供予定時期は2023年3月31日。

 SX-Aurora TSUBASA C401-8は、コア数を10コアから16コアに増加し、さらにL3キャッシュを新規採用することで、SXシリーズ初のLast Level Cacheとのダブル搭載を実現し、従来機に比べて処理性能を2.5倍に高速化した。また、最新のHBM2Eメモリを採用することで、従来機に比べてメモリバンド幅を1.6倍、メモリ容量を2倍に強化した。

 最先端のプロセスを採用することで、電力効率も従来機に比べて2倍に高めたことで、CO2排出量の削減に貢献する。

 現行SX-Aurora TSUBASAのプログラム資産を継承し、SX-Aurora TSUBASAで利用していたソースプログラムをそのまま使用できる。特殊なプログラミングは必要なく、Fortran、C/C++のプログラムをコンパイルするのみで、プログラムが自動的にデータセンターモデルに最適化され、高速化できる。

 SX-Aurora TSUBASA C401-8は、先行して東北大学サイバーサイエンスセンターの新たな大規模科学計算システムとして採用が決定し、2023年8月から運用を開始する。今回、東北大学で導入する、合計4032基のベクトルエンジン(VE)を搭載した製品を用いたシステムは、総理論演算性能が約21PFLOPS(ペタフロップス)で、世界最大のベクトル型スーパーコンピュータシステムになるという。

 東北大学では、ベクトル型スーパーコンピュータである「SXシリーズ」が以前から採用されており、航空機や発電タービンなど、ものづくり分野で求められる大規模数値流体シミュレーションに加え、津波浸水や河川氾濫の被害予測などの防災減災や、熱中症リスク評価などの気候変動の適応策に役立つシミュレーションに活用されている。また、ドイツ気象庁でも、天気予報システムの増強を目的に、2023年9月の導入を予定しているという。